8月19日(土)J2 第34節 札幌 vs 仙台(19:00KICK OFF/札幌厚別)
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「8月からは一気に巻き返したい」「8月は全勝して上位に食い込む」。7月の終わりから8月の初めにかけて、札幌の選手のほとんどがそんな意気込みを口にしていた。そろそろギアをトップに入れなければいけない、そうした共通意識がチームに生まれていた。しかし、この8月シリーズも徳島戦、愛媛戦を終えて現在1分1敗。全勝どころか、ひとつ勝つことにさえ苦しんでいる状況だ。その2試合を振り返って柳下監督は「いい加減これだけ下位に負けていたら、恥ずかしい、悔しい気持ちを持ってもいいのに・・・」と自チームの不甲斐なさを素直に言葉にした。今季の札幌は調子を上げられそうでなかなか上げられない。J1昇格を目標にしながらも、下位チームにも取りこぼしたりして苦しいシーズンを過ごしている。
それでもやはり、しっかりと上を見据えて戦いを続けていかなければならない。楽なシーズンを送れるチームなどない。チャンスがある限り諦めずにチャレンジする、それも柳下監督の目指すスタイルのひとつであるはずだ。
8月に入っての札幌の注目点は、スリーバックの中央に西嶋を起用しているところ。最終ライン、守備的MF、左右ウイングバックなど複数のポジションをこなせる西嶋だが、ビルドアップのセンスこそがこの選手の持ち味。安定した視野とパスコントロールがあり、振り足の小さなキックで組み立てのリズムに変化をつけることもできる。ここ最近は自分たちのサッカースタイルを上手く表現できないでいた札幌にとっては、西嶋が最終ラインに入ることによって「ボールを動かして攻める」という自分たちのスタンスを思い返すこともできるはずだし、「一番やりたいのはやはり、最終ラインからパスをつないで攻めるサッカー」という柳下監督の持つ理想にもフィットする。より具体的な観点で言えば、相手に引かれてしまった際の打開ができずに苦しむことが多い札幌にとって、パスコントロールを持った選手が最終ラインに入ることで前線にクサビのボールを収められるシーンも増えるはず。徳島、愛媛との2試合ではまだまだ連係面でのズレが目立っていたものの、西嶋のプレーがゲームの中で生きるようになれば、札幌はより質の高いパフォーマンスを出せるようになるだろう。
前節は負傷のため愛媛への遠征に帯同できなかった西谷、芳賀という攻撃のキーマンも今節は復帰する見込み。その愛媛戦で攻撃の形をなかなか作ることができなかった大きな要因は彼らを欠いていたことだ。特に、この試合では右サイドでプレーする芳賀の活躍に期待したい。今季、千葉から移籍してきた芳賀の能力はJ1クラスのものだし、プレー選択の速さはJ2の中では突出している。そうした実力を存分に発揮してシーズン開幕からチームに貢献していたが、Jリーグでレギュラーとして試合に出続けるというのは本人にとって今季が初めてのこと。加えて「ポジションはどこでも気にならない」と本人は言うが、もともとはインサイドのプレーヤー。多くの上下運動が求められるアウトサイドでの連戦にはさすがに披露が溜まっていたようで、シーズン中頃に差し掛かるとイージーなミスが目に付きはじめた。その意味では、前節の欠場は休養として前向きに捉えたい。体力を回復させた芳賀の出来がこの試合はもちろん、残りシーズンの札幌の明暗を大きく分けることになるだろう。
対する仙台の調子は上々。前節はホームで水戸を相手に、完全にゲームをコントロールしてみせた。前半はポゼッションで圧倒し、それでいて全体のバランスをしっかりと保って相手のカウンターをも牽制するという抜群の試合運び。「チームが気を抜いてしまった」(ジョエルサンタナ監督)という後半は内容を落としてしまったが、それでも勝ち点3をしっかり奪うところは立派である。ホームで6試合未勝利という状況から抜け出し、サポーターとの絆も強めたようだ。だが、今回乗り込む厚別競技場は仙台にとっての鬼門のひとつ。これまで一度も勝てておらず、前回の試合でも自分たちのプラン通りに試合を進めておきながらも、試合終了間際に同点ゴールを奪われてしまった。今度こそはホームで得た勢いそのままに、勝ち点3を札幌の地から持ち帰りたいはずである。
攻勢をかけたい8月にも出遅れてしまった札幌は、いよいよ前に出続けるしかない。リスクを恐れず前へ進むということも、札幌が目指すスタイルのひとつであるはず。そう考えれば、腹は決まる。攻めて、魅せて、勝ち点3を奪いにいくだけだ。
以上
2006.08.17 Reported by 斉藤 宏則
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第34節 札幌 vs 仙台 プレビュー】札幌はとにかく勝ち点3を目指して突き進むだけ。対する仙台は久々にホームで得た勝利の勢いそのままに鬼門・厚別に乗り込む。(06.08.18)
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