9月25日(日) 2005 J1リーグ戦 第25節
F東京 0 - 0 大分 (15:04/味スタ/20,717人)
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3連休の最終日の味の素スタジアム。ホームF東京の恒例のイベントとなった「ブラジルDAY」。ブラジル料理、サンバ、音楽、そしてF東京に所属したブラジル人選手の映像がスクリーンに映し出され試合前からブラジル三昧のスタジアム。そんな明るいムードではあるが、空は雲に覆われ強い風が吹きあれていた。
選手入場の数分前、ルーカス選手がゆっくりと歩きながらピッチに姿を現し、その笑顔が大型スクリーンに映し出された。「みなさん、心配してくれてありがとうございます」と、心配してくれたサポーターに向けすべて日本語で挨拶しスタジアム中から拍手が起こった。
強風が吹く中行われたこの試合。終了後に、F東京の戸田選手、大分の吉田選手が、同じ言葉を口にした。「研究してきているなっていう感じがした」・・・これは、自分たちの得意なサッカーをすることができなかった証でもあるだろう。しかし、それには「時間帯によって」と付け加えられた。そして、もうひとつ共通したのが「チャンスを決めていれば・・・」という言葉だった。
F東京はGK土肥、DFに加地、ジャーン、茂庭、藤山、MF右サイドに鈴木、ボランチに今野と梶山、左に戸田、ワントップにササというスターティングメンバー。一方の大分はGK西川、DF福本、深谷、三木、ボランチにエジミウソンとトゥーリオ、右に梅田、左に根本、前線にマグノ アウベス、高松、吉田という顔ぶれが並ぶ。
前半、ペースを握ったのは大分。ボランチの二人を起点に前線ではマグノ アウベスが中心になり攻撃をしかける。F東京は全体が落ち着かない状況で時間が過ぎていく。F東京が4本、大分は7本・・・両チーム共にチャンスは作れているものの決まらない。ロスタイムには大分の吉田、マグノ・アウベスの猛攻にもF東京GK土肥が立ちはだかる。
後半に入ってすぐ、F東京の原監督はそれまで左サイドでプレーしていた戸田選手を前線に上げる指示を出す。そこから、F東京がペースを握り始め攻撃にリズムができ始めた。
原監督は後半17分に、鈴木選手に代えて阿部選手を投入。ササ、戸田、阿部という3人が前線にそろう。その6分後、阿部選手の見事なゴール…と、思えた瞬間、オフサイドの判定。更にその数分後、FKを得たF東京…キッカーのササ選手にジャーン選手と何やら伝え、壁の裏へ。その動きを見ていた大分の三木選手はGKの西川選手にそれを伝え自らはジャーン選手の対応へ。互いに駆け引きが見られる。ササ選手の蹴ったボールもため息の出るようなコースを捉えたが、それを弾いた西川選手のスーパーセーブにはスタジアム中が息をのんだ。
その後、大分も反撃をし始めるも、こちらもGK土肥の好セーブで得点ならず。大分シャムスカ監督は、吉田選手に代えて山崎選手を投入。F東京原監督は、梶山選手に代えて三浦選手を、栗澤選手に代えて馬場選手を投入。残り時間もあと10分を切ったあたりで、F東京サポーターからは「シュート打て」という大きな声が上がる。ロスタイムに入り再び「シュート打て!」のコール。それに応えるかのように最後、戸田選手がシュートを打つが、またも西川選手のスーパーセーブで阻止。と、同時に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
後半ペースを握ったのはF東京にも思えたが、シュートの数を見るとF東京が3本に対し、大分は5本と、大分が上回っていた。試合終了後、F東京サポーターからは再度「シュート打て」のコールが響いた。
F東京の決定的なチャンスにも、好セーブで得点を許さなかった大分の西川選手は、試合後に笑顔を見せてこう話した。
「レギュラーで試合に出ていて、今はプレッシャーと言うより、自信を持ってやれているような気がします。それまで気持ち的に不安に思っていたところもあったのですが、浦和に勝ったあたりから僕でもできるんだっていう自信を得ました。今日の試合でも、ゼロに押さえられたのは自信になりました。次はF・マリノス戦、0点に押さえて勝ちたい」
この言葉は、西川選手個人的なことでもあるが、これが大分のチーム全体の状況をも言い表しているかのようにも思えた。
チャンスを決めきれずに悔しさを見せた一方で、守りきって無失点という部分に自信を見せた両チーム、ともに勝ち点1づつを分け合った。
試合が終わる頃…依然として強い風は吹いていたが、空を覆っていた雲の隙間からわずかながら青い空が覗いていた。
以上
2005.09.26 Reported by 日々野真理
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