9月17日（日） 2006 J1リーグ戦 第23節
甲府 3 - 2 大宮　（19:04／小瀬／10,150人）
得点者：'39 バレー（甲府）、'51 バレー（甲府）、'73 宇留野純（甲府）、'79 トニーニョ（大宮）、'89 吉原宏太（大宮）
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１−０で前半を終え、後半の開始直後に配られた大木監督のハーフタイムコメントには「勝つためにはもう２点取れ」と書いてあった。３−２という試合結果は、ハーフタイムの大木監督の言葉通りの勝利。後半に２点取った甲府が今期初めての連勝を果たして、オレンジをチームカラーとする大宮、清水、新潟に喫していた連敗を止めた。そして、順位を12位に上げた。J1リーグ中位目前の順位。大木監督に「まだ終わったわけじゃない」と言われそうだが、甲府を降格争いの筆頭と予想していた人たちには驚きの順位だろう。

崩れることはなかったが雨模様の天気予報だったのにもかかわらず、この日も1万人以上の観客を集めた小瀬陸上競技場。立ち上がりから暫くは、速攻合戦となった甲府対大宮。そして、徐々に甲府のポゼッションが上回り、シュート数でも大宮を圧倒し始める。ボールを失ってからのプレスの早さが、甲府は前線から組織として機能していた。大宮はそのプレスを、ワンタッチパスを繋いでかわせればチャンスになるはずだが、大宮のテクニックを甲府の守備が上回ったために、なかなか付け入ることが出来なかった。甲府の新布陣は得点力がありそうだし、今のところを大きな隙はない。

茂原をセンターに置き、左にバレー、右に山崎という３トップは前節同様の甲府。左に置いたことで、バレーは完全に蘇った。バレーにとって最大のご馳走は突進力を活かせる「スペース」。左サイドにはそのご馳走がたんまりとあるのだ。39分、アライールがバレーにロングパスを出して、GKが処理できずにバウンドしたボールをバレーが拾って先制ゴール。これから甲府と対戦するチームは、自陣の右サイドをバレーに食い荒らされない工夫が必要になってくるだろう。前半のシュート数から見れば１ゴールというのは少ない印象は残ったが、逃げの上手い大宮相手に先制したことは有利な展開だった。

ただ、２点目は後半の早い時期に欲しかった甲府。その２点目は幸運な形でやってくる。大宮にはショッキングな失点として。DF・トニーニョが持ち上がろうとしたボールをバレーがあっさりと奪ってGKと１対１になり、２試合連続となる２ゴール目を決める。大宮は後半に流れを掴みかけていたが、精神的に盛り返すことがしんどい失点となった。69分に宇留野、71分に須藤を投入した甲府。73分には石原が左サイドから須藤に合わせたクロスが流れて、ファーにいた宇留野が３点目を決める。

大宮は２点目を許してからは、森田をトップに投入して４−３−３と攻撃的にシステムを変更する。中盤が慣れない３人になって、バランスが取れないうちに3点目を許してしまうが、79分にはトニーニョ、89分には吉原がゴールを決める。最後の約10分間は大宮の今後向かうべきサッカーを見せた。ただ、３失点は多過ぎた。また、後半開始からボランチ２枚を代えてきたが、なかなか効果的な手を打つことが難しかった試合だろう。

新布陣で連勝の甲府。今後は、新潟、G大阪と続くゲームで、新布陣が更に試される。ともかく勝ち点を28点として30点にリーチをかけたことは大きい。J2降格の危険性が遠のくにつれて、安心感があらたなモチベーションの阻害になりかねないが、「（後半に２失点した）後味の悪いゲームだが、裏を返すとまだまだやることがあるという部分では非常にいいゲームだった」と大木監督は、レベルアップのための課題を見つけている。冴える「タケシ語録」からも大木監督の余裕を感じることもできる。甲府のJ1探検は、リーグ中位を見据えたステージに入っていく。

以上

2006.09.18 Reported by　松尾潤