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【J2:第35節 鳥栖 vs 神戸 レポート】神戸の試合巧者振りが出た試合。鳥栖は戦績が五分となったここからが再出発。(06.08.24)

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8月23日(水) 2006 J2リーグ戦 第35節
鳥栖 0 - 1 神戸 (19:04/鳥栖/6,944人)
得点者:'65 栗原圭介(神戸)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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この日の鳥栖は、狙いははっきりしていた。『前がかりになっている神戸守備陣の背後を突いていくこと』である。スターティングメンバーに新居とスピードのある奈良崎を組んだことがそれを証明している。確かにこの二人のFWは神戸DFを下げようと裏を狙い続けていたが、供給源が尹だけでは神戸も押さえやすい。ならば、タイミングや距離などで工夫をしないといけないのだが、前半は全くそれが見られなかった。

神戸はDFからFWまでの距離を絞って全体で連動して動いていた。鳥栖がポゼッションしているときには、FWはディレイをかけてボールを供給するタイミングを遅らせた。起点となる尹にボールが入ると厳しいプレッシャーで潰しにかかる。鳥栖の得点源である新居には、DFが必ず受け渡しを行っている。この状態が続くと、鳥栖は低い位置でボールを回すことに終始させられてしまう。前半は、奈良崎が打ったシュート1本だけに抑えられてしまった。

対して神戸は、左右にボールを振って鳥栖に狙いどころを絞らせない。3人のFWの間からは、MF栗原や時にはDF北本までもが鳥栖ゴールを狙ってくる。鳥栖のDF・MFはおのずと下げられてしまい、FWとの距離を開けられてしまう。こうなると完全に神戸のペースで試合を運ぶことができる。14分にはインターセプトした近藤が、GKと1対1になるが決めることができなかった。同様のシーンは神戸に多く見られ、前半においては『持ち味を出した神戸と耐え続けた鳥栖』の構図で流れていった。

この状況を打破するために鳥栖は後半開始から動いた。足元で勝負できるようにと奈良崎に代えて廣瀬をFWに入れた。裏だけでなく、MFからの受けどころを増やす狙いである。前線と中盤の間に廣瀬が入ることで、持ち味であるつなぐサッカーができるようになった。さらに61分からは、新居のワントップに尹・廣瀬の2シャドー、高橋・衛藤・三原の3ボランチという今までには見たことのない布陣を布陣をひいて流れを呼び込んだ。縦の距離は長いものの、左右の開いたスペースには、高地・長谷川と両サイドDFが上がることでポゼッションを高くすることに成功した。この時間帯から一進一退の攻防が見られることになった。

63分には、鳥栖に最大の好機が訪れた。右サイドからのクロスに飛び込んだ廣瀬が思いっきりシュートを放ったが、ゴール右に僅かにそれてしまった。この試合、最初で最後の得点機だっただけに悔やまれるシュートである。この直後、神戸の右サイドからFW近藤にボールが供給された。裏を取られた格好となった鳥栖DF長谷川とやや遅れて加藤がボールを奪いに行くが、かわされてゴール中央に送られてしまう。混戦の中、三浦と栗原が強引に押し込み決勝点となってしまった。1stDFと2ndDFの連携が取れていればセンタリングにはならなかったかもしれない。残されたCBが走りこんでくる神戸の選手を捕まえていれば押し込まれることもなかったかもしれない。ここまでよく持ちこたえていたDFに、一瞬のほころびが生まれて喫してしまった失点であった。

バーにはじかれたシュートもあった。GKシュナイダー潤之介の美技に救われたシュートもあった。神戸選手のミスに救われたシュートもあった。それでも鳥栖は65分までは持ちこたえていた。前半の一方的な攻撃に耐え続け、システムの変更で持ち直したようにも見えた。しかし、この日の神戸には、昇格を狙うチームの上手さ(うまさ)と強かさ(したたかさ)があった。

プレッシャーが厳しくなるとサイドチェンジでかわし、ボールデッドになると巧みに時間を稼いだ。鳥栖が焦れば焦るほど、その上手さと強かさが際立っていった。バクスター監督の巧者振りが選手に伝わっているのだろう。シーズン序盤のあの慌しさが消えて、安定した結果を残している。

この日、平日開催にもかかわらず多くのファン・サポータがスタジアムを埋めた。3階席には、市内の小学生と保護者約200名が手作り応援フラッグで陣取っていた。試合終了後には花火も打ち上げられて、しばし暑さを忘れさせてくれた。夏休み最後のホーム戦の思い出としては、いささか寂しいものになってしまった。

最下位のチームに破れた事もある。首位のチームに快勝したこともある。長いシーズンを通すと実力どおりの順位に落ち着くのであろう。中位からなかなか抜け出せない。戦績も五分に戻ってしまった。ここから再出発と気持ちを新たにして欲しい。

サッカーは、強いから勝つのではなく、勝った方が強いのである。相手より1点でも多くあげれば勝つのであり、失点がより少なくても勝つことができることを再認識させてくれた。

以上

2006.08.24 Reported by サカクラ ゲン
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