10月22日の名古屋グランパス戦から1試合も勝ち星から遠ざかっている鹿島アントラーズ。まだタイトル獲得の可能性は残っているが、最終節・柏レイソル戦は勝利が絶対条件。しかも首位・セレッソ大阪と2位・ガンバ大阪が引き分け以下で、3位・浦和レッズ、5位・ジェフ千葉が勝った場合でも得失点差で上回らなければならない。つまり「大量点での白星」が必要なのだ。
条件的に見ると、優勝まで半歩後退した感はあるが、選手たちはまだ諦めていない。今季開幕から9月までの6ヶ月間もトップを独走してきたのは鹿島なのだ。「自分たちが優勝してしかるべき」という強い思いを抱く者も多いはず。
28日から始まった今週のトレーニングも、より一層緊迫感の漂うものになっているようだ。28日の練習では小笠原満男と野沢拓也が紅白戦を途中で抜けてFK練習に取り組んだ。「監督がやれというからやっただけ」と小笠原はいつも通り淡々としていたらしいが、自身の右足から9月24日のG大阪戦以来9試合ぶりのゴールを奪いたい気持ちは満々に違いない。それゆえ左足腸腰筋損傷が完全に癒えていない体で26日の清水エスパルス戦のピッチに立ち、この日も精力的にFK練習を行ったのだ。
重圧のかかる試合であればあるほど、流れの中からのゴールは思うように奪えないもの。そんな時、セットプレーは非常に重要なポイントになる。鹿島には小笠原ほど精度の高いキックを蹴れる選手はいない。彼の右足から繰り出されるボールが鹿島の命運を左右するといっても過言ではないだろう。
不用意な失点が続いた最終ラインにも大岩剛が戻ってくる。今週頭の練習では、これまでピッチに立てなかった鬱憤を晴らすかのように意欲的にプレーする彼の姿があったという。大岩と岩政大樹がコンビを組んだ鹿島のDFは強い。守りが安定すれば、かつての粘り強い戦いが必ず戻ってくる。
1つ不安な材料があるとすれば、本山雅志が清水戦で打撲した左足首痛のため2日続けて全体練習を休んでいること。本人は「フィジカルトレーニングをすれば間にあうと思う」と話している。彼を含め、あと3日間でチーム完成度をどこまで高められるのか。何とかしてトニーニョ・セレーゾ監督の有終の美を飾りたいものだが…。
2005.11.30 Reported by 元川悦子
※J1上位トピックス:最終節で優勝の可能性のある5チームの今週のトピックスを順次掲載していきます。