9月2日（土） 2006 J2リーグ戦 第37節
山形 0 - 0 札幌　（19:04／山形県／5,906人）
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　結果は０−０のドロー。７位・山形と８位・札幌、中位から逆転昇格を狙うには、もはや勝ち点３しかないというチーム同士の対戦だったが、ともに勝利をつかみ取るまでには至らなかった。今節を終えた時点では、厳しさはさらに増す結果となったが、試合自体は決して退屈なものではなかった。

　立ち上がり、山形はレアンドロのポストプレーから佐々木が右サイドを突破し、クロスを上げる。３バックの札幌相手の理想的な攻撃の形をいきなり披露し、前節の仙台戦勝利の勢いを持ち込んだかに見えた。しかし、札幌も相川、石井の２トップが山形の臼井、内山の両ＳＢに厳しくプレッシャーを掛けるとともに、大塚、鈴木のボランチはＤＦ前のスペースを巧妙に消し、３バックも高い位置をキープしながら、それ以降サイドをえぐることをほとんど許さなかった。

　しかし、攻撃に転じた札幌も、相手ゴールまでたどり着くのは容易なことではない。前半15分、西谷のＦＫがクロスバーに弾かれたあたりからロングボールを多用するが、裏へ大きく蹴ったボールは追いつけずにゴールラインを割り、２トップを狙ったボールは山形のＣＢに跳ね返された。新たな攻撃チャンスが生まれる空気は漂ってこなかった。

　その寂しい両ゴール前とは裏腹に、プレッシャーを掛け合う激しい攻防が展開されていたのは中盤。そのなかで注目されていたのが、山形の右ＳＨ佐々木と札幌の左ＷＢ西谷のマッチアップだった。しかし、ここでは両者とも密着マークではなく、あえて後方に逃がし合う形を選択している。山形のポゼッションの時間帯には、佐々木は西嶋の横のタッチライン際に浮いていたが、「マサさんの攻撃力を活かすため。ディフェンスでは問題がなかった」と西嶋がしっかり対応。一方の西谷は佐々木とＳＢ臼井の間にポジショニングする形になったが、こちらも「はっきり付くより、（佐々木）勇人も曖昧に見ておいて、ボールが入ってきたところでゾーンでつかまえる感じてやってました」（臼井）と、ディフェンス面では予定どおり。西嶋から西谷へのパスを佐々木が狙い澄ましてインターセプトする場面も見られた。

　０−０のまま迎えた後半、ともにメンバーチェンジはなかったが、どうしても欲しい勝ち点３獲得へのアクションが先に形となって表れたのは札幌だった。
後半４分、右サイドで中盤に下りてきた石井、芳賀、そして前半は攻め上がらず守備に専念していた加賀が絡んでワンタッチでボールを回し、最後はドリブルで加賀がシュートまで持ち込んだ。このプレーを皮切りに、芳賀、西谷が左右から相次いでクロスを供給。後半17分には、砂川までもが左サイドからグラウンダーのクロスを入れるが、スライディングした２トップはともに届かなかった。

　スピードアップした札幌の攻撃に防戦一方となっていた山形も、徐々にカウンターの精度が上がり、反撃開始。15分には左で起点をつくったレアンドロのクロスに秋葉が飛び込みヘディングシュート。その直後にもオーバーラップした臼井が切り返して入れたクロスに林がスライディング。21分には左サイドの財前から渡辺を経由したボールが、中央にぽっかりと空いたスペースで秋葉と交わった。しかし、秋葉のミドルシュートは枠こそとらえたものの林に弾かれた。

　カウンターがカウンターを呼び、ボールも人も激しい上下動を繰り返したまま試合は終盤へ。しかし、決定的なチャンスが続く本当のクライマックスは後半40分過ぎに待っていた。後半41分、鈴木が大きく蹴り出したボールに相川が追いつき、右からクロス。途中出場の中山が足から突っ込むが届かず。43分には西谷の左クロスにマークを外した中山が飛び込むが、合わせた足がジャストミートせず枠を外れる。すると後半44分からロスタイムにかけては山形の決定機が訪れる。佐々木のＦＫのクリアがクロスバーに当たり、あわやオウンゴールと思う間もなくレアンドロガ跳ね返りをダイレクトシュート。その後、レオナルドからのロングパスを左サイドで受けたレアンドロがトラップ、そしてシュート。いずれも枠をとらえることなく、０−０のまま試合終了のホイッスルが鳴った。

　この一戦を終えて、勝ち点１ずつ積み上げた山形と札幌の位置関係は変わらない。今節で敗れた３位の横浜ＦＣとの勝ち点差は１ポイント縮まり、勝った首位・柏、２位・神戸との勝ち点差は２ポイント広がった。変わったこと、変わらないことが交錯する第３クール終盤。次節からレアンドロが２試合の出場停止となる山形も、次節にフッキが２試合の出場停止から戻ってくる札幌も、試合で離された勝ち点は、試合で取り返すしかない。そしてその機会は、またひとつ少なくなった。この試合でチャンスを取り逃がした両チームにとって、残り試合がより一層重要なものとなった。

以上

2006.09.03 Reported by 佐藤　円