8月23日(水) 2006 J2リーグ戦 第35節
草津 1 - 0 徳島 (19:05/群馬陸/3,200人)
得点者:'60 吉本淳(草津)
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試合後、両指揮官の表情はともに冴えなかった。「チャンスを決めないとこういう結果になる」と徳島・田中監督がうつむき加減で話せば、草津・植木監督は開口一番、「ブサイクな試合だった」とストレートに表現した。12位・草津と最下位・徳島の「裏天王山」は、草津がセットプレー一発で徳島を下した、という結果だけが残った。
前節、数的不利になりながらも東京Vに引き分けた草津と、湘南に逆転勝ちした徳島。双方ともに勝ち点を獲得し、上昇気流に乗って迎えたこの「大一番」。しかしながら、両チームが前節に見せたアグレッシブなサッカーは90分間を通じて影を潜めた。
試合前から両チームのロッカールーム周辺には重苦しいムードが漂った。草津と徳島の勝ち点差は「3」。もし草津が敗れれば、勝ち点で徳島と並び、徳島が敗れれば草津との差が「6」に広がる。双方にとって重要な意味を持つゲーム。しかも、最下位を巡る争いだ。最下位の呪縛。こんな背景が両チームから積極性を奪ってしまった。
点を奪うというよりも、点を取られたくない。そんな姿勢が序盤から随所に見られた。FWのポストプレーから攻撃を組み立てに行く徳島と、奪ってから素早い攻撃を展開する草津。前半から決定機は平等に訪れた。ただ、両チームともに攻撃人数が少なく、チャンスが単発で終わってしまう。そんなシーンからも、リスクを避けていることが見て取れた。
ゲームの勝敗を分けたのは、固まった試合にありがちな、セットプレーの攻防だった。20分、CKから井手口のヘッドがゴールマウスをかすめると、22分、同じくCKから石田のヘッドがポストを叩く。「セットプレーでやられることが頭をよぎった」という田中監督の嫌な予感が的中してしまう。60分、CKから島田がニアサイドに蹴り込んだボールに吉本がうまく合わせ、ゴールネットを揺らす。「シマ(島田)に『オレのところにくれ』って伝えたら、ピンポイントのボールが来た」(吉本)。劣勢だった草津がセットプレーで息を吹き返す。
先制された徳島は、ジョルジーニョ、玉乃らが果敢に突破を図ったが、粘り強く守る草津の守備陣に抑え込まれ、最後までペナルティエリア内で仕事をすることができなかった。草津のシュート8本に対して、徳島が放ったシュートは22本。決定的なシュートがことごとくGK高木の正面をついた。「自分たちが一番下のチームだということを自覚して、100%の力で戦うように努力するしかない」と片岡。今後の巻き返しを狙うためには、これ以上、草津から離されないことが必要になる。
内容こそ課題が残ったが勝ち点3を手にした草津は、これで6試合連続負けなし。第3クールに入りコツコツと積み重ねた勝ち点は10に達した。しかし、依然として順位は12位のままで、状況は何も変わっていない。「これを続けていかないと意味がない」と植木監督。今節の結果で、上を行く11位愛媛と勝ち点が並び、その背中をハッキリと捕らえた。ここからどれだけ闘えるかがチームの真のチカラ。草津は自らの殻を打ち破ることで、いよいよ未体験ゾーンへの突入を試みる。ブサイクな試合でもいい。どんな形であれ、勝利を挙げることが今の草津を成長させていくはずだ。
以上
2006.08.24 Reported by伊藤 寿学
J’s GOALニュース
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