8月23日(水) 2006 J1リーグ戦 第19節
横浜FM 1 - 2 大宮 (19:05/三ツ沢/11,623人)
得点者:'26 小林慶行(大宮)、'87 松田直樹(横浜FM)、'89 吉原宏太(大宮)
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横浜FMのサポーターは、何度『その光景』を目にしただろうか? 89分、第4の審判がロスタイムの掲示をした直後のことだった。大宮は左からのコーナーキック。ゴール前には高さのあるDFトニーニョ、MFディビッドソン純マーカスらが入る。小林大悟のキックは中央へ。横浜FMのクリアでゴール前にこぼれる。そこにいたのは、170センチの小兵・吉原宏太。思い切り良く振りぬいた左足。シュートは地を這って、相手選手の間を抜けてネットを揺らした。1点目と同様、横浜FMのカバーリングの甘さを衝いたゴールだった。
前後半問わず、終了間際の失点。セットプレーのこぼれ球に対する集中力欠如。そして、それは致命的な失点。浦和戦、山田の先制ゴール。G大阪戦、マグノアウベス同点ゴール(いずれも前半)。甲府戦、バレー決勝ゴール。清水戦、兵働決勝ゴール。そして、この日も、横浜FMは『またしても』繰り返してしまった。
試合後、松田直樹のコメントが、いまのチーム状況を象徴している。「自分を含めて、一人ひとりのプレーがチームのためになっていない。他人まかせ」。さらに、ベテラン上野良治の一言も核心を衝く。「勝てる気がしない。点が入る気もしなかった」。取材観戦する側は期待が大きい分、流れの悪さにも失望は隠せない。しかし、ゲームの当事者にして、チームのバランスを取る選手から、このようなコメントを聞くことになるとは・・・。
ゲームは立ち上がりから、横浜FMが相手陣内でプレーする。開始早々、久保から受けた山瀬功治のスルーパスは、裏を走る吉田を狙うが、トニーニョにカットされる。久保の高さを活かすべく、後方からのロングボールもことごとくトニーニョに競り負ける。右サイドで山瀬功や田中隼がボールを持っても、大宮は必ず2人、3人でチェックに来た。
オフェンスも大宮は徹底している。奪ってすぐに右サイドに展開して、速さのある1トップ・吉原を走らせる。8分には、スルスルと上がった吉原とGK榎本達也の間にボールが跳ねて、相手をヒヤリとさせた。そして先制点は26分、大宮。小林大のフリーキックから生まれる。ゴール前でトニーニョ、土屋が飛び込んでこぼれたボールは左でフリーの小林慶行の前に。左足のシュートはゴール左隅に突き刺さった。小林慶は「土屋さんはセットプレーに強いので、セカンドボールを待っていればチャンスは来ると思った」。
ハーフタイムを経て、横浜FMの選手らがピッチに戻る。だが、逆のコートでは、まだサブメンバーがアップを続けていた。これも焦りなのか? 開き直れないまま、後半も横浜FMが相手陣内で攻撃を続ける。57分、右サイドから相手ボールに猛然とチャージをかけたのは田中隼! 奪ってそのままゴール前に低く速いクロスを送るも、ボールは吉田の前を通過した。57分に坂田、71分には平野、そして80分に大島を投入するも、相手を崩すまでには至らない。しかし、87分、ついに同点機を得る。平野のクロスに、DFを背負って受けようとした久保がファウルを受ける。このPKをキャプテン松田が決めて、やっとイーブンに持ち込んだ。これで勢いづいた横浜FMは1分後、右から押し込んだ河合がクロスを上げる。ファーにこぼれたボールは、ラインギリギリで平野が折り返す。気迫あふれる攻撃で一気に逆転ムードが高まったが、直後、大宮に勝ち越しを許してしまった。
「今日は勝ちに徹底するサッカーをしてほしいと言ったが、急に言っても、練習でもしていないから難しかった」と横浜FM・岡田監督。「汚いサッカー、泥臭いサッカーができなければ」(吉田)「つまらないサッカーでもいいから、ガムシャラに勝ちにいくしかない」(田中隼)。頭で分かっていても、カンタンには割り切れない。岡田監督を信じて戦ってきたこのメンバーで、あくまでも頑張り続けて、戦えるチームへと進化してほしいというのも、ファンの切なる願い。いまは、ガマンの時かもしれない。
一方の大宮は、これで横浜FM戦はリーグ戦(3勝1分け)で依然負けなし。この日も局面で辛抱強く守り続け、ワンチャンスをものにする戦いで、続く川崎F戦へも弾みをつけた。
以上
2006.08.24 Reported by 近藤泰秀(インサイド)
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