●日本代表 アジアカップ2007 準決勝
7/25(水)22:20キックオフ/ベトナム・ハノイ
日本 2-3 サウジアラビア
得点者:'35 Yasser Al Qahtani(サウジアラビア)'37中澤 佑二(日本)'47 Malek Maaz(サウジアラビア)'53阿部勇樹(日本)'57 Malek Maaz(サウジアラビア)
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「準決勝はいちばん厳しくなる。5試合目で疲労もたまっているし」と中村俊輔(セルティック)が前日会見で話していた通り、準決勝・サウジアラビア戦の日本は予想以上の苦しみを味わった。それでも後半8分、阿部勇樹(浦和)による2度目の同点弾が決まった時までは勝利への手ごたえがあった。現に3年前の2004年中国大会準決勝・バーレーン戦(済南)でも似たような点取り合戦を演じ、最終的には脅威の粘りを見せて勝ちきっている。その再現は十分にありえたはずだった。
だが阿部のゴールから4分後、日本は奈落の底に突き落とされる。サウジの強力2トップの一角を占めるMalek Maaz(背番号9)の鮮やかな個人技から、阿部と中澤佑二(横浜FM)の2人を抜かれ、3点目を奪われたのだ。日本屈指の1対1の強さを誇る阿部も「個の力でやられた。見ての通りです」と言うしかないほど、相手はキレていた。
2度は追いつけても3度目はなかった。ついには力尽きた日本。アジアカップ3連覇目前まで来ながら敗者となる苦い現実を突きつけられたのだ。
それでも3日後には永遠の宿敵・韓国との3位決定戦がある。インドネシア・パレンバンへの移動など日程的にはハードだが、最後のひと踏ん張りを見せてもらうしかない。
オーストラリアとの死闘を制して準決勝に勝ち上がった日本。グループリーグから移動なしで、今回は中3日の調整時間を得られた。逆にサウジアラビアは中2日で、インドネシアからの強行移動を強いられている。両者のコンディションの差は大きいと思われた。オシム監督も選手のコンディションに自信を持っていたのだろう。UAE戦から固定している先発メンバーを今回も送り出した。
サウジアラビアの特徴は卓越したスピードとテクニックを持つMalek Maaz(背番号9)とYasser Al Qahtani(背番号20)という強力2トップがいること。左サイドを駆け上がってくるAbdulrahman Al Qahtani (背番号18)も脅威だ。そんな相手を確実に抑えつつ、素早いパス回しで攻撃を組み立てるという戦い方を目指した。
序盤は狙い通りに事が進んだ。中村憲剛(川崎F)が何度か3列目から飛び出しシュートを放つなど、日本は普段以上に積極的に見えた。ところが20分を過ぎた頃からリズムがおかしくなる。選手たちはミスの連鎖を起こし、セカンドボールが拾えなくなる。自由を与えてはいけないMalek、Yasserの2人が前線でボールを持つ回数も増えてきた。
「疲労から集中力が失われ、アイディアも出なくなった」とオシム監督も話した通り、選手たちが一歩が出ない状態に陥った。同じメンバーで戦い続けてきた弊害がこの大事な試合でとうとう出てしまったのだ。
そして前半35分、サウジはセットプレーからYasserが巧みにゴール前のスペースに侵入し右足シュート。先制点を挙げる。オーストラリアのビドゥカ、アロイージというFW陣を止めた中澤ら守備陣もこれを阻止することはできなかった。それでも今大会の日本は即座に追いつく粘り強さと冷静さがある。このわずか2分後、遠藤保仁(G大阪)の左CKを中澤が豪快なボンバーヘッドでゴール。試合を振り出しに戻した。
1−1で折り返した後半。日本選手たちは確実な守りから入ってゲームを立て直そうと試みる。開始早々のサウジアラビアのセットプレーの際にも11人全員が自陣に引き、守備意識を再確認していた。が、そんな努力をせせら笑うようにサウジアラビアは2点目を挙げる。Taiseer Al Jassam (背番号17)から右サイドでボールを受けたAhmed Al Bahari(背番号15)が鋭いクロスを挙げた。これを中央に飛び込んだMalekが高さのあるヘッドでモノにした。Malekは小柄だが、完全に阿部に競り勝った。その跳躍力と瞬発力はずば抜けていた。
2度目の劣勢に陥った日本。けれども6分後には再び遠藤の左CKから得点が生まれる。高原直泰(フランクフルト)がファーサイドで折り返し、阿部が倒れこみながら右足ボレーを叩き込む。日本は再び活気付いた。
だが、冒頭に書いた通り、日本の粘りはここまでだった。3点目を失った後、オシム監督は佐藤寿人(広島)や羽生直剛(千葉)ら持てるカードを次々と切るが、流れを変えるには至らない。矢野貴章(新潟)を投入してのパワープレーも不発に終わった。レギュラー組を下げた後の攻撃の連動性、連携面の問題を露呈したまま、日本は2−3で敗れ、3連覇への道がついえてしまった。
「追いつかなきゃいけない時とリードしている時のボール回しは違う。そういう状態のボール回しをやったことがなかった」と中村俊は話したが、確かにこの日はこれまでのようなパス回しができなかった。遠藤や中村憲が下がった後の中盤はギクシャク感が否めなかった。誰が出ても同じレベルのサッカーができるようになるにはまだ時間がかかるのだろう。若返りを含めた選手層強化という大きなテーマを彼らはここで突きつけられた。
失点の多さも急務の課題だ。今大会は5試合戦って無失点試合が一度もない。しかも今回は3失点。疲労による動きの悪さもあったが、卓越した個の力に敗れ去ったという現実は認めざるを得ない。組織的守備の確立も大事だが、個人レベルでの1対1の強化の必要性も再認識させられた。
「これが現実」と鈴木啓太(浦和)も話した。この不甲斐ない負けを認めつつ、バネにしながら、次なる28日の韓国戦に挑むしかない。3位以内に入れば次の2011年アジアカップの予選免除というシード権も確保できる。最後まできっちりとした戦いを続けることが、7年間アジア王者を守り続けてきた日本代表の責務である。
以上
2007.07.26 Reported by 元川悦子
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●日本代表NEXT GAME
アジアカップ3位決定戦
7/28(土)21:35キックオフ(日本時間)/インドネシア・パレンバン
日本vs韓国
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・テレビ中継:テレビ朝日21:00〜23:41、NHK BS1 21:10〜23:35
J’s GOALニュース
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