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【J2:第33節 山形 vs 徳島 レポート】攻撃の手応えをつかんだがリードを守れなかった徳島。逆転勝利の山形も課題を克服できず、苦い勝点3に。(06.08.13)

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8月12日(土) 2006 J2リーグ戦 第33節
山形 2 - 1 徳島 (19:04/山形県/5,820人)
得点者:'0 ジョルジーニョ(徳島)、'69 レアンドロ(山形)、'76 レアンドロ(山形)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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キックオフのボールは山形の中盤・永井を経て、右サイドバックの臼井へ。臼井は前を向くや否や、右の裏のスペースへロングボールを入れてきた。スルーすれば走り込んだ林が追いつきそうなそのボールを、石田がヘッドでクリアする。山形がCKを獲得したこの日のファーストプレーには、ここ数試合、前半のペースを相手に許し続けてきた山形の「今日こそは」という気迫がこもっていた。
しかし、それはわずかその1プレーのみでうち砕かれる。CKのクリアボールを拾った佐々木が再び中へクロスを入れるが、これをカットした徳島・アンドレが左スペースへ走り出すジョルジーニョを見逃さなかった。フィードされたボールを足元で転がし、マークが遅れた渡辺を振りきって左足を一閃、GK清水の頭上を越えた放物線の先でゴールネットが揺れた。
山形にとって深刻なのは、相手を誉めるより仕方のない先制点を献上したこと以上に、そこからゲームの支配権を奪われてしまったことにある。徳島は前節から3-5-2を採用しているが、ワイドに開いた両ウイングバックは常にプレッシャーの薄い状態に置かれていた。11分には、片岡がボールを受けてから中に切り返し、そのまま羽地のポスト直撃弾につなげるスルーパスを放っている。また、14分には中央で挽地が金位漫との横パス交換で自分のマークを外すとグラウンダーのボールを縦に差し込んだ。ジョルジーニョがヒールでさらに裏へ流すと、3人目の動き出しで飛び込んできた玉乃がシュートを放った。これは清水にキャッチされたが、前節では見られなかった厚みのある攻撃ができていた。

山形は前節まで、しっかりと網を張り、相手が攻めてきたボールを狭いスペースでからめ取るディフェンスを実践してきたが、この試合では攻撃を活性化させるために前に出て積極的にボールを奪いに行った。その動きは連動しているようにも見えたが、徳島の3人のDFと両ウイングバックがつくる大きなお椀型のスペースは広すぎたのか、動けば動くほど相手に次のスペースを使われる苦しい展開を強いられた。山形は前半25分のレアンドロのバー直撃のシュートなどで徐々に流れを取り戻そうとするが、徳島も前線に2トップのみを残す5バック3ボランチに移行してピンチの芽を摘んだ。徳島は前半21分でリベロ石川の負傷で井手口に交代するアクシデントはあったが、1点のリードを守って折り返した。

後半はスタートから、山形がここ数試合で発揮している「追い上げ攻勢」に入る。左サイドバック内山が高い位置まで上がって本橋と連係を取り始め、中へクロスを差し込む。その直後には、本橋が金にプレスを掛けてパックパスを誘うと、林がインターセプトするなど、運動量を取り戻すなかで選手間のリンクが生まれていた。山形は相手陣内でプレーする時間を増やしていき、さらに、ボールを受けたときもその場でステイせず、間髪入れずにゴールに向けた動きを開始することで、ファウルも取れるようになった。
山形がようやく追いついたのは後半24分。フィールド中央の浮き球を競った林がそのこぼれ球を自ら拾い、裏へ縦に展開すると、石田の背後に消えてからボールを追ったレアンドロが冷静にループシュートを決めた。レアンドロはさらにゴール付近のプレーに何度か絡んだあと、後半31分にもうひと仕事。アンドレのパスを永井がカットし、またも林が縦に展開。2人のDFの間を割ったグラウンダーのボールを拾うと、キーパーとの1対1で今度は横を射抜くシュートで勝ち越しのゴールを奪った。前半に8本打たれていた徳島のシュートを、後半は羽地の1本のみに抑え込み、山形が3試合ぶりの勝利を手にした。

 「原因は精神的なものだと思います。前半あれだけできているんだから。何十試合もこういうのがあるから、もういい加減、一人ひとりが成長しなきゃいけない」徳島のミックスゾーンでは、玉乃が沸き上がる感情をこらえながら話していた。
「ボールを速く動かしてサイドを崩したり、裏を突いたりというような攻めの形は、この間の試合よりは多く出ていた」(徳島・田中監督)という手応えを感じているからこそ、同じような負け方がよほど悔しかったのだろう。前節、ようやく7で止めた連敗だったが、引き分けを挟んでまたも訪れた敗戦。心を折らないことが勝点3への大前提になるだろう。

一方、勝った山形・樋口監督も、これまで会見では聞いたことのないような小さな声で「90分をとおしてもっとワクワクする、エキサイトするゲームをしなきゃいけない。ここ数試合はそれが課題なんですが、今日もその課題が克服できなかった」と絞り出した。前半からゲームを支配するという最重要課題をクリアできなかったことで、「今後の上位との対戦等も考えると、そういうところは改善しなきゃ上にはついていけない」(樋口監督)と、勝点3を素直に喜べないのも当然だろう。課題は次節、2位の横浜FC戦に持ち越された。同じ相手に3連敗は許されず、上位との直接対決も残り少ない。背水の陣と言える戦いになる。


以上

2006.08.13 Reported by 佐藤 円
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