9月23日（土）J2 第41節 水戸 vs 愛媛（14:00KICK OFF/笠松）
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「ちょっとバラバラになっちゃってるかな」。木曜日の練習後に秦が口にしたこの言葉が今の水戸を象徴している。第35節の山形戦以降、1勝3敗という成績だけでなく、内容でも以前の勢いはなくなっており、攻守においてチグハグな面が目立っている。木曜の練習で行われた紅白戦でもレギュラー組はいいところなく、無得点。チームとしての方向性を見失いかけている感じだ。

　特にサイドから攻撃を組み立てられなくなっているのが苦しい。「サイドバックが起点をつくらないと」と前田監督が言うように右サイドバックの倉本が左眼網膜裂孔・眼窩底骨折で戦線を離れて以降はサイド攻撃の威力は失われている。紅白戦の中でもサイドバックに起用された平松に前田監督から激しい檄が飛ぶなど、なかなかうまくいかないようだ。

「やることは理解できているんだけど…、うまくいくところもあるが、うまくいかないところもある…」と平松はうつむき加減に話す。センターバックが本職の平松を前田監督が「速さ」と「1対1の強さ」を買って右サイドバックに起用してからわずか2試合。チームの苦しい台所事情の中で致し方ないコンバートなだけに「まだ慣れない部分がある」と言うのも当然だろう。だからこそ、勝利のためにチーム全体で助け合いながらプレーをしなくてはいけないはずであり、それができてこそ、はじめてチームと呼べるはずだ。

「ミスをしても人のせいにして、互いに文句ばっかり言い合っていた」。前節のハーフタイムのロッカールームでのその光景を見た鬼塚強化部長は選手たちを怒鳴りつけたという。「チームというのは助け合いながら戦わないといけないんだ」という鬼塚強化部長の言葉こそ、今の水戸には必要なものだろう。これまでの水戸は決して戦力的に優れていたわけではないものの、チームが一丸となって、飽くなき勝利への執念で12もの勝利を挙げてきたことを思い出さないといけない。戦いは第4クールに入り、これまで蓄積したものを出さなくてはいけないはず。だからこそ、もう一度原点に戻って、チーム全員で戦い抜く姿を見せて勝点3にしがみついてほしい。それこそが水戸の魅力であるはずだ。

「いいチーム」。前田監督は今節の相手である愛媛をこう評す。「勢いがあるし、迷いがない」と秦が言うように、愛媛が序盤から前に出てくることが予想される。これまでの対戦成績は1勝1敗1分だが、愛媛の勢いに押され、3戦とも水戸は防戦一方の戦いとなってしまっているだけに、今節は意地を見せたいところだ。前節も東京Vに敗れたものの、「内容では愛媛の方が良かった。決定力の差だった」と前田監督は見ており、注意を施す。ポイントは愛媛の攻守の中心でU-21日本代表にも選出された高萩をいかに抑えられるか。そして、愛媛の速いプレスをいかにかいくぐれるかだろう。「迷いなく」向かってくる愛媛に対し、どこまで水戸が「迷い」を払拭して試合に臨めるかに懸かっている。

そして、水戸で今節注目なのは先発が予想される岩舘だ。前節、一人気を吐くプレーを見せてプロ初ゴールを決めて波に乗っているだけに、彼がピッチにいるだけで「チームの雰囲気が良くなる」と秦は言う。前田監督も出場停止の西野に代わる「カンフル剤」として岩舘の起用を名言しており、その期待に応えられるかに注目だ。チーム1のムードメーカーがゴールを決めれば、チームは盛り上がること間違いない。「眠れるストライカー」に目覚めの時は来るか。

以上

2006.09.22 Reported by 佐藤拓也