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【W杯直前:オーストラリア代表戦力分析】4-3-3か3-4-3か。知将・ヒディンク監督が、数ある選択肢の中から日本戦で選ぶのは…?(06.06.09)

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94年アメリカ大会から2002年日韓共催大会まで3回続けてプレーオフで敗れ、ワールドカップ出場を逃してきたオーストラリア。そんな勝負弱さを彼らは完全に払拭した。原動力となったのが2002年大会で韓国をベスト4に導いた世界的知将・ヒディンク監督だ。

その指揮官はオーストラリア代表を率いる今も卓越した手腕を発揮している。
今回のドイツ大会に向けての親善試合でも、4日のオランダ戦(ロッテルダム)で4-3-3のシステムを試したかと思えば、7日のリヒテンシュタイン戦(ウルム)で3-4-3に変更。オランダと互角の戦いを演じたエース・ビドゥカ(ミドルスブラ)や中盤の要・グレッラ(パルマ)を温存し、代わってアロイージ(アラベス)やスココ(ストーク・シティ)を起用するなど、最後の最後までチームのあらゆる可能性を追求したのだ。

オランダ戦のオーストラリア代表は、
GK:シュワルツァー(ミドルスブラ)
DF:(右から)エマートン(ブラックバーン)、ムーア(ニューカッスル)、ニール(ブラックバーン)、チッパーフィールド(バーゼル)
MF:ボランチ=ウィルクシャー(ブリストル・シティ)、グレッラ(パルマ)、トップ下=カリーナ(PSV)
FW:右=ステルヨフスキー(バーゼル)、左=ブレシアーノ(パルマ)、ビドゥカ(ミドルスブラ)
が先発した。しかしこの試合でウィルクシャーが退場したこともあり、指揮官はリヒテンシュタイン戦の先発を大幅に入れ替えた。

7日に行われたリヒテンシュタイン戦は
GK:カラッチ(ミラン)
DF:(右から)ムーア、ニール、ポポヴィッチ
MF:右サイド=エマートン、左サイド=ラザリディス(バーミンガム)、ボランチ=スココ(ストーク・シティ)、トップ下・カーヒル(エバートン)
FW:右=ステルヨフスキー、、左=キューウェル(リバプール)、アロイージ(アラベス)
という顔ぶれがピッチに立った。

股関節を痛め長期離脱していたキューウェル(リバプール)が久しぶりに先発したこの試合。彼はまだ体が重かったが、積極的に攻撃の起点を作った。前半のオーストラリア代表は彼のいる左サイド一辺倒の攻めを見せる。キューウェルとラザリディスが2対1を作って相手を崩し、そこから中に折り返す形を繰り返したのだ。中央ではビドゥカと同じポストタイプのアロイージが待ち構える。このタフなFWがターゲットとなり、裏にステルヨフスキーが飛び込む形でまず1点目を奪った。
後半に入ると、右サイドにいたエマートンが中に移動。右サイドにステルヨフスキーが下がり、カーヒルが右FWに入るという布陣変更を行う。そしてキューウェルが早い時間帯に下がった後は右サイドを基点とした攻めに打って出た。前線にはキューウェルと交代した日本戦の切り札・ケネディ(ディナモ・ドレスデン)が陣取る。192cmの長身FWは空中戦に絶対の自信を持つ。この彼がエマートンからのボールを確実にヘッドで押し込み2点目を奪う。そして3点目も右からのクロスに反応したアロイージがヘッドでゴールする。「サイド攻撃」と「空中戦」という彼らの最大の特徴が如実に出たゲームだった。

日本戦でも、オーストラリア代表はこの形を踏襲してくるだろう。最後まで手の内を明かさないヒディンク監督だけに、基本布陣を4-3-3にするのか、3-4-3にするのかは現時点ではハッキリしない。先発も確定しているのはGKシュワルツァーと最終ラインのムーア、ニール、右のエマートン、左のチッパーフィールド(バーゼル)と、中盤のグレッラ(パルマ)、そしてFWのビドゥカくらい。キューウェルの体調は万全でないが、ブレシアーノが十分に穴を埋められる。キューウェルを温存して切り札に使うこともできるのだ。中盤とFWは選択肢が多いため、どの組み合わせを選ぶのかは指揮官の胸三寸といったところ。この状況ではジーコ監督も的を絞りにくい。前哨戦ではヒディンクに分があるようだ。それでも「サイドを崩して高さでゴールを狙う」という日本が最も苦手とするスタイルをベースに戦ってくるのは間違いない。そんな特徴を消すことから日本勝利の道は開けてくるはずだ。

今回のオーストラリア代表はプレミアリーグのビッグクラブで活躍する選手が多く、個人の能力や国際経験は申し分ない。チームの総合力も日本を上回るといっても過言ではない。が、そんな彼らにも弱点がある。
それは「不安定な守備」だ。
リヒテンシュタイン戦でも立ち上がり早々の相手FKをニールがクリアミスし、そのままオウンゴールを与えてしまった。その後も相手ストライカーの速さに何度か振り切られそうな場面があり、華麗な攻撃陣に比べると守りはやはり見劣りする。ニールにしてもポポヴィッチにしても大柄でフィジカルの強い選手だが、細かい動きやスピードには弱い。日本としてはその部分を積極的に突きたい。

いずれにせよ、オーストラリアは多彩な戦い方を持っているだけに、予想以上に手ごわいという印象だった。そんな相手をいかに下すのか。ここへきて日本代表の主力に負傷離脱者が相次いでいるのも心配されるが、とにかくベストを尽くすしかない。


以上

2006.06.08 Reported by 元川悦子
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