●日本代表 アジアカップ2007 3位決定戦
7/28(土)21:35キックオフ(日本時間)/インドネシア・パレンバン
日本vs韓国
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・テレビ中継:テレビ朝日21:00〜23:41、NHK BS1 21:10〜23:35
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★対戦国分析/韓国編
準決勝でサウジアラビアに2−3の苦杯を喫してから2日。日本代表は26日にマレーシア経由でジャカルタへ入り、一泊して27日夜に3位決定戦の地・パレンバンへ移動してきた。本来は27日早朝便でパレンバン入りするはずだったが、アジアサッカー連盟(AFC)の不手際で夜便を使う羽目に陥ったのだ。彼らはパレンバン空港から直接スタジアムへ行き、そのまま22時半から公式練習を行うという前代未聞のスケジュールを強いられた。23時半から深夜会見にのぞんだオシム監督は「我々にハンディキャップがあるとすれば疲労だ。それでも明日はこちらが動き回って、こちらの方がフレッシュだと思わせられる状況でプレーしたい」と覚悟を口にした。
対戦相手の韓国は26日のうちにパレンバン入りし、夕方から前日練習を行うという余裕の日程だった。ピム・ファーベーク監督も「選手たちは調子を上げてきているし、コンディションを回復する時間も24時間残されている」と自信を見せた。客観的に見ても日本は明らかに不利な立場を強いられている。
しかしながら、今回の3位決定戦は単なる日韓戦ではない。2011年次回大会シード権がかかる重要な一戦となるのだ。オシム監督はまだ決めかねているようだったが、疲労を考慮し主力数人を入れ替えて戦うと見られる。「今の日本代表は誰かが抜けたらそれでダメになるようなチーム作りをしていない」と鈴木啓太(浦和)が口癖のように言う通りの「選手層の厚さ」を大事な一戦で示したい。
27日22時を少し回った時、スリヴィジャヤスタジアムに日本代表を乗せたバスが到着した。選手たちは全身に疲れを漂わせている。そんな沈滞した空気を払拭しようと、オシム監督は今大会に入ってしばしば行ってきた「青空ミーティング」を8分間にわたって実施。最終の決戦に向け気持ちを入れ直した。
7月9日のグループリーグ初戦・カタール戦から3週間滞在していた高温多湿のハノイとは違い、パレンバンは過ごしやすい気候だった。夜の気温は27〜28度。中村憲剛(川崎)も「ハノイの暑さとは全然違う」と驚いていた。ピッチ状態も日本に近いという。このコンディションなら日本らしい「人とボールの動くサッカー」ができそうだ。
公式練習は1時間足らずだったが、オシム監督は4人1組でサイドを使いながら攻め込んでゴールを狙う練習からスタート。前のゲームで左手を痛めた阿部勇樹(浦和)は午前中にジャカルタ市内の病院で検査した結果、骨に異常がないことが判明。左手にテーピングを巻いてボールを蹴っていた。これを20分ほど行った後は4対4+GKへ。選手たちは5組に分かれて攻守の確認をした。
最後が5種類のビブスをつけたままの11対11+フリーマン。オシム監督は試合前日のゲーム形式の練習で守備陣だけは先発組を固めることが多い。この日は楢崎正剛(名古屋)、加地亮(G大阪)、中澤佑二(横浜FM)、伊野波雅彦(F東京)、駒野友一(広島)が同じ組に入っていた。
ここまでの5試合は中澤と阿部が不動のセンターバックだったが、阿部は左手を打撲している。疲労もあり、あえてここでムリをする必要もない。そこで若くフレッシュなU22代表主将の伊野波を抜擢し、国際経験豊富な中澤と組ませて大舞台の経験をさせたいと指揮官は考えているのかもしれない。
中盤の構成も流動的だった。オシム監督としてはチーム発足時から全試合に先発している鈴木啓太を今回も使いたいところなのだろうが、彼はオーストラリア戦あたりからコンディションが下降気味だ。サウジアラビア戦ではボールを奪いに行く一歩が出ず、豊富なはずの運動量も激減してしまった。阿部か今野泰幸(F東京)をボランチに使うことも考えられるが、そういう練習はなし。この日は中村俊輔(セルティック)と遠藤保仁(G大阪)をボランチに並べていたほどだ。
「勝負の懸かる大事な試合だし、自分と俊のボランチを試すようなことはないと思う」と遠藤は話したが、ムードを変えるためにオシム監督が大胆な試みをすることも十分考えられる。本番の選手起用に注目したい。
おそらく中村俊と高原直泰(フランクフルト)は試合に出るだろう。欧州組の2人は大会後しばらく日本代表に合流できない。中村俊は「どこで自分らしさを出すかがまだ完全には分からない」とコメントしており、このチームでできる限り長い時間プレーしたいと希望している。これから新シーズンが始まることを考えると「まだイケる」と指揮官が判断してもおかしくない。
高原にしても得点王が懸かっている。現在は1試合を残して彼とサウジアラビアのヤセル・アルカタニが4得点で並んでいる。2000年レバノン大会でも彼は1点が足りず、韓国の李東国(ミドルスブラ)にタイトルを持っていかれた。そんな苦い過去を払拭するためにも3位決定戦ではゴールがほしい。
この高原のパートナーには矢野貴章(新潟)が抜擢されそうな雰囲気だ。「日韓戦は激しい戦いになるだろうし、絶対に負けられない」と若き大型FWも意欲を燃やす。韓国も若手中心の構成だけに、矢野ら若い世代が腕試しをする絶好のチャンスでもある。勝負と内容、そして未来につながる経験…。その全てを並びたてられるような陣容でオシム監督は戦うはずだ。
3連覇は果たせなかったが、日本サッカーはこの先も前進しなければならない。オシムジャパンには、今後の化に弾みがつくような前向きな勝利をこの日韓戦で勝ち得てほしい。
以上
2007.07.28 Reported by 元川悦子
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