10月7日（日）第87回天皇杯3回戦 鳥栖 vs 筑波大学（13:00KICK OFF/佐賀）
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「カップウィナーズ」の称号を目指して、各都道府県代表などがしのぎを削る天皇杯。3回戦からは、Ｊリーグチームが参戦する。
鳥栖の相手は、茨城県代表の筑波大学となった。２年前に同校と対戦したときは、藤本淳吾（現清水エスパルス）を擁し、１-０と筑波大が善戦した。
鳥栖は、昨年も立命館大学に４-３の壮絶な試合を行い、薄氷を踏む思いで逆転勝ちを収めた。３年連続となる大学生チームを相手に、今年はどのような戦い方を見せてくれるのだろうか？

鳥栖・岸野監督は、開口一番「カップ戦でもリーグ戦でも、勝つ意味は同じ。鳥栖のサッカーは変わらない」と真剣勝負を宣言した。鳥栖のサッカー…それは、前線からプレッシャーをかけ続け、奪ったボールを大事につないで得点に結びつけるサッカーである。そのスタイルは、どこが相手でも変わらないことを岸野監督は宣言してくれた。
それには、深い思いと理由がある。
２年連続、大学生相手に苦戦を強いられたからではない。リーグ戦で、７試合連続失点を喫し、４試合勝利から見放されていることが要因である。鳥栖は、「無失点で切り抜け、１点を取る」（岸野監督）ことが試合目標。そのために全員がボールに対してプレッシャーをかけ、連動して動かなければならない。リーグ戦では、そこが欠けて「自ら窮地に追い込んでしまう」（同）試合が続いている。だからこそ、目指すサッカー（自分たちのスタイル）を取り戻すべく、敢えて変わらぬサッカーを強調している。
選手たちもそこは理解している。
「絶対に勝てる相手など、いない。ましてや今の鳥栖は本調子とはいえない。だからこそ、集中して試合に臨まないといけない」（山口貴之）と気を引き締める。他の選手も異口同音に決意を語る。

対する筑波大学も２回戦を順当に突破してきた。
徳島県代表の徳島ヴォルティス・アマチュアを３-０で下し、勢いづいている。トップ下に入る三澤が前評判どおり２点目を決めて勝負を決定つけた。得点こそ奪えなかったが、左サイドＭＦ西川とＦＷ木島は、スピードではプロに引けをとらない。
関東大学サッカーリーグ戦（１部リーグ）では、１２チーム中最下位と本来の力を出しそこなったが、トーナメント戦となる天皇杯では、如何なくその実力を発揮しているようだ。

今の鳥栖に求められるのは、「原点回帰」。相手がどこであろうと目指すサッカーは変わらない。それが鳥栖の愚直さでもあり、魅力でもある。今年こそ、スッキリと３回戦を突破してほしい。
サイド攻撃を意識して、センターバックには安定感のある吉田が入りそうだ。ベテラン吉田の統率力は、Ｊリーグでも屈指と評される。「チーム全体を動かすこともできるし、想定外の現象にも対応できる選手」と岸野監督の評価は高い。彼がセンターでＤＦラインをコントロールすることで、サイド攻撃が生きてくる。ＭＦに山口と高地が入ることで、両サイドに起点ができる。サイドＤＦが頻繁に彼らを追い越す場面が見られそうだ。最前線では、藤田とレオナルドがしっかりとゴールを狙う。タイプの違う２トップで、掴まえ所を絞らせない動きを見せる。リーグ戦と変わらぬ布陣で、筑波大学を一蹴する予定である。

負けたら終わりのトーナメント。一つでも多くの試合を行えるように戦う。長丁場のリーグ戦。勝点を上積みするために戦う。大会の運営方法は違っても、試合で勝利を目指すことは同じ。相手より多くのゴールを奪い、相手の失点より少なくなるためにゴールを守る。それでも、リーグ戦とは違う楽しさを見せてくれるのが、カップ戦の醍醐味。負けなければ、「カップウィナーズ」の称号を得ることができる。
しかし、地区大会から真剣勝負の戦いを続け、一度も負けずに称号を得ることは至難の業。１敗で終わる大会では、毎試合が真剣勝負なのである。これもサッカー。されどサッカー。サッカーの面白さを側面から見せてくれるから、天皇杯から目が離せない。サッカーはどこから見ても楽しい。


以上

2007.10.06 Reported by サカクラゲン