8月12日(土) 2006 J2リーグ戦 第33節
柏 2 - 5 鳥栖 (19:04/柏/7,148人)
得点者:'24 李忠成(柏)、'38 新居辰基(鳥栖)、'42 オウンゴ−ル(鳥栖)、'52 山城純也(鳥栖)、'58 新居辰基(鳥栖)、'74 新居辰基(鳥栖)、'83 小林祐三(柏)
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前半24分、李忠成が先制ゴールを奪ったとき、最終的に2−5というスコアで試合が終わるとは誰も予想できなかっただろう。
試合の序盤から主導権を取ったのは柏レイソルだった。首位との対戦ということで、サガン鳥栖は基本的には4−2−3−1のような布陣ながら、柏のディエゴに対してボランチの位置にいる濱田を、リカルジーニョに対してトップ下の位置にいる衛藤をマンマーク気味につけてきた。しかし、柏の選手たちはそれに混乱することなく前線からの素早いプレッシングでボールを奪うと、谷澤、山根を中心に攻撃を組み立て相手への圧力を強めていた。また鳥栖が苦し紛れのロングボールをワントップの新居に放り込んできたときは、岡山が的確に弾き返し、ほとんど鳥栖にポゼッションをさせなかった。
だが、柏がボールを保持する時間は長かったものの、その割にはゴールを脅かす回数が少なかった。鳥栖のDF陣が決定的なパスを通させず、集中力を保っていたからである。しかし、そこは首位のチーム。圧力をかけ続けて奪った右CK、平山が蹴ったボールは少し高めの軌道を描きファーサイドにいたディエゴへ。ディエゴのヘディングはバーに当たったものの、跳ね返りを李がきっちりと押し込み、前半24分に柏がリードを奪った。パス回しで崩しきれなくてもセットプレーで得点するという、首位の貫禄漂う先制点だった。
しかしこの後、谷澤のポスト直撃のボレーシュートなど、攻めながらも追加点を奪えなかったことが大きな足かせとなってしまう。前半の残り10分ほどから、柏レイソルの足が止まってしまったのだ。前線からのプレッシャーが少なくなれば、鳥栖はプレッシャーを受けずにパスを配球できるようになる。前半38分、左SBの高地から右サイドに開いていた山城にサイドチェンジのパスが通る。山城はドリブルでマークを抜き去り、ペナルティエリアの深い位置からマイナスのセンタリングをあげた。逆サイドに待っていたのはJ2得点王の新居。体を倒しながらボレーで合わせ、逆サイドに蹴りこむ見事なゴールだった。前半42分、鳥栖は続けざまにゴールを奪う。柏にとってはCKを岡山がクリアミスするという不運なオウンゴールではあったものの、そのCKは前線に構える新居に良いパスが出たため岡山が辛うじてクリアしたことで生まれていた。それまで、鳥栖の前線にはほとんど生きたパスが通らなかったのが、前半終了間際に大きく変わったのである。
後半に入っても鳥栖のペースで試合は続く。「ハーフタイムに入った時、気持ちを切り替えるようにと話をしたんですけど、後半立ち上がりリズムが変わってなかった」と試合後に語った柏の石崎監督。流れを変えるために鎌田と鈴木をサイドラインに控えさせていたとき、CKを防いだ鳥栖の速攻が決まる。鳥栖のすばやい攻守の切り替えについて行ける柏の選手はおらず、ドリブルで持ち込んだ山城に3対2の状況をつくられ、そのままシュートを決められてしまった。
その後、前がかりになった柏に対し、鳥栖がカウンターを仕掛ける試合展開となる。それは鳥栖の新居にとっては願ってもない展開であり、柏陣内に大きくできたスペースで躍動する。自ら奪ったPKをループで決めてこの試合2点目。さらに前線で奪ったボールを受けるとディフェンスを背負いながら反転し、左足で鋭いシュートを決めて3点目。今期、2度目のハットトリックを決めた。
柏レイソルが先制点を奪った試合で負けるのは今季初。5失点はショックだろう。ただ、試合の行方を左右するものは様々だが、鳥栖の選手たちの集中力はスタンドから見ていても伝わってきた。結果として勝負を決めることになる3点目のシーンは、相手CKからのカウンターだったわけだが、このCKになったプレーで、ゴールラインを割ろうとするボールをシュナイダー潤之介が必死になって追いかけていた。結果としてCKになってしまったが、このプレーにはゴール裏のサポーターから大きな拍手が湧き起こり、味方の選手たちにも良い影響を与えていた。
J2を首位で走るチームにとって、第3クールの戦いはこれまで以上に厳しいものとなる。疲労がたまっているように見えた柏レイソルにとって、この敗戦が後を引かないようにしなければならない。終盤にようやく奪った得点は鳥栖の3点目と同じように、ゴールラインを割ろうとしたボールを、鈴木達也が必死で追いかけて生かしたボールを、小林祐三が決めたものだった。そうしたプレーをどれくらいピッチ上で表現できるかが今後の行方を決めるだろう。
以上
2006.08.13 Reported by 田中 滋
J’s GOALニュース
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