8月23日（水） 2006 J2リーグ戦 第35節
愛媛 1 - 2 湘南　（19:04／愛媛陸／2,511人）
得点者：'40 松下幸平（愛媛）、'70 佐藤悠介（湘南）、'89 中町公祐（湘南）
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両者傷み分けのドローで、タイムアップを迎えるかと思われた後半44分。湘南に歓喜の瞬間が訪れた。決勝点の瞬間、控え選手、スタッフともにベンチを飛び出してガッツポーズを見せた湘南。この試合に勝ちたい気持ちが、チーム全体から溢れ出た象徴的なシーンだ。

「途中まではプラン通りだった」と愛媛の望月監督が振り返ったように、湘南にとっては決して簡単な試合ではなかった。前半から湘南のDFラインを混乱させていた愛媛MF・菅沼が後半途中からFWに入り、ゴールを脅かし続けた。そして決勝点が生まれる前には、愛媛のカウンターを必死で守り続けていた湘南DF・松本が足をつる場面もあった。終盤には両チームとも運動量が減り、足が止まりかけた中での攻防。しかし、最終的には湘南が愛媛よりも勝利への執念で上回り、意地を見せた試合となった。

しかし、愛媛とすれば前半に先制して勝ちパターンに持ち込んだはずの展開だった。前半40分にはMF赤井のクロスにDF松下が飛び込むという、狙い通りのサイド攻撃でリードを奪うことに成功。後半立ち上がりにはひやりとした場面もあったものの、望月監督が先手を打って交代のカードをきることで、逃げ切るかと思われた。にもかかわらず、このゲームで愛媛は結果を出すことはできなかった。「原因は相手よりも愛媛にあったと思う」と望月監督もコメントしたように、途中から運動量の豊富な愛媛らしいサッカーが影を潜めてしまったことが一番の敗因。「動きが止まった中でどんなサッカーをするのか…」とDF松下は課題を語ったが、場面に応じたチームの意思統一はこのチームの目下の課題。プレビューでも指摘した通り、今日の試合でも試合運びの稚拙さが改めて浮き彫りになってしまった。

逆に、湘南としては冒頭でも触れたとおり、チーム一丸となってつかんだ勝利。前節のアウェイ・徳島戦後には、移動の負担を減らすために徳島に残って調整をしてきた。勝つための環境を整え、選手も危機感をもって臨んだ試合で苦しみながらも逆転勝利。これまでは好不調の波が激しかった湘南だが「精神的な成長があった」と菅野監督も手応えをつかんだ勝点3だ。そして連敗することなくホームに帰ることができたことで、次節の草津戦では再び勢いを持って試合に入れそうだ。

一方の愛媛は連勝の後の連敗。チームのいい流れを完全に断ち切ってしまわないためにも、次節のアウェイ・柏戦は踏ん張りどころ。ここのところスタメンを固定して戦った連戦の疲労からか、チーム全体に運動量の低下が顕著だっただけに、次節はメンバーの入れ替えも考えられそうだ。9月はホーム・アウェイ合わせて7戦、サテライトの試合もあわせれば1ヶ月で8試合の超ハードスケジュール。J2初シーズンの愛媛にとっては未知の戦いとなるが、来月は前半戦に積み上げてきたチームの底力が試される1ヶ月になりそうだ。

以上

2006.08.24 Reported by 近藤義博