7月25日(水) 2007 J2リーグ戦 第30節
仙台 0 - 2 札幌 (19:04/ユアスタ/14,517人)
得点者:'19 中山元気(札幌)、'46 ダヴィ(札幌)
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試合中から、そして敗戦を目の当たりにした直後にも、仙台側のスタンドからは「シュート打て」の声が響いた。だが冷静になって考えると、仙台の選手が「あえて打たなかった」場面は、スルーパスを受けてゴール左に抜け出した関口が、GKとの1対1の場面でゴール前に流すという選択をした71分の場面以外に記憶がない。そもそも、本当に責められるほどシュートを打たなかったのだとすれば、90分間で22本というシュート数にはならなかっただろう。その内訳も、打たせてもらいながらもシュートコースはしっかりと塞がれていたいわゆる無駄打ちばかりではなく、札幌守備陣の裏を完璧に突き、完全なフリーの状態で放ったシュートも4、5本含まれていた。
こうしたマッチレポートを書く際、私は極力「決定力不足」の一言で済ませないように心がけてきた。点が入らないことにも何らかの理由があるわけで、この一言は、そうしたものに対する思考や検証を一切廃した禁断の一言であると思っていたからである。
しかし、実際の世の中同様、サッカーというスポーツには、あがいてももがいてもどうにもならないことがあることを、私はこの一戦で改めて知らされた。
悔しいが、今日に至ってはこの言葉を使わざるを得ないだろう。確かに2失点はした。しかし仙台は今節、どうにもならない決定力不足で、勝点1、いや3を落とした。
キックオフからまだ1分も経過しないうちに、まだゴールまで遠い左サイドのタッチライン沿いにいた札幌・西谷が放った45メートルのループシュート、これが小針の伸ばした手を越えてバーを直撃し、スタジアムの空気は一瞬凍りつく。しかしすぐさま、仙台は自分たちのサッカーで、再びスタジアムを暖めた。積極的な仕掛けとパスワークで札幌陣へと攻め込み、立て続けにゴール前でのFKを得ていく。また札幌がピッチ全体で敷くゾーンディフェンスには、形成する選手と選手との間に決して大きくはないがスペースがあり、そこに入り込んだロペスの足元に後方からいいボールが入ることも、仙台の攻めのリズムを作っていた。
ところが、ゲームを支配気味に進めていた仙台は、自らのミスを突かれ、札幌に先制点を奪われる。19分、左サイドに放り込まれたボールに対し、ダヴィのチェックを気にしたか千葉のクリアは後方へ、カバーに回った磯崎のクリアも小さくなり、札幌の右サイド藤田に拾われる。その藤田がすかさずセンタリングを入れると、木谷にしっかり付かれていたはずの中山がシュートコース1つ分マークを外し、右足でボレーシュート。シュートに勢いこそなかったものの、難しい体勢からの1発は、枠を捉えただけでゴールを破るに十分だった。
その後も仙台は圧倒的にボールを支配し決定機も作ったうえで、サポーターに期待を抱かせたまま前半を終えるが、その期待を札幌は後半開始直後に落胆に変える。46分、まだゲームが落ち着かない中、藤田が右サイドを強引に突破、グラウンダーのセンタリングを入れると、ニアに飛び込んだ中山がよい潰れ役となったことで、ゴール正面に入ってきたダヴィが完璧にフリーな状態で合わせた。いくら仙台でも、堅守の札幌を相手に、2点のビハインドを負っては厳しい…だれもがこの時、そう思ったはずだろう。
しかし仙台は、あくまで自分たちのやり方で、ゲームをこのまま終わらせることを拒んだ。左サイド関口からのサイドチェンジのようなセンタリングを受け、ゴール右に「いつものように」飛び込んできた菅井がフリーでヘディングを放った57分を皮切りに、仙台は前節の山形戦同様、全選手が絡んでボールを動かし、両翼をワイドに使っていくサッカーで札幌を攻め立てる。俄然ヒートアップするスタジアム。札幌の守備陣も思いのほか乱れがちで、DFラインも低い位置にいるわりには、センターバックの裏に飛び込まれるスペースを作ってしまうなど安定していない。三浦監督が試合後に語っていた通り、仙台に何かしらの形で1点がもたらされれば、雪崩式に仙台のゴールラッシュが始まるという危惧すら札幌の側に抱かせるほど、仙台は札幌を四方八方から崩していた。
だが、悲しいかなゴールだけは遠い。前述の菅井のシュートシーンから数え、冒頭に触れた関口の場面も数に加えるのならば、後半だけで仙台が掴んだ決定機の数は少なく見積もって6個。だがそのどれもが、GK高木のファインセーブに遭うか、自らゴールマウスを逸れて行った。そして、試合は終わる。
札幌としては、今季初めてのダヴィと中山ゴール揃い踏みなど、攻撃陣に明るい話題が。藤田も監督から手厳しいコメントが発せられていたが、2アシストという結果は大いに評価できるだろう。ここまで札幌の守備を翻弄できるチームはJ2にさほどいないことを考えれば、攻撃陣がさらに奮起し、1試合2ゴールを奪えるペースになれば、より昇格が現実味を帯びてくるに違いない。
さて、仙台である。この大一番でノーゴールに終わったことで、今のような攻撃が果たして正しいのか?という声が挙がったのも事実だ。
しかし、こうしたサッカーがJ2の中では稀であることも忘れてほしくない。「J1に上がらなければ意味が無い」というのも正論であるが、仙台が目指しているのは「J1に上がった後でも活きるような財産を、チーム内に蓄えながら昇格すること」なのだ。
どうにもならない決定力不足に襲われる日は必ずある。仙台にとって、この札幌戦がそうだったのだ。そんな「不可抗力」で、チームが目指す本質をぶらせるようなことがあっては絶対にいけない。
以上
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