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【FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005 アルイテハド vs アルアハリ レポート】開幕戦はアルイテハドに軍配(05.12.12)

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FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005
12月11日(日)19:20/国立/28,281人
アルイテハド(サウジアラビア) 1-0 アルアハリ(エジプト)
得点者:78' モハメド・ノール(アルイテハド)
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FIFAクラブワールドチャンピオンシップの幕開けとなったアルイテハドとアルアハリの対決は、アジア代表アルイテハドに軍配が上がった。試合後、両監督からはいつも通りのサッカーはできなかったというコメントが出たが、それでも互いの特徴が見える好戦となった。

記念すべきオープニングマッチは前後半で流れががらりと変わる一戦となった。前半を支配したのはアルアハリ。試合開始直後は互いにサイドでの主導権を握ろうと、ピッチの両端で一進一退の攻防を繰り広げていたが、慎重な動きのアルイテハドに対し、アルアハリはトップへの楔のパス、サイドチェンジ、ボランチからの大きな展開と自在の仕掛けで、前半のボール支配率61%という圧倒的な数字を叩き出した。その優勢のチームにあって、特に輝いていたのがボランチのシャウキ。「シャウキはよくやってくれた」とのジョゼ監督のコメント通り、彼が中盤の底から長短織り交ぜたパスで攻撃の起点となり、「バミューダ・トライアングル」のモタブ、バラカトがチャンスを伺う形が前半よく見られた。ただ、その「バミューダ・トライアングル」の残る1人、アブ・タリカは精細を欠き、彼と左サイドのジルベルトの不調はアルアハリにとって大きな誤算だったが・・・。

一方のアルイテハドはボールを支配されていたものの、持ち味である統率の取れた守備で決定機を作らせることはほとんどなかった。中盤、前線のファーストチェイスで相手の選択肢を狭め、アジア最優秀選手のDFアル・モンタシャリを中心とする4バックが巧みなライン操作と対人プレーの強さで最後のところで相手の攻撃をせき止めた。アルアハリにあれだけボールを支配されながら、前半のシュート数を4本(うち枠内1本)に抑えたのは見事。危ない場面は、開始5分にCKからエル・サイドに狙われたものと、33分に同じくCKからモタブにGK正面へのシュートを打たれたものぐらいだった。

そして後半はアルイテハドの時間となった。前半「相手に対し恐れを抱き過ぎていた」(ヨルダネスク監督)チームは流れを取り戻そうと立ち上がりから勇気を出して攻勢を仕掛け、アルアハリの出端をくじく事に成功。また、前半ではトップを務めていたハイダルと、右サイドを担っていたノールの役割を入れ替えたことも奏功した。ノールは前線でボールの収め所として機能。ハイダルも開始まもなく立て続けに決定的なシュートを放つなど、前半にはなかった形が生まれた。コレクティブな守備も前半同様に冴え渡り、ボール奪取からの速攻という得意のパターンや、前半は全く見ることのなかったサイドを使った大きな展開が出てくるなど、自分たちの本来の姿を取り戻した。

対照的に、アフリカ王者はハーフタイムで絶不調のジルベルトをベンチに下げ、気持ちを新たに後半に臨んだはずだが、相手の勢いに完全に呑まれてしまった。「後半は本当にひどかったからね。ショートパスもボールの動きも悪く、ロングパスばかりになって、気ばかり焦ってしまった」とのジョゼ監督の述懐から分かるように、アルアハリは相手の素早いプレスと分厚い攻撃を前に、長いボールを入れるだけの単調な攻めに終始し、ことごとくアルイテハドのDFに跳ね返されてしまう。また、劣勢を強いられた大きな要因として、前半から問題のあった左サイドをアルイテハドに再三に渡って突かれたことが挙げられる。これでアルアハリは攻守のリズムを完全に失い、得意のサイドアタックも鳴りを潜めるようになってしまった。

得点が生まれたのも、そのサイドからだった。78分、アル・ドサリが縦にスルーパスを出すと、チェコがそのボールに反応。チェコが素早くアル・ドサリに戻すと、鋭いアル・ドサリの右クロスにノールが飛び込み、アルイテハドがついにゴールをこじ開けた。ビハインドを背負ったアルアハリは前線の枚数を増やして反撃を試みたが、バランスがガタガタになっているチームに、もはや前半のような輝きは望めなかった。結局、試合は1対0で終了し、アルイテハドが決勝進出をかけ、南米王者サンパウロと対戦することになった。

「説明するのは非常に難しい」。ジョゼ監督は後半のふがいない出来をそう振り返ったが、この言葉は本音だろう。立ち上がりにアルイテハドの思わぬ猛攻を受け、一気に意気消沈してしまったが、あの時間帯でシュートシーンまで許していなかったとしたら、流れは全然別のものになっていただろう。アルアハリの選手たちは失点の恐怖を感じ、パタリと前に踏み出す足が止まってしまった。アルイテハド側から見れば、序盤の仕掛けが成功していなければ、気落ちして前半同様に臆病なプレーに終始していた可能性もある。ほんの数分間の攻防が勝負の明暗を分けたとも言える。また、ジョゼ監督が「最も大きな誤算はチャンスを決められなかったことだ」と語っているように、アルアハリが圧倒的に優位だった前半に点を取れていれば、「結果は違ったものになっていたかもしれない」(ヨルダネスク監督)。1対0の結果も示しているように、勝負はどう転んでいてもおかしくない試合だった。

以上

2005.12.12 Reported by インターナショナルスポーツ&マーケティング(ISM)


◆チケット情報は http://t.pia.co.jp/fcwc/01_main.html
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