10月7日(日)第87回天皇杯3回戦 徳島 vs FC岐阜(13:00KICK OFF/鳴門大塚)
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“蛤のふたみにわかれ行秋ぞ”この句は俳人松尾芭蕉が【奥の細道】で最後の訪問地となった大垣で詠んだものである。句釈は、蛤の蓋と身ではないが、それぞれが分かれるように、出会った人たちと私は別れて旅立とうとしている。折から秋も過ぎ去ろうとしていてなんとも切ない気持ちである。といったところだろうか。
この句が詠まれた大垣は岐阜県にあり、この大垣から見て京都寄りには歴史上あまりにも有名な《天下分け目》の合戦となった関が原があり、名古屋寄りには県都岐阜市がある。
その岐阜を本拠地とするFC岐阜を迎えての試合となる徳島ヴォルティス。
1週間前に行われたJ2リーグ愛媛との四国ダービーは、良かった所を見つけ出すのが難しいくらい、ここ数試合の中でも最悪の内容となり、結果も0−1と愛媛との今季最後の試合で黒星をつけられてしまうこととなる。今井監督の「プロとして全く情けないゲームをしてしまい、サッカーにならなかった」という言葉からもうかがえるように、ゲームがなかなか組み立てられずに終わってしまった一戦であった。
このことは選手もそれぞれがしっかりと認識しているようで、GK鈴木は「立ち上がりから前へ前へ行こうとする気持ちがあったものの、バックパスなどで自陣内での展開が増え、受け身の態勢になってしまった」と唇を噛み締め、好敵手との一戦で勝利を収められなかったことを悔やんだ。また、MF丹羽は「攻撃面でミドルシュートやサイドからのクロスを多用させたり、単純に前線へボールを放り込んだりと、もう少し変化をつけて敵陣で展開をすればゴールを奪えたのでは」と冷静に分析していた。
確かに前半立ち上がりこそ愛媛陣内への攻撃を仕掛け、ゴールを狙う意図がはっきりしていたものの、時間を追うごとに自らのミスから自陣内での展開が増え始め、攻撃も思うようなパスが通らず、自陣へ引き下がる場面がたびたび見られた。GK鈴木は「次は天皇杯なので引き締めて戦いたい」と愛媛戦での敗戦を重く受け止めている様子であった。
逆に考えてみれば、愛媛戦に完勝し意気揚々と徳島へ戻ったとすると、この天皇杯3回戦で思わぬ落とし穴が待ち構えていたかもしれない。比較の対象にならないだろうが、2004年、J2入りを目指していた徳島の前身・大塚製薬サッカー部時代にはリーグ戦こそ順調に昇格圏内をひた走っていたものの、天皇杯1回戦において東海大学と対戦し、2−3のスコアで敗れ苦杯を喫している。この他にも過去の天皇杯において格下相手に苦戦を強いられたり、または敗れて姿を消している経歴があるだけに、格下相手との試合は十分な警戒が必要である。
FC岐阜は、来季のJ2入りを目指し、目下JFLで4位と好位置につけており、過去に徳島ヴォルティスに籍を置いていた小峯隆幸・田中大輔・ジョルジーニョの3選手がチームにいる。また、来季を見据えた前哨戦の位置付けとなり、一泡吹かせようと徳島へ乗り込んでくるに違いない。
これを迎え撃つ徳島は、愛媛戦の反省から先手必勝で主導権を握り、優勢な試合運びでJ2とのレベルの差を見せつけ、初戦を突破し更なる階段を駆け上がっていってもらいたい。《天下分け目》とは少々大げさかもしれないが、《プロとの分かれ目》を指し示すサッカーが展開できるか、見応えのある試合になりそうである。
余談ではあるが、行く秋もとっくに過ぎ去り、本格的な冬を迎えた元日に“蛤のふたみにわかれ行秋ぞ”と言う句を思い出したいものである。
以上
2007.10.06 Reported by 野村賢一
J’s GOALニュース
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