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【J2:第35節 水戸 vs 山形 レポート】ついに見せた内容と結果の結実。『生みの苦しみ』を超え、水戸が手にした勝点3は未来へ向けての大きな財産。(06.08.24)

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8月23日(水) 2006 J2リーグ戦 第35節
水戸 2 - 0 山形 (19:04/笠松/2,176人)
得点者:'19 時崎悠(水戸)、'28 アンデルソン(水戸)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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水戸には明確な目標がある。09年の昇格だ。鬼塚忠久強化部長は豪語する。「今年のメンバーを基盤に3年後のJ1昇格を目指す」と。だからこそ、今季のメンバーには試練を与えられているのである。(第30節〜34節で)5連敗を喫したものの、それはあくまで『生みの苦しみ』。第3クールの水戸は守備一辺倒のサッカーから、堅固な守備を基盤にチーム全体で攻撃を組み立てるサッカーへと変わろうとしているのだ。鬼塚強化部長はシーズン序盤から「昇格するためには自分たちで展開できるようにしないといけない。なので、第3クールは中盤でのパスを増やすから、そこでのミスからやられることが多くなり、1度成績は落ちると思う。だけど、そこから這い上がる強さを持ってほしい」と語っていた。まさにそのプラン通り、チーム強化は進んでいるのである。「5連敗していたけど、迷いはなかった」と椎原が力強く話すのもそうしたチームの明確な強化プランがあるからだろう。大きな『目標』に向け、水戸は着々と力をつけている。

ついに見せた内容と結果の結実。今節は水戸にとって新たな一歩を踏み出した試合となった。序盤こそ、山形の攻撃に押し込まれたが、すぐに「DFとMFをコンパクトにして修正した」(時崎)ことで、レアンドロのスペースを消し、山形の攻め手を断った。そして、そこからは完全なる水戸の時間となった。水戸はボールを持つなり、周囲の動き出しが早く、サイドで優位に立つことに成功。そして19分、左FKから時崎がボレーで合わせて、先制点を決めたが、そのFKは左サイドにうまく走り込んだアンデルソンが倒されて得たもの。執拗にサイドのスペースを狙い、チャンスをつくりだしていったことがゴールにつながったのである。

そして、28分に水戸が「新しいオプション」(前田監督)で追加点を演出した。それはアンデルソンをおとりに使うことだ。第2クールまで絶対的なエースとして君臨したアンデルソンだが、ここ数試合は『持ちすぎ』のため、チームの流れを悪くすることが目立った。アンデルソンをチームの中でいかに生かすかという課題の中、それを解消させるために彼をおとりに使ったのである。最終ラインで吉本がボールを持つと、前線のアンデルソンが引いてボールを受けようとした。その動きに山形DFは完全につられ、背後のスペースを空けてしまう。そこに勢いよく走り込んだのが左サイドの眞行寺。混乱する山形DFを尻目にゴール前の西野にスルーパス。レオナルドがたまらず西野を倒してしまい、水戸がPKを奪取。それをアンデルソンが落ち着いて決め、貴重な追加点を奪ったのだ。まさにチーム全体が一つの共通意識を持って生まれた点である。アンデルソンが『駒』として成り立った瞬間でもあった。

チームとしての成熟を見せる水戸とは相反し、山形の攻撃は単調な『レアンドロ頼み』。パスのほとんどは時には中盤に下がり、時にはサイドへ流れるレアンドロのもとへ。なんとか個人技で起点をつくろうとしたが、水戸の集中の高いディフェンスを崩すことができなかった。そして、最終ラインも不安定で水戸のカウンターを防げず、ボールを支配しているものの、再三水戸に決定機をつくられることとなった。「山形はアウェイ連戦で疲れていた」と前田監督は相手に同情したが、90分間通して決定機をつくれず。『拙攻拙守』を繰り返すのみでは勝利は遠かった。

前半は攻撃的に戦い、リードをした後半はDFラインを下げ、カウンターサッカーへと切り替えて勝利を収めた水戸。後半に追加点を奪えなかったという課題は残したが、攻撃においても守備においてもチームとしての幅を見せての勝利。「今までやってきたことが結果に出た」と前田監督も満足げな表情を見せた。明確な強化プランと、全員が切磋琢磨して成長を見せる選手たち、そしてそれを指揮する監督、スタッフ。すべての力が結合し、今、水戸は生まれ変わろうとしているのだ。昇格という『夢』を『目標』に。そのための大きな『1勝』と言っていいだろう。ただ、この試合は「山形の動きが悪かった」(時崎)のも事実。そして、やはり『たかが1勝』である。「これを続けないといけない」という椎原の言葉通り、今後の戦いがこの勝利の意味を変えるだろう。残り15試合、「全部勝つ」(河野)気持ちで戦ってこそ、チームは成長するはず。今季、どこまで成長できるか。その可能性は無限大だ。

以上

2006.08.24 Reported by 佐藤拓也
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