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【J2:第37節 鳥栖 vs 東京V レポート】練習の成果を存分に出して、終始自分たちのリズムで戦った鳥栖。昇格が使命の東京Vにホームで完勝。(06.09.03)

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9月2日(土) 2006 J2リーグ戦 第37節
鳥栖 2 - 0 東京V (19:04/鳥栖/11,388人)
得点者:'51 高地系治(鳥栖)、'75 鈴木孝明(鳥栖)
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『自分たちの力を100%出し切り、相手の力を100%出させない』

勝負に勝つための極意である。

今節を迎えるにあたり、鳥栖は二つの練習を入念に行っていた。一つは前線からの早いプレッシャーであり、もう一つはさまざまなセットプレーである。その練習の成果が100%出た試合だった。

対戦するのは東京V、テクニックと素早い攻撃はリーグ屈指といえる。その力を100%出させないために鳥栖は早いプレッシャーを仕掛ける練習を繰り返した。プレッシャーをかけることで、東京Vの選手たちのプレーを遅らせるだけでなく、判断ミスも誘う事ができる。様々なオプションを繰り返し練習していたセットプレーは、自分たちの力を100%出し切るためである。

キックオフのホイッスルと共に、鳥栖は狙い通りの動きを見せた。開始早々の鈴木のシュートはポストにはじかれてしまったが、これが鳥栖に勢いをもたらした。
ワントップに活動量のある鈴木をおき、前線からボールを追わせた。Wボランチの高橋と衛藤には、東京Vの中盤を徹底的に押さえさせた。東京VのDFは中盤への出しどころを失い、ボールが落ち着かない。これでDFラインは高く保つ事ができ、東京VのFWが止む無く引かざるを得ない状況を作った。せっかく入ったボールも素早く前に出せずに、平本とシウバがゴールを背にボールを受けるシーンが目立った。

前半を終了してラモス瑠偉監督は、『相手は前からプレスに来ているのだから、早くパス回しをして相手選手を動かそう』と指示した。裏を返せば、東京Vのサッカーができずに鳥栖の術中にはまっていたことになる。

前半を終了して、鳥栖は7本のシュートを放った。MF陣が5本、FWが2本と好機と見れば前線に出てきてシュートを放っている。対して東京Vは4本。散発であったうえにFWは0本と見せ場が無かった。

後半に入っても鳥栖の優位な状況は変らなかった。とにかく前線からボールに対してプレッシャーをかけ続けたのである。奪ったボールは東京Vの守備の開いているところへ通し、好機と見れば果敢に仕掛けていく。

その結果、51分にゴールほぼ正面25mのところでFKを得た。それまでのFKは、高橋が強力なキックでゴールを狙っていた。
前半20分過ぎのFKは、GKがかろうじてはじき出したほどの見事なキックだった。この残像が東京VのGK水原には残っていたのかもしれない。が、このときのキッカーはレフティ高地。尹がフェイントで動いたためわずかにゴール左に隙ができた。狙い済ましたキックはオールサイドネットを揺らして、待望の先制点となった。

昇格争いのためには負けられない東京V、追いつき追い越そうと58分にDF海本に代えてMF根占を入れた。中盤でのポゼッションを高めて、攻撃の起点を増やす作戦である。67分にはMF菅原に代えて大橋を入れた。より中盤を攻撃的にしてきた。しかし、この日の鳥栖は90分間プレッシャーをかけ続けた。

75分には、鳥栖のプレッシャーに対して、たまらずDFがGK水原へバックパスをした。そこへ、FW鈴木が猛然とプレッシャーをかけたことにより、水原のコントロールミスを誘い、こぼれたボールを豪快に蹴り込んでしまった。

この時間帯での2失点は、単に敗戦の色合いが強くなっただけでなく、東京Vの昇格の可能性が相当低くなる事を意味している。何とか追いつきたい東京Vは、FW齋藤をMF金澤に代えて、残り10分ほどの時間にかけた。しかし、この日の東京VのFWはゼロ。最後までゴールを揺らす事ができなかった。

17分衛藤のCKからのシュート、20分高橋のFK、23分GKシュナイダー潤之介のスーパーセーブ、51分先制点となった高地のFKなど、日ごろの練習の成果を大事なところで出してくれた。この日が初スタメンとなった鐡戸は、アマチュア契約でありながら練習で頑張っている姿が評価されての起用だった。

完敗のラモス監督に『鳥栖のリズムで動かされて、自分たちは何もできなかった』言わしめたこの日の鳥栖。自分たちの力を100%出し切り、相手の力を100%出させないための練習成果の1勝と言える。勝負の極意を見せてくれた。

日ごろの練習で培った自信を試合で出してこそ、真の実力となる。サッカーには、作戦タイムが無い。だからこそ、日ごろの練習がモノを言う。

以上

2006.09.02 Reported by サカクラ ゲン
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