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【ヤマザキナビスコカップ 磐田 vs 横浜FM レポート】磐田の攻撃をきっちりと封じた横浜FMが勝利。準決勝進出を決める。(06.06.09)

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6月8日(木) 2006 ヤマザキナビスコカップ
磐田 0 - 2 横浜FM (19:05/ヤマハ/4,452人)
得点者:'19 マルケス(横浜FM)、'88 久保竜彦(横浜FM)
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「今日をもって身を引くことにします」。試合後の記者会見でいきなり飛び出した山本監督の辞意表明に、メディア関係者は一時騒然となった。選手たちも、監督の辞任について自ら語ることはなかったが、その表情は一様に硬かった。

山本監督は、辞任の理由については多くを語らず、「ジュビロにとって僕が身を引くことが最善だと考えた」とだけ答えたが、やはり思うような成果・成績が出ていないことが大きいだろう。この横浜FM戦で勝っても負けても辞任の意志は変わらなかったと言うが、最後の試合でも、なかなか思うようなサッカーをサポーターに見せることはできなかった。

試合のほうは、両チームとも第1戦とまったく同じスタメンで臨んだが、立ち上がりから主導権を握ったのは、アウェイの横浜FM。「この試合単独で勝ちにいくという試合をしよう」と岡田監督から指示された選手たちは、前線から厳しいプレッシャーをかけ、ボールを奪ったら素早く縦へ、サイドへと展開して磐田ゴールに迫る。

特に第1戦と比べて、横浜FMの守備面での修正が光った。「相手の4バックに対して3バックだと、どうしても(相手の)サイドバックへのプレッシャーが遅れるので、そこをどうずれていくかということを今週は重点的にやった」(岡田監督)という部分が形になって表われ、磐田のパスの出所にしっかりとプレッシャーをかける。特にトップ下の清水は、攻守にわたって豊富かつ献身的な運動量を見せ、前線からの厳しい守備の立て役者となった。
それによって磐田はクサビのパスを封じられ、徐々にポゼッションできるようになっても、なかなか縦にボールが入らず、攻め手がない。最終ラインから大きく裏を狙っても、横浜FMの高さのある3バックがロングボールにも危なげなく対応して、つけいるスキを与えなかった。

そうして横浜FMペースで進む中の19分、右サイドでの磐田の不用意なパスを、ボランチの河合が鋭い出足でカットして、そのままクロス。これを逆サイドから入ったマルケスがきっちりとボレーで決めて先制点を奪う。これでトータル3-1となり、横浜FMがゲームプラン通りに大きなアドバンテージを得た。

その後、横浜FMの守備が少し下がって、磐田の付け入る隙が徐々に出始め、32分には右CKからのサインプレーで西が惜しい場面を作った。しかし、その矢先の33分、さらに磐田を追いこむ出来事が起こる。横浜FMのロングキックから吉田が裏に飛び出し、それを後方から追いかけたDF茶野が、吉田と接触して倒してしまう。茶野の立場からすれば、ボールを見ていただけで故意に引っかけたわけではなさそうだが、柏原主審の判断は、得点機会を阻止したとして一発レッド。
これで10人になった磐田は、菊地をセンターバックに下げ、ボランチをファブリシオ1枚にして、守備を安定させながらカウンターにかける試合運びを狙ったが、横浜FMの守備陣もこれに冷静に対応。

後半は雨が降り始めた中で、両者とも次の1点を貪欲に狙い、決定機の数は横浜FMのほうが上回ったが、そこは磐田の若い守備陣がなんとか踏ん張る。磐田のほうも、10分に鈴木のスルーパスから前田がゴール右に飛び出し、シュートがポストに当たるという決定的な場面を作ったが、結局後半のシュートはこれ1本のみ。
その後、磐田は18分に名波とカレン、横浜FMは27分に久保と、ともに切り札を投入。お互いに最後の最後までゴールを目指して攻め合う中、43分にマルケスの左クロスから久保が頭で2試合連続のゴールを決め、これで勝負あり。磐田の攻撃をきっちりと封じた横浜FMが、準決勝進出を決めた。

山本監督が就任して1年半ちょっと。その間、磐田は世代交代を図りながら、チームの再構築を進めてきた。この日の先発メンバーの平均年齢は24.73歳と、一頃30歳近かった就任前に比べれば大いに若返り、24歳の前田遼一以下、若い選手たちも大きく成長し、自信をつけてきた。しかし、同時に結果も求められるのが、磐田というチームの宿命。
そうした困難なミッションの中、理想と現実の狭間で努力と苦労を重ねてきた山本監督の後を引き継ぐのは誰になるのか。この後、2週間弱のオフに入る磐田は、早急な後任監督選びという難しい宿題を抱えることになる。

以上

2006.06.09 Reported by 前島芳雄
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