6月3日(土) 2006 J2リーグ戦 第19節
仙台 1 - 0 徳島 (14:04/ユアスタ/14,160人)
得点者:'73 梁勇基(仙台)
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今日の試合の2日前、6月1日は、ロペスの27回目の誕生日。練習後ロペスは、チームメイトからパイ投げ攻撃の手洗い祝福を受けていた。
というわけで仙台にとって今日のホームゲーム、サポーターの祝福ムードもあり、さながら「ロペスのお誕生会」といった雰囲気も。そしてどうやらこの情報は、27歳となったロペスが最初に対戦する相手、徳島のチームにも伝わっていたらしい。徳島は律儀にも、しっかりロペスに対し「バースデープレゼント」を用意して、仙台にやってきた。お誕生会にお呼ばれしたからには、やはり手ぶらで来るのはマナー違反。その点で徳島は行儀が良かったのだが・・・。
そのプレゼントが、果たして受け取る本人の望んだものかといえば、むしろ「嫌がらせ」の部類に属するものだった。ロペスにもたらされたものは、本来右のサイドアタッカーとして、黙々と敵陣を切り裂く姿が印象的なはずの大場による、ピッチ全面での執拗な『マンマーク』。
そしてご丁寧にも徳島は、ロペスだけでなくその家族―ブラジルファミリーの残り2人―にも、漏れなくマンマークのプレゼントを携えていた。チアゴ ネーヴィスには岡本、ボルジェスには井手口が密着し、自由なプレーを奪っていく。仙台にとって思い出すのは第8節アウェイでの草津戦。今回同様ブラジルトリオにガチガチのマンマークをつけられた仙台は、状況を打開する具体的な策を講じることが出来ず、結果0‐0のスコアレスドローを喫してしまった。その苦い思い出が一瞬頭をよぎる。
それでも今日の仙台は、立ち上がりこそ決してリズムは悪くなかった。ロペスやチアゴ ネーヴィスが幅広く動いてボールに絡み、そこに菅井、梁などの選手も上手く関わっていくことで、チャンスは仙台の方に多く生まれていた。28分にはゴール至近からボルジェスが、早い反転からシュートを放つがこれはバーを軽くかすめるのみでゴールには至らない。
そうこうしているうちに徳島にもわずかにチャンスの目が。左ではSB尾上の単独突破、右では2トップの一角、小林がサイドに流れていく動きによって基点が生まれ、仙台を一瞬脅かす。結果的に白井がシュートを阻んだが、38分にはペナルティスポット付近の羽地に良いパスが入り、あわやという場面もあった。仙台の優勢で進んでいたゲームは、ハーフタイム前後では拮抗した内容になりかけていた。そうなれば、徳島の狙い通りである。
しかし後半、ある選手交代をきっかけとした仙台のシフト変更が、ゲームを再び仙台に傾かせる。64分、仙台は熊林に代えて磯崎を投入、彼を千葉でダブルボランチを組ませ、梁を少し前に押し出した。と同時にロペスが左サイドに移り、前線は萬代とチアゴの2トップになる。
この変更で目覚めたのがチアゴだった。最近、FWとして使われることも多いチアゴは、何度も厳しいマークで倒されながら、それでも前を向き、ゴールを狙っていく。
その執念が73分、見事に報われた。左サイドでボールを受けたチアゴは、まず急な反転で2人をかわし中央へ持ち込んだ後、囲んできた4人近くの選手の隙間をすりぬけGKと1対1に。そこでのシュートはGK島津のファインセーブで防がれるが、ボールがはじかれたその先にはしっかりと梁が詰めていた。無人のゴールマウスに梁が流し込んで仙台が先制。
その後徳島はマンマークを解き放ち、ノーマルモードに切り替えて同点ゴールを狙うが、終了間際の失点を繰り返したくない仙台が今日はしっかりと守った。欲を言えば先制点を決めた後にも、カウンターからロペス、磯崎、村上と、GKと完全な1対1という場面が続き、それを決めていれば大差もありえたのだが、結果的に梁のゴールが決勝点となった。
最少得点ではあるが、仙台にとって勝ち点3は何にも替えがたい収穫であり、その意味では満足のいく結果である。そもそも今日の試合で、ボルジェスが前半で目のトラブル(おそらく軽い脳震盪かと思われるが、試合後病院で診断を受けた結果、特に以上は無かったようだ)を訴え、後半開始から退くというアクシデントがあったことを思えば、ひとまずこの勝利にほっと一息といったところだろう。
一方の徳島は、元々本当に厳しい状況で戦っている。余りのケガ人の多さ、そして秋葉の出場停止もあって、ついに今日はベンチ入りメンバーが4人のみとなってしまった。
だがそんな中で、本来のポジションではなかった選手が新たな魅力を見せたのは、今後につながる発見ではなかったか。前述の大場をはじめ、中盤低い位置でのプレーを務めた伊藤、後半開始から左SBとしてプレーしたFW石田などは、それぞれ状況を考えれば及第点をつけられる出来だった。かつて草津がそうだったように、今日のようなマンマーク戦術を次節以降繰り返すことはないと思うが「まず守備をこなしてから」という一つの石の元に、上位チームをある程度苦しめた戦いは、決して無駄にならないと思われる。
そういえば、ロペスの誕生会はどうなったか。
試合後、挨拶のためにピッチを回っていた仙台の選手たちに、サポーターから投げ込まれたのは、ロペスのアフロを模したかつらの数々。それをおもむろに被る選手たち。そして最後は、ロペスの応援歌に合わせて肩を組みダンス。
ピッチ上の90分だけでなく、全ての意味において、このチームはだんだん楽しくなってきた。そう思える週末の午後である。
以上
2006.06.03 Reported by 佐々木 聡
J’s GOALニュース
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