5月14日（日） 2006 ヤマザキナビスコカップ
大宮 1 - 0 甲府　（13:01／駒場／5,521人）
得点者：'89 小林大悟（大宮）
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■特Ｊ！プレイヤー： 小林　大悟選手（大宮）
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　J1で初対決となる甲府を迎えてのナビスコカップ４試合目は、９０分間拮抗した戦いが続いた。互いに攻め合い五分の戦いを見せた前半４５分。それを持ちこたえ自分達のペースに近付けていったのは大宮。わずかな流れを引き寄せながら、最後は８９分に勝利を手に入れた。ここまで４連敗中の甲府に対し２連勝中の大宮。ここ数試合の流れのままに決着はついた。

「疲労も考慮しながらベストメンバーを」と前日に三浦監督が発言しているとおりここ５戦連続でスタメン出場した小林慶が先発から外れた。また出場停止の冨田に変わって土屋がセンターバックに入り、左SBには三上が入った。４バックであることは通常と変わらないものの、今季初となるダイヤモンドの中盤を組んだ。中盤の底に片岡、右に藤本、左に久永、トップ下に小林大。これは攻撃的にというよりも攻撃サッカーを展開する甲府に対応したもの。「守備のセンスがある」と三浦監督が認める小林大に、「ボールの出所である林健太郎を押さえる」（三浦監督）役割を与えた布陣。これが結果的に「大悟も中で受けられてよかったと思う」と会見でコメントしているように、攻守共に小林大を軸として試合を展開することになる。
　
　一方の甲府は倉貫、藤田を欠く厳しい台所事情。だが、アライールが負傷から明け、今季初めてビジュとセンターバックを組んだ。布陣はいつもの４―３―３。前線には何と言っても２年前の大宮J1昇格の立役者バレーが待ち構える。彼にスペースを与えない事、スピードに乗らせない事にも大宮は細心の注意を払った。

　互いに攻め合いながら決定機に至らなかった前半。特に大宮は惜しいところまで行きながらフィニッシュの精度を欠いた。１２分、中盤で藤本のドリブルから小林大を経由した久永のシュートは枠の上へ大きく外れた。３３分、ゴールライン際三上の粘りから得た左CK。ニアサイドに走りこんだ土屋のヘディングはものの見事にバーを直撃。対する甲府はポゼッションしながらも決定的なチャンスまではいかない。３５分、林のキープから前線バレーに渡りペナルティエリア内に持ち込まれるが、土屋、トニーニョの２枚で防ぐ。４４分、右サイドのから波戸があげたクロスは中央ペナルティアーク付近でフリーで待つ小林大の元へ。これをダイレクトボレーで狙ったがこれもバーの遥か彼方へ。また、４５分ペナルティエリアやや外で得たFKに、宇留野が丁寧に放ったキックは壁にぶつかる。このように、決定機を列挙してみても双方悪くはないが、冴えない４５分間だった。

　後半、大宮へやや流れは傾くが、ほんのわずかに過ぎない。両チームがフルに使いきった交代枠が有効に機能したのは大宮だった。森田に代え投入した桜井のキープが前線にリズムを生み出し、両サイドからのクロスが増える。一方甲府は「もっとシンプルに」という指示を実行できぬまま。徐々に連戦との疲れも目に見えるようになる。
　
　スコアレスドローが濃厚かと思われた８９分均衡を破ったのはまたも小林大だった。桜井が左サイドから挙げたクロスをペナルティエリア内右で若林がヘディングで落とし、藤本と渡り、若林がラストパスをゴール前へ送る。混戦の中久永が空振るも、その左に詰めていた小林大が、「必死に足を伸ばして」（小林大）押し込んだ。大宮の選手たちはゴール脇で小林大に折り重なって喜いあう、それを尻目に試合終了間際の失点に甲府イレブンはがっくりへたりこんだ。

「いつまでも大悟ばかりに頼ってられない」
三浦監督がそう話していた事がる。けれども、やはり頼りになるのは彼だった。本人は「調子は良くない」と繰り返す中での得点、アシストが続く。

決勝トーナメント進出が厳しくなった甲府。一方大宮は本当のギリギリで決勝トーナメントへの望みをつないだ。

あと２試合、連勝してようやくベスト８への道が見えてくる。C大阪との連戦、勝ちにいかなくてはならない。

以上

2006.05.15 Reported by 了戒美子