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【J2:第37節 横浜FC vs 神戸 レポート】お互いの良さを出しあった拮抗したゲームは、相手の一瞬の隙を突いた神戸に軍配。バクスター監督の最後を勝利で飾り2位をキープ。(06.09.03)

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9月2日(土) 2006 J2リーグ戦 第37節
横浜FC 0 - 1 神戸 (19:04/三ツ沢/6,660人)
得点者:'61 ガブリエル(神戸)
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三ツ沢へ向かうバスの中。キックオフ90分前に近づくにしたがって、どの乗客も携帯電話を気にしはじめる光景に、今日の試合への感心の高さが伺えた。3試合ぶりにホームに戻ってきた横浜FCの試合とあって、ポケットから取り出す携帯は、心なしか紺やブルーなど、横浜FCを意識したカラーが多い。審判団、両チームのスタメンを電話の画面でチェックしながら見せるそれぞれの表情に、サポーター・ファン、一人ひとりの様々な想いが入っている気がした。
2位・3位の直接対決は、ファンだけでなく多くの報道陣が詰めかけ、注目度の高さを見せた。

勝ち点63、得失点差+20と並ぶ両チーム。総得点を51とし横浜FCを上回るものの、横浜FCも相変わらずのリーグ1の失点の少なさ(38得点・18失点)を誇っている。 

「今日はJ1のクオリティーがあった試合だった。」試合後のバクスター監督のこの言葉が、この日の試合をよく物語っていた。

神戸は丹羽・近藤を出場停止で欠くものの、前節のヴェルディ戦の途中出場でJデビューを果たしたガブリエルを先発に起用。停止が明けたホルヴィ、7試合ぶりの先発となる平瀬らがスタメンに顔を揃えた。一方 横浜FCは、今まで右サイドとしてピッチに立つことが多かった崔成勇が、前節 途中出場で右SBを務めたが、今節は左SBを担う。神戸の右サイド・朴とのマッチアップにも注目が集まった。そしてまだチームに合流してわずかな小村が三ツ沢のピッチに立ち試合がスタート。

試合は前半序盤から、それぞれの持ち味を大いに発揮する。 お互いの気迫がプレーに現れ、全員が100%以上の全力のプレーを見せる。 神戸の大きな横への展開からの攻撃に、横浜FCは鄭、山口らが体を張ってセーブ。アウグストもいつも以上の守備を見せ、小村は気迫あるプレーで相手シュートを何本も止め、そのプレーには自ら雄叫びを上げる姿も。また、内田のミドルシュートや、ペナルティエリアまで運んだボールを、そこからワンタッチでポンポンと繋ぎフィニッシュまで持込むなど、まさに『ハラハラ・ドキドキする』試合に、一瞬をも見逃せないという状況が終始続いた。気がつけば手元の時計はあっという間に40分が過ぎていた。両チームともにミスらしいミスがほとんどなく試合を折り返す。
ハーフタイム、記者席からは「そこらのJ1の試合なんかより全然面白い」「今年のJ2の中のベストゲームでは?」「今日は1点勝負だな」など、試合を賞賛する会話が飛んでいた。

後半開始早々、横浜FCに立て続けにFK、CKのチャンスが訪れる。崔成勇のCKを小村がファーサイドで胸で落とし鄭のシュート、山口のFKなど、観客が大いに沸いたものの、あとわずかのところでゴールを割ることが出来ない。そして横浜FC最大のチャンスは後半14分だった。カウンターから中央でボールを受けた内田。絶妙なタイミングで出したスルーパスにアレモンがきっちり反応しシュート。大きく足を振りぬいたが、僅かに枠を捉えることができずゴールならず。

そのわずか2分後だった。「ビッグチャンスの後だったので、少し集中が切れてしまったのか安心してしまったのか。そのあたりがあのゴールに繋がってしまったのかなと思う。(高木監督)」 この日、前半から何度も見た神戸のピッチを大きく使うパス。右サイドのエメルソントーメから左サイドを上がる三浦淳宏へのロングパス。三浦がそこに合わせて走りこんできたガブリエルにボールを落とすと、ガブリエルは大きくゴールネットを揺らし、神戸に先制点を許してしまった。

その後、横浜FCは吉野を滝澤に、アレモンを富永に代え、滝澤は持ち味の左からのクロスの精度を活かし、また富永は12試合ぶりのゲームに気迫溢れる果敢なプレーを見せるも、タイムアップ。

神戸はこの一戦を制し、チーム史上初の5連勝。バクスター監督の最後の花道を飾ることが出来た。神戸サポーターが陣取るゴール裏は、バクスター監督の一時帰国前最後のゲームとあって、選手たちによる監督の胴上げも行われるなど、昇格を決めた様な盛り上がりに包まれた。バクスター監督は「胴上げなんて、まだ早い。優勝した時にとっておいて欲しかった」と話したが、「バクスター監督には、本当に有り難うと伝えたい。監督とは、状況が良くなれば戻ってきてくれるとちゃんと約束をした。母国に帰ってもヴィッセルを見ていてくれるという約束もしたので、後は監督の意志を受け継いで、しっかりチームをまとめて行きたいと思う。(三浦淳宏)」と、神戸の選手は口々に監督への感謝を述べ、正に監督に捧げる勝利となった。
一方、悔しい敗戦を喫した横浜FC。試合終了のホイッスルをピッチで聞いた選手たちの表情には悔しさが満ちていたが、スタンドからは、この戦いぶりに大きな拍手と声援が送られた。

「見ている方も今日は面白かったでしょ?」試合後に話してくれた三浦淳宏のこの言葉が、この日の試合を象徴していた。バクスター監督も「今日の試合はJ1のクオリティーがあった。」と、両チームを称えた。

お互いの良さを出しあった拮抗したゲームは、相手の一瞬の隙を突き、少ないチャンスをものにした神戸に軍配が上がった。横浜FCにとっては、悔しすぎる敗戦ではあるものの、肩を落とす姿はない。「チャンスはあったので、そこを決められなかったのは残念。神戸は少ないチャンスを決めてきたし、うちはそこを決められなかったことが勝敗を分けた。勝ち点は離れたが、まだ試合はあるし、うちはうちでシッカリ自分達のサッカーをして、勝ち点を積み上げていきたい」と内田が話せば、菅野も「9戦負けナシで来たが、今日の試合で悪いところが出た。ただ一つ言えることは、やられたのはあの1本だけだった。あそこで集中の切れだとか、自分がしっかりコーチングできなかったというのもある。ただ、これはすぐに改善できること。でも、今日の試合は実力がなかったから負けたので、それをしっかり認めて、また明日からの練習に取り組んでいきたい。上がどんなチームであろうが、自分たちのチームは勝つだけ。上の2チームがどうこうではなくて、次の試合、次の試合、一つずつ戦っていくことが大事」と話し、スタジアムを後にした。

三ツ沢には、この試合の注目度の高さが伺えるほど多くの報道陣が押し寄せ、彼らもまたこの試合を『大事な一戦』と位置づけ、戦況を見守っていた。しかし、ここで勝って優勝が決まるわけではない。選手たちが話すとおり、ここで負けてもまだ第3クールも終わっておらず、14試合残っていることも事実。

大きな一番を制しても逃しても、J2のリーグは長く、去年の昇格争いにもあった様に 最後の最後まで何が起こるかわからないのがこのリーグである。昇格争いはまだまだこれからだ。

以上

2006.09.03 Reported by 浅野 有香
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