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【J1:第19節 甲府 vs 鹿島 レポート】甲府のサッカーが復活。原点に帰って名門・鹿島から勝ち点3を奪取。得失点差大バーゲンは終了。(06.08.24)

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8月23日(水) 2006 J1リーグ戦 第19節
甲府 2 - 1 鹿島 (19:04/小瀬/12,115人)
得点者:'79 バレー(甲府)、'89 岩政大樹(鹿島)、'89 須藤大輔(甲府)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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冷静になってみれば「嬉しさも中くらいかな…」という感じがしないでもないが、お金を落とすときもあれば、拾う時もある。落としてばかりや、拾ってばかりということはない。

立ち上がりは鹿島だけが得点の匂いを漂わせていた。ボールが前線に収まらない甲府は、中盤でボールを奪っても奪い返される場面も少なくなかった。原点に返り、運動量と前線からの守備の意識を取り戻して戦っていたが、少し自信なさげにも見えた。3トップの守備への貢献、ファーストディフェンダーの意識、そして組織としての守備は明らかに改善されていた。ただ、前線からプレスを仕掛けてくる鹿島に対して、前へのポゼッションがなかなか出来なかった。守備は悪くないのだが、攻撃が形にならない不安は暫く続いた。
鹿島はボールを奪うとシンプルに前にボールを配給して、アレックス・ミネイロのスピードとテクニックを活かして甲府守備陣に脅威を与え続ける。特に、新井場のいる左サイドからの攻撃は何度か効果的なチャンスを作った。ただ、甲府守備陣はボールウォッチャーにならずに最後の場面では守りきった。そして、30分を過ぎると鹿島の運動量は甲府のスタッフが予想していた通りに落ち始め、甲府の前へのポゼッションが増え始めた。

前半を0−0で終えた甲府にとって、後半立ち上がりの15分から20分間を凌げば得点のチャンスが大きくなることは予想でき、ベンチに座るバレーの使い所もそこだと思われた。後半の甲府は、相手陣内でボールが石原を経由するとチャンスが広がった。石原はチームのリズムが悪い時に、いち早くそれを感じて変えようとするプレーが出来る選手。このときはリズムは悪くはなかったし、石原はボールを横や後ろではなく前に動かすので更に攻撃のリズムはよくなった。

しかし、鹿島は先に交代のカードを切り続け、徐々に攻撃のパワーを増し始める。大木監督は、鹿島が3枚目のカードを切った2分後、献身的なプレーのために両足が攣った大西に代えてバレーを投入する。調子が上がらず、練習を休むこともあったバレーだが、「点を取る力はある」と大木監督が評価するだけの仕事をする。藤田からリターンパスを受けた時にプレッシャーを掛けられるが、フィジカルの強さを生かして左サイド突破して、先制ゴールを決める。そして、両耳の後ろに掌を広げて「もっと歓声を聞かせてくれ」と云わんばかりにメインスタンドに向かって走った。このゴールはバレーのモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしたのではないだろうか。

しかし、時間はまだ10分余り残っていた。スタンドからは「守るなよ。2点目だぞ」と声が飛ぶ。通のサポーターは、このまますんなり行くと思うほど楽観的ではない。一番近い嫌な記憶は第16節の浦和戦。リッチな赤い悪魔を倒したと思い始めた矢先に、同点ゴールを決められた。84分にピッチに入った井上もその危惧を感じていた。

「(浦和戦は)自分が入ってから同点にされた。今日はやらせないと思っていた」(井上)

しかし、ロスタイムに入る直前に本山→小笠原と繋がれ、最後は岩政に決められてしまう。冷水を一気に浴びせられた甲府サポーター。ロスタイム「3(分)」という数字を見ても「またか…」というショックから抜け出せない。ただ、ピッチの選手は気持ちを切り替えて戦い始めていた。右サイドで石原が奪ったボールがフリーの杉山に渡る。杉山はドリブルしながらタイミングを計り、ゴール前の須藤にクロスを入れる。予測していた鹿島のディフェンスラインはオフサイドを取る選択して、ラインを上げる。取り損ねればFW須藤とGK曽ヶ端が1対1になるリスクを冒してまで。そして、その判断は結果として凶と出る。須藤がJ1初ゴールを決め、これが決勝点となった。ゴールが認められると、曽ヶ端が線審に「オフサイド」とアピールするが認められない。下位のチーム相手にギリギリのサッカーをしたことは事実であり、会見でアウトゥオリ監督は「それもサッカー」と話した。鹿島はこの言葉通り週末の広島戦に引き摺らないことが最優先になるだろう。

「名門・鹿島に勝った」という勲章を手に入れた甲府・海野社長。胸に並ぶ勲章からジャラジャラと音がするにはまだ数が足りないが、聴こえ始めれば甲府のサポーターも枕を高くして眠ることが出来るようになる。次に狙うは「名門・磐田に勝った」という勲章。あといくつ勝てばジャラジャラを聴くことが出来るのかわからないが、サックスブルーの勲章が手に入ればジャラっという音くらいは聴くことが出来るかもしれない。

以上

2006.08.24 Reported by 松尾潤
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