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【J1:第17節 広島 vs 清水 レポート】レギュラー不在をチーム全体でカバーした清水と、それができない広島の差が、結果を導いた。(06.08.13)

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8月12日(土) 2006 J1リーグ戦 第17節
広島 1 - 2 清水 (18:00/広島ビ/10,569人)
得点者:'45 枝村匠馬(清水)、'72 ウェズレイ(広島)、'78 枝村匠馬(清水)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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 「ああいうミスを繰り返していては、今後のJ1残留争いも厳しくなる」

 ペトロヴィッチ監督は、試合後に表情を堅くして、そうつぶやいた。監督の言う「ああいうミス」というのは、もちろん2失点のシーンである。

 1点目のシーン。裏に出されたボールに対し、中里宏司が清水FW矢島卓郎よりも先に追いついていた。ところが、そこでコミュニケーションミスが生まれる。GK下田崇は「前に出過ぎた」と後ろに下がり、中里は「シモさんのボール」と走るのをやめた。そのためボールは無人のフィールドを転がり、それを矢島が拾ってクロス。藤本淳吾のシュートはDFにはじかれるも、そのこぼれをマルキーニョスが拾った。ここで広島にとっては2つ目のミスが出る。清水でもっとも危険な男・マルキーニョスにペナルティエリアの中で自由を与えてしまったのだ。マルキーニョスは狙いすまして折り返し、枝村匠馬が合わせてゴールをゲットする。

 2点目は、右ストッパー中里の退場で数的不利になった直後に生まれた。右サイドで数的不利をつくられ、山西尊裕にフリーでクロスを入れられる。ただそれは中里退場の影響もあり、仕方のない部分もある。が、そのクロスに対して戸田和幸・ダバツ・下田の3人が重なりあい、飛び出した下田はボールをはじき飛ばすことができなかった。このミスをマルキーニョスは見逃さない。柔らかいクロスを入れると、そこに飛び込んできた枝村がヘッドで無人のゴールに押し込んだのだ。

 ただ、この試合のポイントは確かに広島のミスだったかもしれないが、本質は別のところにある。広島は、運動量が豊富なU-21日本代表の青山敏弘がケガのため出場できなかったことが、もろにチームパフォーマンスの低下につながった。パスは足下ばかり、前の選手を追い越す動きも見られない。前節のF東京戦で見せたアグレッシブなプレーが嘘のようだ。それに対して清水には、エースストライカーのチョ・ジェジンの不在の穴を全員が埋めて勝とうという意志が、みなぎっていた。絶対的な高さ・強さを誇ったチョとは違う、縦へのスピードに特徴を持った矢島の動きを活かそうと、チーム全体がまとまっていたのである。

 戦術的に言えば、清水は広島の2トップ、特に佐藤寿人を極端に警戒していた。清水のDFはゾーンで受け渡しつつも佐藤寿人のマークを絶対に外さない。ボールのない時の動きが秀逸な彼の動きを神経質なまでに捕まえていた。その清水DFから、それでも広島が1点を奪い取ったのは、駒野のスーパークロスとウェズレイの「ここぞ」という時に見せる瞬間的なスピードがあればこそ。逆に言えば、スーパーなプレーが幾重にも重ならないと広島はゴールが奪えないほど、清水のDFの集中は高かった。

 さらに攻撃面でも広島とは違う。中盤の枝村が相手ゴールエリアまで飛び込んで得点を決めているのが、清水の攻撃の象徴だ。清水のMFが放ったシュートが6本。一方、広島はMF陣のシュートは途中出場の李が放った1本きりだ。「2列目から飛び込もう」という攻撃コンセプトは両チームとも同様だが、より表現できていたのは言うまでもなく清水だった。
 これを、「チーム完成度の差」と表現するのは簡単だろう。昨年から様々な紆余曲折を経て、様々な軋轢を乗り越えながらチームの若返りに成功した長谷川監督に対し、ペトロヴィッチ監督は就任わずか2ヶ月。チームをゼロベースからつくりあげようとしている過程なのだから。

 しかし、それは客観視できる立場の人間が言う言葉であって、例えば広島の選手がそう考えていたり、あるいは「青山(あるいはレギュラーのうちの誰か)がいないと厳しい」などと考えているようならば、これから先に彼らを待っているのは、厳しいいばらの道である。ペトロヴィッチ監督のサッカーや指導法は、彼らが諸手をあげて受けていれたものである。ならば、選手たちはそれを責任を持ってサポーターに披露する任務があるはずだ。
 一方の清水は、エース・チョの不在を見事に乗り切ったことは大きい。たとえ失点が広島のミスであったとしても、そこまでに至る過程は堂々たるものだ。矢島という活きのいいFWが出てきたことも、清水にとっては好材料。2001年で年間4位となって以降から続いた長期低落傾向に歯止めをかけ、1999年セカンドステージ優勝以来の栄光に向けて、力強く闘っていけることを証明したゲーム、と言える。首位・浦和との差は勝ち点5。残り17試合でひっくり返せない差ではない。

以上

2006.08.13 Reported by 中野 和也
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