10月7日（日） 第87回天皇杯3回戦
明治大学 1 - 0 京都　（13:04／西京極／1,663人）
得点者：88' 林陵平（明治大学）

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およそチームスポーツの体をなしているとは云い難い、京都の戦いぶりだった。
「リーグ戦中の天皇杯ということでベストなメンバーは組めない」（京都・美濃部監督）戦いで、サテライト中心になったことは充分理解できる、が、ピッチに立った選手のパフォーマンスは、ベストには程遠かったと言わざるを得ない出来だった。

京都の4-4-2に対し、明治大学は4バックで、林陵平のワントップ、橋本晃司のトップ下という4-5-1という布陣で始まった試合。
開始早々チャンスを作ったのは京都。6分、西野泰正の走り出しに美尾敦のスルーパスが出て、西野が裏を取るもシュートは明治GK関憲太郎に阻まれる。直後にCKの流れから登尾顕徳がシュートを放つがこれもGK関に阻まれる。
その後は、自陣に引いてしまう明治。だが、京都もパスミスを連発し、流れを作れない。さらに、安藤淳、中山博貴の両ボランチのどちらも積極的に前に出ず、FW中払大介、西野のフォローができない。だから、くさびは入るものの攻撃の連続性を引き出せずに攻めあぐねる場面が続いた。
ただ、明治大学も京都のミスから速攻のチャンスを作るも、こちらもパスミスで決定機までは作れなかった。
前半終了し、京都は後半から西野に代えて田原豊を投入、ロングボールが多くなりそうな予感を持たせる。

後半、流れは明治大学に。
両サイドが積極的に上がり、左サイド、つまり京都の右サイドの裏を取る。両サイドバックも積極的に攻撃参加を見せて、中央、サイドと京都を揺さぶった。
後半9分、京都はここで美尾に代えて加藤大志を投入。投入直後の後半10分、加藤のクロスから田原が頭で合わせ、11分には登尾のクロスのこぼれを中央で星がシュートを放つ、が、枠を捉えることは出来なかった。
後半18分、明治大学は根本茂洋に代えて、末廣将志を投入。すると19分、21分と続けざまに右サイドの小林裕紀のクロスから決定的なヘディングシュートを放つ。
後半30分には田原がロングボールをトラップ一回で前を向きシュートを放つも、またもGK関に阻まれる。逆に37分、明治大学は右サイドからのクロスを林が頭で合わせ、こちらはGK上野秀章がナイスセーブで難を逃れる。

決定機を見ればやや明治大学が押し込んでいる印象だが、内容は京都のミスの目立つ試合だった。
サイドバックの三上卓哉、登尾にパスが入ると、そこからパスの出しどころがなく連続したパス交換ができず、中盤でタメが作れないために裏を狙う攻撃が皆無となり、ロングボール主体の攻撃となる。しかし、ロングボールを入れても、セカンドボールは拾えず、バイタルを支配できず、そして厚みのある攻撃を作れず、で、京都は苦しんだ。

そして、後半43分、右サイドから攻撃した明治大学、藤田優人が中盤で京都の守備をかいくぐり持ち込むと、引いてマークを外した林に渡す。林は左足でワントラップすると、京都ゴールを背にする方向で半回転し、得意の左足を振り抜いた。そのボールはGK上野の手をかすめ京都ゴール左隅に吸い込まれる。この試合4本と両チームを合わせ一番多くシュートを放った林が土壇場で決めて、明治大学が1-0で京都を降し、金星を飾った。

振り返れば、京都、明治大学ともミスの多い試合だった。
パスミスの多い明治に比べ、京都は加えて判断の遅さも目立った。ポジション取りが遅いため、パスをもらっても視野を広く取れず展開が遅くなった。くさびは入るがそのフォローに入れずに連続した攻撃が出来なかった。何よりも、前半は星、後半は加藤と個々の勝負で強さを発揮できる、京都のストロングポイントであるはずのサイド攻撃を生かせなかったことが悔やまれるところだろう。
逆に明治はサイドから、特に後半右サイドに入った小林のアーリークロスを活用した攻撃は効果的であったし、決勝点も右サイドからつないだものだった。

天皇杯3回戦、明治大学と京都の一戦は、サイドのスペースを有効に使いフィニッシュまで持ち込んだ明治大学の見事な勝利となった。

以上

2007.10.07 Reported by 武田賢宗