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【第87回天皇杯3回戦 福岡 vs 栃木SC】レポート:栃木、健闘も力の差は否めず。フルメンバーで戦った福岡が順当に4回戦へ。(07.10.07)

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10月7日(日) 第87回天皇杯3回戦
福岡 4 - 0 栃木SC (13:00/博多球/1,965人)
得点者:44' アレックス(福岡)、53' リンコン(福岡)、61' リンコン(福岡)、76' 林 祐征(福岡)

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 J1昇格を狙う上位チームの大半がメンバーを入れ替えて臨んだ天皇杯3回戦。しかし、福岡はリーグ戦と同様にフルメンバーで臨んだ。その理由をリトバルスキー監督は次のように話す。「勝負は場合によってはフィジカル面よりもメンタル面の方が重要になることがある。フルメンバーで勝利を挙げることが、次の京都戦に高いモチベーションで臨めることになると判断したため、このメンバーで戦った」。この試合で勢いをつけて10日に行われるJ2第44節の京都戦に向けて勢いをつけることが目的。いわば、京都戦に備えるが故のフルメンバーでの戦いだった。

 カテゴリーは違うとはいえ、栃木SCも同じ狙いがあった。残り8試合で4位との勝点差は8。J2の参加資格が与えられる4位以内に入るには勝ち続けるしかない。「この試合に勝って勢いをつけてJFLのリーグ戦に臨みたかった」(山下芳輝・栃木)。しかし、4日まで行われていた国体に3選手を送り込み、上野優作は体調不良、堀田利明は怪我、そして照井篤は累積警告で出場停止。リーグ戦のことを考えれば台所事情は苦しい。それでもベストメンバーを揃えたのは、やはりJFLのリーグ戦を睨んでこその決断だった。

 前半、その狙い通りに試合を進めたのは栃木。最終ラインの前に中盤の4人を並べて2つのラインを作って福岡を待ち受けると、入ってくる相手を挟み込んで自由を与えない。特に、右サイドでは只木章広、高野修栄が、左サイドでは小林成光と片野寛理が福岡の久永辰徳と田中佑昌を抑え込んだ守備は完璧に近く、流れの中から決定機を与えたのは22分の1回のみ。「相手がイライラしてロングボールが増えたので、はまったと思っていた」(山下)。前半の流れは栃木にあった。

 しかし、栃木の問題はゴールを奪えないこと。奪ったボールを素早く山下に当てるという攻撃の形も見られたが、全体を通してみれば、どうやって組み立てるのかがはっきりしない。また、前線に送るボールもアバウトで、せっかく奪ったボールを簡単に相手に渡すシーンも目立つ。28分に小原昇が放ったヘディングシュートがクロスバーをかすめたシーンが惜しまれるが、手に入れた決定機が1回だけでは得点が生まれなかったのもやむを得なかった。

 そして44分、先制点が福岡に生まれる。「前半終了間際の失点が痛かった。あそこまでは上手く戦えていて、シュートもあまり打たれなかったですし、いい形で入れていたんですけれど、あの失点が痛かった」(柱谷幸一監督・栃木)。堅固な守備を誇る一方で、得点力に欠く栃木にとっては、格上相手に勝利するためには無失点が絶対条件。まだ時間は45分も残されてはいたが、あまりにも重い、重い1点だった。

 そして、後半に入ると福岡が本来のリズムを刻みだす。前半は、引いた相手に対して運動量が上がらず、足元へのパスばかりで攻めあぐねていたが、少しずつ運動量が上がり、栃木が疲れてきたことも手伝って、前へ仕掛けるシーンが増えていく。福岡の追加点は53分。スライディングでボールを奪ったリンコンが、そのままドリブルでゴール前へ。そして、相手DFが間合いを詰めてこないと見るや右足を一閃。豪快なシュートがゴール上、右隅に突き刺さった。

 ここまで粘っていた栃木も、この2点目で完全に集中が切れた。そして61分。久永が2人に囲まれながらも左サイドをドリブルで突破。そこからのクロスボールに、中央でドフリーになっていたリンコンが頭で合わせる。そして、とどめの4点目が生まれたのは76分。途中交代の林祐征が久藤からの柔らかいパスを受けると、そのままゴールへ向かってドリブル。左足で放ったシュートがゴール右隅を捉えた。前半は苦しい戦いを強いられた福岡も、終わって見れば4−0の勝利。最後は力の差がそのままスコアに表れた。

 京都戦のための天皇杯3回戦で福岡が得た収穫は2つ。しばらく出場機会がなかった林に復調の兆しが見えたこと、そして、前からボールを追う自分たちのスタイルを取り戻しつつあることだ。そして課題は、相手に引かれた時に仕掛けるタイミングを見つけられず、ただ足元だけでボールを回してリズムを悪くすること。フリーランニングを仕掛けたり、長い距離を走ること、裏へ飛び出すことなどが欠けている。リスクを回避するのではなく、リスクを恐れずに仕掛けなければいけないのが福岡の置かれた立場。どう修正するのかに注目したい。

 さて、勝利した福岡も、敗れた栃木も、次のリーグ戦のために戦った天皇杯の3回戦。その結果がどういう意味を持つのかは次の試合の結果で決まる。昇格を果たすためには、ともに「勝ち続けなければ何も始まらない」状況に置かれているが、負けることを怖がるのではなく、自分たちのサッカーを思う存分ぶつけることで道は開かれる。この日の戦いで得た課題と収穫を整理して臨む次節のリーグ戦でどんな戦いを見せるのか。その戦いに注目したい。

以上

2007.10.07 Reported by 中倉一志
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