9月24日(土) 2005 J1リーグ戦 第25節
G大阪 3 - 3 鹿島 (19:04/万博/22,884人)
得点者:'9 小笠原満男(鹿島)、'23 アラウージョ(G大阪)、'40 小笠原満男(鹿島)、'51 大黒将志(G大阪)、'89 アラウージョ(G大阪)、'89 アレックスミネイロ(鹿島)
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今節最大の注目カード、首位G大阪(勝ち点47)と、勝ち点1差の2位鹿島との、いわゆる天王山決戦は、壮絶な展開の末、3-3の引き分けに終わった。ホームのG大阪は、2-2で迎えた試合終了間際、リーグ得点王を独走するアラウージョのゴールで逆転に成功するも、すぐさま一瞬の隙を突かれて鹿島のアレックスミネイロに同点弾を許し、ライバルを突き放すことはできなかった。
試合後、G大阪の選手には、落胆の色がはっきりと見えた。「勝てた試合だったのに・・・」。そんな表情を隠そうとはせず、うつむき加減でバスに乗り込む選手がほとんどだった。当然のことだろう。残り9試合あるとはいえ、眼下の敵との直接対決を制すれば、精神的にも優位に立って、今後の戦いに臨めたのかもしれないのだから。
それでも、G大阪は、負けなかった。勝ち点差1とはいえ、首位をキープした。「注目されているゲームで、G大阪らしい、いいゲームができた」と試合後に述べた西野監督は、「選手は自分のスタイル、チームのスタイルを前面に出してやってくれた」と選手を褒め、決して勝利を逃したことについて責めることはなかった。
10日前からチケットは完売。試合開始の何時間以上も前からスタジアム外には長蛇の列。この大事な一戦に取材に訪れた相当数のメディア。アウェイゴール裏をぎっしり詰めた鹿島サポーターの熱烈なコール。そして、迎え撃つG大阪サポーターも、選手入場時に一斉に紙吹雪を咲かせて盛り上げる。ホームゲーム史上最多の22,884人が見つめるなか、異様なまでの緊張感と、期待に胸躍らせる熱気に包まれた万博記念競技場。このような雰囲気のなかでの試合だったが、キックオフ後は、予想に違わぬ好ゲームが繰り広げられた。
試合序盤は、鹿島優勢。開始9分、この日もボランチに入った小笠原のゴールで試合が動き出す。ボランチ小笠原をなかなかつかめないでいたG大阪だったが、失点後は徐々に本来のペースを取り戻し、中盤を制して主導権を握ると、23分、G大阪は1-1の同点に追い付く。左サイドからの二川のセンタリングに、ニアで大黒がヘッドをスルーすると、ファーで待ち構えていたのはアラウージョ。得点の嗅覚をかぎ分けたエースが左足で軽くゴールに押し込み、試合が振り出しに戻る。
なおも37分にG大阪はフリーのアラウージョがボールを受けると、GKとの1対1をかわしシュートを試みるも、鹿島DFの必死のクリアに遭って決定機を逃す。すると、その3分後、ペナルティーエリア手前で犯したファウルから、鹿島の小笠原にFKを決められ、再びリードを許す。鹿島の、小笠原の、試合巧者ぶりが目立った前半は、G大阪1点ビハインドのまま終了。
後半もG大阪押し気味。そして、51分、G大阪は大黒の貪欲なプレスから思いもよらぬゴールを得る。青木のバックパスをGK曽ヶ端が痛恨のキックミス。これを大黒がカットすると、曽ヶ端を切り返してかわし、冷静に左足で押し込んだ。リーグ戦4試合ぶりのエースのゴールで、G大阪が2-2と再びタイにした。その後は、両者が攻め合う展開に。鹿島がリカルジーニョ、野沢、鈴木と立て続けに投入してアウェイでも勝利を狙いにくると、G大阪も80分に家長と吉原を同時にピッチに送り込んで前線を厚くして決勝点をもぎ取りに行く。
ドラマは、ロスタイムに起きる。均衡を破ったのはホーム・G大阪。左サイドでボールを受けた大黒がゴール前へ折り返すと、DFに当たってこぼれたところに詰めていたのは、やはりアラウージョ。左足でゴールネットに突き刺し、自身2点目、今季27得点目となるゴールで、待望の逆転に成功。もちろん、スタジアムの熱気は最高潮。
だれもがG大阪の勝利を確信した。しかし、ふと頭をよぎったのは、第17節の清水戦の光景。終了間際に2点を決めて逆転したあとに、まさかの同点弾を許して3-3の引き分けに終わった試合。あのときのデジャヴを見ているかのような展開が、このあと、まさに起きた。
後方からロングボールを入れた鹿島。これがゴール前のスペースに。一瞬GK藤ヶ谷が飛び出しかけたが、躊躇。するとフェルナンド、鈴木とつないで、最後はアレックスミネイロが蹴り込み、土壇場で3-3の同点になった。結局、試合はこのまま終了。ともに勝てた試合であり、負けなかった試合。勝ち点1ずつを分け合った。
G大阪の選手やサポーターにとっては後味の悪い試合となったのかもしれない。しかし、何度も言うが、G大阪は負けなかった。首位を維持した。このスリリングな展開でも難敵・鹿島に勝利まで後一歩という内容を残したことは、これからにつながるだろう。残り9試合、この悔しさをばねにしたG大阪の勢いは、止まらないと思う。そして、なんとか引き分けに持ち込んだ鹿島との首位争いは、最後までもつれるだろうことも、付け加えておきたい。
以上
2005.09.25 Reported by 前田敏勝
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