3月21日(火) 2006 J1リーグ戦 第4節
福岡 0 - 1 名古屋 (14:04/博多球/8,585人)
得点者:'35 玉田圭司(名古屋)
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「立ち上がりからあまり良くなかった。特に前半はうちのチームとしてはゆるいゲームだった」(松田浩監督・福岡)。福岡は過去3試合とは全く違う立ち上がりを見せた。体が重たいのかプレーのスピードに欠け、互いの連係もない。攻守の切り替えの速さは影を潜め、奪ったボールを簡単に蹴り返してボールを失う。相手に決定機は与えないものの、オーガナイズされているはずの守備組織もバランスが悪く、落ち着かない場面が多い。
対する名古屋は前線に豊田を起用。福岡の中盤のプレッシャーを避けるためにロングボールを多用する作戦に出る。しかし、名古屋も決していい出来ではない。前線にロングボールを当てることに関しては徹底しているのだが、こぼれたボールを拾えず、拾ったボールを簡単に相手に渡してしまう。「ロングボールを使いすぎて他のオプションが使えなかった」(フェルフォーセン監督・名古屋)。こちらは過去3戦の課題が修正できていないままだ。
低調なリズムで進む試合は見所のないままに時間だけが過ぎていく。しかし、そんな中でも、サッカーの神様はサッカーらしさをピッチの上にちりばめる。34分、福岡のペナルティエリア内に送られた浮き球のパスに福岡・DF千代反田と名古屋・FW豊田が並走。千代反田が先に体を入れてボールを保持したかに見えたところで、2人はもつれ合ってピッチに転がった。判定はPK。たった一つの出来事でゴールが生まれてしまうのもサッカーだ。
1点のビハインドを負った福岡は後半に入ると強引に攻めに出る。まずアレックスをFWの位置へ上げて山形恭平をピッチの外へ。そして吉村を右サイドバックへ置き、中村を1枚前に上げる。さらに63分には宮本に代えて林を投入。75分には宮崎に代えて松下を投入。最終ラインを千代反田、金古、松下の3バックに、中盤の底をホベルト1人に任せて攻めに出る。しかし、この試合は名古屋にとって「内容よりも結果を求めた試合」(古賀正紘・名古屋)。8人がゴール前に壁を作ってなりふりかまわず守備を固める。そして長いロスタイムを凌ぎきって試合を1−0で終わらせた。
福岡は今シーズン初黒星。気になるのは結果よりも自分たちのサッカーが出来なかったことだ。個の力の差を組織で補うのが福岡のスタイル。しかし、そのスタイルのベースとなるディシプリンを欠いては、自分たちのサッカーが根底から崩れていく。けが人の多いことや黒星を喫したことよりも、何よりもベースの部分を失ったかのような戦いをしたことが気にかかる。次は中3日でアウェイでの甲府戦(3/25@小瀬)が待っている。まずは、自分たちの基本であるディシプリンと、どんな相手でも目の前の試合に全力を尽くすというスタイルを再確認したい。
さて、欲しかった勝点3を手に入れた名古屋だが、過去3試合同様、課題は解決されていない。「強いプレッシャーを受けたときに簡単にボールを失いすぎている。もっとボールポゼッションをやっていかなければいけない」(フェルフォーセン監督・名古屋)。この試合では意識的にロングボールを使ったとはいえ、それ以外に攻め手を持てず、簡単にボールを失いすぎる。それでも、内容よりも勝点3がチームには大きな影響を与えることがあるのもサッカー。果たして今日の勝点3はチームに好影響を与えるのか。次節の大分との試合(3/26@瑞穂陸)が興味深い。
以上
2006.03.21 Reported by 中倉一志
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