4月1日(土) 2006 J2リーグ戦 第6節
愛媛 1 - 0 徳島 (14:04/愛媛陸/4,110人)
得点者:'85 森脇良太(愛媛)
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JFLでは数々の死闘を繰り広げてきた愛媛FCと徳島ヴォルティス。舞台をJに変え、その新たな歴史の始まりとなった『四国ダービー』第1ラウンド。JFL時代から頻繁にホームゲームに足を運び、「JFLでJの先を越された徳島と草津には負けられない」と、ことあるごとに語っていた愛媛の中村・松山市長がゴール裏で観戦するというサプライズもあって、ダービーならではの独特の雰囲気でキックオフを迎えた。
その立ち上がりにファーストシュートを放ったのは徳島。MF羽地からのロングボールにFW小林がDFの裏に抜け出し、最後は愛媛DF八柄をかわしてシュート。これは愛媛GK羽田がしっかりセーブして難を逃れたものの、ここまで5試合での7得点中、前半に6得点をあげている徳島が、今日のダービーでも攻勢をかけるかと思われた矢先の前半6分。愛媛は徳島DFの裏に抜けたFW田中が左サイドをえぐり、中央の永冨がヘディングシュート。これは徳島GK島津がかろうじてゴールマウスからはじき出したが、愛媛は直後の8分にもDF森脇のミドルシュートで徳島ゴールを脅かすと、徐々に試合の主導権を握り始めた。
そして今節注目のサイドアタックでは愛媛の右サイド、MF菅沼とDF森脇が再三徳島の左サイドを突破。さらに、高い位置から積極的にプレスを続ける愛媛に対して中盤を支配され、ロングボールに頼るしかなくなった徳島。これに対して愛媛は、41分にも菅沼がドリブルで右サイドを完全に突破。折り返したボールはGK島津のファインセーブでFW永冨に合わなかったものの、前半愛媛のシュート4本、徳島1本という数字以上に試合の流れは愛媛にあった。
ただ、これまでのJFLのダービーなら、前半飛ばして愛媛が先制しても後半したたかに徳島が逆転・・・という試合が何度もあった。しかし今日の愛媛の勢いは、後半になっても衰えなかった。JFLの四国ダービーでは、何度も辛酸をなめてきた愛媛のMF濱岡が中盤で躍動。すると今季新加入で四国ダービー初出場の菅沼も、濱岡とポジションチェンジを繰り返し、縦横無尽の活躍。「ダービーを知る選手の勝利への気持ちが、ダービーを知らない選手にも繋がった」とGK羽田が振り返ったように、後半に入っても愛媛は立ち上りにフリーキックからDF星野、そして2列目から飛び出してきたMF高萩がシュートを放って波状攻撃が続く。
さらに、愛媛の前線からの激しいプレスに徳島のボランチはパスのつなぐ事ができず、中盤ではミスを連発。するとゴールが欲しい愛媛は後半15分にFW大坪を投入。古巣相手に意気込む大坪が1.5列目まで下がってボールをさばくようになると、愛媛は両サイドに加えて中央にも起点ができた。後半25分には永冨と大坪の2トップで中央突破。徳島のGK島津の飛び出しで事なきを得たものの、愛媛は次々と徳島ゴールに襲い掛かった。
そして遂に試合が動いたのが40分。中央の高い位置で、交代出場の愛媛FW田村が激しいタックルからボールを奪うと、決めたのはやはり右サイドから森脇。「前半イエローをもらっている徳島の左を突いていこう」と望月監督が指示していた通り、森脇独特の力強いドリブルから放たれた左足のミドルシュートは、好セーブを続けていたGK島津の右脇を抜け、徳島のゴールネットを揺らした。
追い詰められた徳島は44分、最後に意地を見せた井手口のオーバヘッドもゴール右へ。アウェイでも愛媛に負けない大声援を贈り続けたサポーターの前で、いいところなく敗れた。「ダービーという意識よりリーグ戦の1試合として、負けられない気持ちが強かった」とは徳島のMF羽地。JFLでの四国ダービーを知る、知らないに関わらず「このダービーには勝ちたい」と口々に語った愛媛の選手の気迫が徳島を上回ったことが、今日の結果につながったと言えそうだ。
試合後の両監督の会見も好対照。先にはじまった徳島・田中監督は憮然とした表情で言葉少な。一方の望月監督からは、今季一番の笑顔がこぼれた。記念すべきJでの四国ダービーは見事愛媛が初戦を制し、JFLでは越えられなかった徳島の壁をようやく越えた。しかし、四国ダービーの歴史は始まったばかり。「まだ3つダービーが残っているので切磋琢磨して四国を盛り上げたい」試合後に望月監督が語ったように、今季の『四国ダービー』は今後も白熱の試合が繰り返されそうだ。
以上
2006.04.01 Reported by 近藤義博
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