9月2日(土) 2006 ヤマザキナビスコカップ
鹿島 1 - 0 横浜FM (19:00/カシマ/10,602人)
得点者:'22 フェルナンド(鹿島)
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鹿島としては狙い通りの勝利と言えるだろう。まずなにより、無失点で試合を終えたことは大いに評価できる。ここ数試合の鹿島の懸案は失点の多さだった。さらにナビスコカップではアウェイゴール方式が適用される。10冠目のタイトル奪取を目指し決勝に進出するためには、ホームで迎えるこの準決勝第1戦で相手に得点を許すことは絶対に避けたかった。そうした状況の中で、1−0の勝利というのは第2戦に向けて大きなアドバンテージになったと言えるだろう。
鹿島にとって準々決勝のG大阪戦を経験していることが役に立ったと言えるだろう。準決勝は第1戦がホーム、第2戦がアウェイという順だが、準々決勝でも同じ順序だった。このとき鹿島は、第1戦のホームゲームを0−0のスコアレスドローで終えている。一見すると追いつめられたのは、ホームで勝利を得られなかった鹿島のように思えるが、「スコア的には危険な状態」とコメントしたのはG大阪の西野監督の方だった。第1戦の結果で相手に心理的プレッシャーをかけることに成功した鹿島は第2戦を2−0で快勝する。つまり、今回の試合、鹿島にとっては0−0でも満足できる結果だったのだ。それを1−0の勝利で終えたというのは理想的な展開と言えるだろう。
試合の主導権は序盤から鹿島のものだった。いつも通りの4−4−2という布陣に対し、横浜FMは1トップに久保を据え、その後ろに狩野と吉田が控える3−4−2ー1というようなフォーメーションだった。鹿島はいつも通り内田、新井場の両サイドバックが積極的に攻撃に参加する。それをマークするのは横浜FMの両サイドのMF、ドゥトラと塩川だったため5バックのようなカタチを強いることに成功する。またボランチにフェルナンドが復帰したことでボールの収まり所ができ、狩野や吉田のポジションも下げさせたため、ボールを奪われても久保が前線に残っているのみ。鹿島の守備への切り替えも早かったためすぐにボールを奪い返し、相手の攻撃の目を摘んでいた。
得点は速攻からの崩しだった。前半22分、左サイドを起点に相手陣に攻め込むと中央のフェルナンドを経由し右にサイドチェンジされる。右サイドのペナルティ手前に開いていた増田はボールを受けると巧みなドリブルで相手をかわし、中央でフリーになっていたフェルナンドに優しいパスを送る。フェルナンドが豪快に左足を振り抜くとゴール右隅に見事なミドルシュートが決まった。
後半に入っても、試合の展開に大きな変化はなかった。後半20分過ぎから両チームの足が止まり始め、中盤に大きなスペースが出来はじめる。この状況を見て、アウトゥオリ監督は深井を投入し速攻からチャンスを生かそうとする。しかし、2度の得点機をいずれもファビオ・サントスが外してしまい、追加点を奪うことが出来なかった。
岡田武史氏の辞任により急遽監督を引き継いだ横浜FMの水沼監督は、就任後の2試合を大量得点で勝利していた。しかも、追いかける展開もなく、先制してそのまま追加点を重ねる試合のみ。つまり、監督になってから采配の妙が要求される厳しい試合はまだ経験していない。また、この第1戦は試合の前半と捉え、多少のリスクを抱えても得点を奪いに行くという姿勢は見せなかった。状況を変えるような効果的な交代は終了間際に投入されたハーフナー・マイクのみだったと言えるだろう。しかし、アウェイゴール方式が導入されている以上、2試合を単純に前後半と考えることはできない。アウトゥオリ監督はカップ戦での戦い方を熟知しており、第1戦で勝利した意味を最大限に生かしていくだろう。鹿島アントラーズが決勝進出に向けて大きなアドバンテージを得た。
以上
2006.09.03 Reported by 田中 滋
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