9月23日（土）J1 第24節 福岡 vs Ｃ大阪（15:00KICK OFF/博多球）
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福岡にとって、そしてC大阪にとって、今シーズンの行方を決定するであろう大一番が始まる。互いにとって必要なのは勝ち点3。敗戦はJ1残留のサバイバルレースからの脱落を意味し、勝ったチームだけが引き続きJ1残留をかけて戦うことを許される。まさに崖っぷちの戦いとはこのことだ。勝利を目指す気持ちの昂ぶりと、敗戦に対する恐怖。スタジアムを包む異様なほどの緊張感。様々なプレッシャーが渦巻く博多の森で、その重圧を跳ね除けるのはどちらか。なりふりかまわないぶつかり合いが予想される試合は、9月23日（土）、15：00に博多の森球技場でキックオフの笛が鳴る。

「個人の強さを強調した守備に取り組んだが、その反面、どういうふうに追い込んでいくのかという部分があやふやになってしまった。チームとしての決まりごとが徹底できなかった」。千代反田充はチームの現状をそう分析する。1対1をベースにした守備と攻撃的にシフトしたスタイル。それは結果としてチームのバランスを崩し、最大の強みであった「組織で戦う」というスタイルを曖昧にしてしまった。いま選手たちは必死になって自分たちのスタイルを作り直そうとしている。

月曜日には主力選手が緊急ミーティングを実施。練習中には互いに意見をぶつけ合い、納得がいかないとプレーを止めて話し合う場面が増えた。「監督の言っていることと、自分たちのやりやすいやり方と、そのいい部分をあわせたい」（千代反田）。選手会の意向を監督に伝えた後に行われた2日間の非公開練習で、どこまで意思統一できたかが試合の鍵を握る。ポイントは組織的な守備ができるかどうか。全員で追い込んで、連動したプレスによるボール奪取から素早く攻撃に切り替える。選手はそんなスタイルを求めている。

一方、徐々に本来の力を発揮しつつあるのがC大阪。後半戦の成績は、ここまで3勝1分2敗。残留争いの直接のライバルである福岡との戦いを制して一気に勢いに乗りたいところだ。しかし、この大一番に向けて、ゼ・カルロス、前田和哉が出場停止。またブルーノ・クアドロスも「第3腰椎（ようつい）横突起骨折」で欠場は確実で、さらに柳本啓成は怪我からの復帰を目指して調整中とチーム状況は厳しい。システム変更も含めて対応することになるが、どこまでバランスを保てるかが鍵だ。

スペースと最終ラインの裏のケアに課題を残すC大阪にしてみれば、1点を争うよりは打ち合いに持ち込みたいところ。西澤明訓、大久保嘉人、森島寛晃、名波浩らに代表されるように攻撃陣のタレントは豊富。西澤を中心にして、後方の選手がボールを追い越して攻撃参加するスタイルは福岡に脅威を与えるはずだ。組織的な守備から素早い攻撃への転換を目指すのが福岡なら、C大阪は多少のリスクを背負っても攻撃的に出て行きたい。点の取り合いになれば、得点力に勝るC大阪に分がある。

限られたスペースと時間の中で勝負を争うサッカーは、自分たちのサッカーをやり抜くことが相手にサッカーをさせないことにつながる。そういう意味では、どれだけ強い気持ちを持てるかで勝負は決まる。しかし、同じく残留争いのライバルである京都との対戦で、福岡は4−5、C大阪は4−4と、両チームとも出入りの激しいサッカーを展開したが、勝負に夢中になり、気持ちだけで戦うと同じような結果になりかねない。大一番だからこそ、熱い心で戦いながら、戦況を見極める冷静さと我慢する気持ちを持ち合わせることが必要だろう。

以上

2006.09.22 Reported by 中倉一志