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ルヴァン 準々決勝 第1戦
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【 キリンカップサッカー2006 日本代表 vs ブルガリア代表:レポート】攻撃面の収穫はあったが、守備の不安定さと決定力不足をまたも露呈。ブルガリアに1−2で敗れ、黒星発進した日本。(06.05.10)

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●キリンカップサッカー2006
5月9日(火)19:20/大阪長居スタジアム/44,851人
日本代表 1-2 ブルガリア代表

得点者:
1分 S.トドロフ(ブルガリア)
76分 巻 誠一郎(日本)
91+分 H.ヤネフ(ブルガリア)
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 ちょうど1年前のキリンカップ2連敗をジーコ監督も選手たちも忘れてはいないはずだった。ところがキックオフから1分も経たないうちにブルガリアのエースFW、S・トドロフに先制ゴールを決められてしまう。いきなりのビハインドは日本代表に重くのしかかった。この後は巻誠一郎(千葉)のゴールへの貪欲さ、玉田圭司(名古屋)のスピード、彼らを生かすスムーズなパスワークなどで建て直し、攻撃面はまずまず機能した。が、決定力不足は相変わらず。後半になって巻が蹴りこんで同点に追いついたものの、試合終了間際にもミスから失点。終わってみれば1−2の負けという最悪の結果となった。1ヵ月後に迫ったドイツワールドカップ本大会向けて重大な課題が改めて浮き彫りになった。

 キリンカップサッカー2006の初戦・ブルガリア戦が9日、19時20分から大阪・長居スタジアムで行われた。平日夜、しかも小雨の舞う中のゲームだったが、2003年6月のアルゼンチン戦以来3年ぶりのゲームとあって、44,851人の観衆が詰めかけた。

 ジーコ監督は7日のJ1リーグ戦に出場した小野伸二ら浦和勢と小笠原満男ら鹿島勢を温存。遠藤保仁(G大阪)をトップ下に置く3−5−2で挑む方向を打ち出していたが、その布陣は変わらなかった。GK川口能活(磐田)、DF田中誠(磐田)、宮本恒靖(G大阪)、中澤佑二(横浜)の最終ラインも今まで通りだ。だが、先発予定だった2トップの一角である久保竜彦(横浜)が足首に違和感を自ら訴え欠場。23人枠のボーダーラインにいるといわれる巻が代役出場した。一方のブルガリアは4−2−3−1。94年アメリカワールドカップ得点王であり、かつて柏レイソルでプレーしたストイチコフ率いる相手は前日朝来日したばかりで国内組中心のメンバー。コンディション万全ではないだけに、確実に勝って今後に弾みをつけたかった。

 巻と玉田というフレッシュなコンビがチームを引っ張ると思われた立ち上がり。日本はまさかの失点をしてしまう。中央からのパスに反応し、右サイドを走ってきたY・トドロフがドリブルで切れ込み、中央を抜けてきたS・トドロフへ。彼はマークについた田中には止められない右足で簡単にゴールを奪った。「スペースに入り込まれた時、誰がどういう走り方をしていたのか分からない。対処しないといけない」と試合後の宮本は苦渋の表情を浮かべたが、集中力の欠如といわれても仕方ないミス。本大会を考えても、絶対にやってはいけない失点だった。

 ビハインドを背負った日本は巻と玉田を軸に積極的に攻めた。代表残留を狙う巻と阿部勇樹(千葉)、村井慎二(磐田)の「元千葉トリオ」が速いリズムで展開し、流れを作る。阿部や遠藤が2〜3列目から飛び出すなど「人とボールが動くサッカー」が久しぶりに見られた。玉田も少し低めの位置からドリブルで仕掛けた。前半23分には玉田の左足から強烈シュートが放たれた。これは鋭いボールだったが、不運なことにポストを叩く。これが試合の明暗を分ける決定機となった。

 36分には阿部勇樹(千葉)がフリーでヘッドを放ち、続く39分には遠藤がゴール前に飛び出してフリーになるが、これも得点に至らない。前半だけで4〜5本あったビッグチャンスが決まっていれば、日本が試合をひっくり返していたはず。「決定力不足」はまたもチームにのしかかった。

 後半に入ってからも1点が入らない。しびれを切らしたジーコ監督は、温存していた小野や小笠原を投入。布陣を4−4−2に変えて点を獲りに行った。小野の創造性あふれるパスワークは新たな可能性をもたらす。負傷退場した村井と交代した三都主アレサンドロ(浦和)も攻撃への強い意欲をのぞかせた。

 迎えた後半21分、果敢なトライの末、同点弾が生まれた。加地亮(G大阪)からの大きなクロスに反応の三都主が思い切りのいいシュートを放つ。そのこぼれ球を巻が右足ふくらはぎに当てて押し込んだのだ。巻の泥臭さがもたらした貴重な1点だった。

 日本は追加点を狙ったが、このまま終盤に突入。ジーコジャパン発足後の日本はこの時間帯を得意としているだけに期待はあったが、この日は逆の展開に陥った。そしてロスタイム、日本は相手に好位置でFKを与えてしまう。キッカーは途中出場のヤネフ。彼の蹴ったボールは処理しにくい中途半端な弾道を描き、ゴールに飛び込んだ。ジャンプした宮本も、ゴールマウスを守っていた川口も処理し切れなかった。「立ち上がりとロスタイムの失点はいいことじゃない」と川口は話したが、これも後の祭りだった。

 結局、ジーコジャパンは本大会出場国ではない相手に信じがたい敗戦を喫した。連休中の過密日程がたたり、チーム状態は最悪だったが、それは言い訳にはならない。

 特に心配されるのが守備の不安定さだ。本大会で勝ち上がるには失点ゼロに抑えることが最低条件。先に失点していてはその可能性がどんどん小さくなる。川口、宮本、中澤らの状態の悪さも気になる。ジーコ監督はこのあたりをどう修正するのだろう。

 シュート20本を打って1点どまりの決定力の問題も目に付いた。このままではドイツでの1次リーグ突破など夢のまた夢だ。

 それでも巻の貪欲なプレスとゴールに向かう姿勢はチームに活力を与えた。玉田もフレッシュな状態を取り戻したし、途中出場の小野は本来のひらめきを存分に表現した。こうした明るい材料をドイツにつなげることが肝要だ。本番までの国際試合はスコットランド戦を含めて3試合。次はムダにできない。

以上

2006.05.10 Reported by 元川悦子
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