10月7日（日）第87回天皇杯3回戦 東京V vs Honda FC（13:00KICK OFF/味スタ）
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天皇杯も３回戦を迎え、いよいよＪ２クラブがタイトルへ向け参戦する。東京Ｖは、味の素スタジアムでＪＦＬの強豪、Honda FCと対戦することになった。

天皇杯は「格下が格上を食う」という波乱も見所のひとつだが、前大会では東京Ｖもその「番狂わせ」を演じてしまった。ほぼベストメンバーで臨んだＪＦＬ栃木ＳＣ戦で惨敗し３回戦敗退。チームのショックは計り知れず、その後のリーグ戦にも影響を与える結果に。今年は同じ失態を繰り返すわけにはいかない。リーグ戦では熾烈な昇格争いの真っ只中ではあるが、だからこそ、この一戦は貫禄を見せ付けての勝利を得なくてはいけないのだ。

「絶対に勝ちに行く。優勝を狙おう」。ラモス監督が今週のミーティングで選手達に繰り返してきた言葉だ。取材時には昨年の敗退についての質問に表情を険しくする場面もあり、当時の悔しさが今も胸に残っていることを伺わせる。「今年はＪ２優勝と天皇杯タイトル、両方を手に入れることは決して不可能ではないし、獲りにいく」という言葉は決してリップサービスではないだろう。

指揮官の自信を後押ししているのは今季の選手層の厚さ。まずはこの３回戦、昨年とは違い、リーグ戦とはメンバーを変えて挑むことが濃厚だが、ラモス監督は「主力を休ませるのではなく、先発の機会が減っている選手にチャンスを与える」とし、ＭＦ名波、ＤＦ戸川、ＭＦ佐藤らレギュラークラスながら先発漏れとなっている選手達の起用を示唆している。Ｕ-22日本代表候補メンバーだが試合から遠ざかっているＤＦ一柳、開幕からレギュラーを掴んだものの怪我での戦線離脱したままのＤＦ福田らも出番を待っている状態で、その顔ぶれを見ても充分な戦力が整うのは今のチームの強みだろう。

注目は怪我から３ヶ月ぶりの復帰を果たすことになると見られるＧＫ吉原。リーグ戦で先発が続いていた７月１日の鳥栖戦で左ひざ後十字靭帯を損傷、以来辛いリハビリ生活を続けてきたが、先週の札幌戦でベンチ入りを果たした。「ようやくピッチが手に届く場所まで帰ってくることができました」と話していたが、今週はいよいよ先発出場に向け入念に準備を進めている。「楽しみで仕方がないです。ピッチに入る瞬間・・・嬉しくて、ニヤニヤしちゃうかもしれないですね（笑）」と吉原。「本当に長かった。いろんなことを考えましたね」と振り返ったリハビリ生活を支えてくれたスタッフ、家族への感謝の気持ちを胸に挑む復帰戦だ。

一方、Honda FCは、サッカー王国、静岡県浜松市をホームタウンとするＪＦＬの名門チーム。Ｊリーグ入りを目指さないアマチュアチームだが、昨年はＪＦＬ優勝、天皇杯では過去２度のベスト４入りの強豪で、北澤豪氏、本田泰人氏ら代表クラスの選手も多数輩出してる。

今季は上位チームに与えられる「ＪＦＬ枠」での天皇杯出場権を初めて獲得することができなかったものの、県代表決定戦に挑み１３年連続での天皇杯出場が決定。「天皇杯でＪクラブに勝つことが自分達の目標のひとつ（石井主将）」と、この東京Ｖ戦へのモチベーションは相当に高い。

去年は４回戦で鹿島に完敗という苦汁を味わっているが、その悔しさをバネにその後のリーグ戦では快進撃を続けた強さも。現在ＪＦＬでは７位と苦戦中ながら、ラモス監督が「Ｊ２クラブ並みの力があるチーム」と評する通り、決してあなどれないチームだ。

注目はエースＦＷ新田純也。昨季はＪＦＬ得点王こそ逃したものの、２３ゴールをマークしＭＶＰを獲得、ベストイレブンにも輝くなどリーグを代表する活躍を見せた。天皇杯も県代表決定戦、２回戦（埼玉ＳＣ戦）とやはりこの新田の得点で勝ち進んできており（１回戦はシード）、不動の２トップを組む鈴木弘大と共にこの東京Ｖ戦でもゴールが期待されている。

改めるまでもないが、天皇杯は何が起こっても不思議はない一発勝負。また今年も味の素スタジアムで「番狂わせ」が起こるのか、それとも東京Ｖが今年こそは貫禄を見せつけるのか？試合は７日、１３時キックオフとなる。

以上