8月24日(水) 2005 J1リーグ戦 第20節
鹿島 7 - 2 新潟 (19:04/カシマ/12,752人)
得点者:'7 エジミウソン(新潟)、'31 本山雅志(鹿島)、'38 羽田憲司(鹿島)、'44 小笠原満男(鹿島)、'72 新井場徹(鹿島)、'80 アンデルソンリマ(新潟)、'83 アレックスミネイロ(鹿島)、'87 小笠原満男(鹿島)、'89 野沢拓也(鹿島)
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移籍問題に悩み、前節サンフレッチェ広島戦の出場を辞退した主将・小笠原満男が復帰したアルビレックス新潟戦。序盤こそ相手の前線からのプレスとカウンターに苦しみ先手を取られたが、羽田憲司、内田潤の急造センターバックコンビも徐々に安定感を取り戻す。そして小笠原が要所要所で攻撃の起点となり、2ゴール2アシストの大活躍を披露。自身のもやもやを払拭するとともに、今季最大の危機に瀕していたチームを救った。結果として鹿島は7−2で大勝。開幕から守り抜いてきた首位の座をがっちりキープした。
J1第20節、鹿島対新潟の一戦が24日19時からカシマスタジアムで行われた。台風11号の影響でこの日はどんよりした曇り空。キックオフ時の気温も23.6度と8月とは思えない肌寒さだった。
広島戦で岩政大樹、大岩剛という2人のDFが退場。揃って出場停止となったこの試合。トニーニョ・セレーゾ監督は羽田と内田をセンターバックに据えた。さらに前節に負傷による長期離脱から復帰した名良橋晃とアレックス・ミネイロを先発起用。小笠原もスタメンでピッチに立った。最終ラインの連携は不安視されたが、攻撃陣はベストに近いメンバー構成を組むことができた。対する新潟はG大阪戦と同じスタメンがピッチに立った。今季9ゴールをマークするエース・エジミウソンや、左の切り札・鈴木慎吾らのプレーに注目が集まった。
序盤から鹿島が主導権を握ると見られたが、先手を取ったのはアウェーの新潟。広島戦の負けを引きずっているかのような鹿島の出足の悪さを突き、新潟は前線から積極的なプレスを仕掛け、カウンターを狙う。特に左からの攻めが機能し、鈴木慎吾のえぐりも目立った。そして開始7分。左サイドバック・喜多靖からパスを受けたファビーニョが鋭いクロスを中央へあげると、ここに飛び込んだのがエジミウソン。次の瞬間、高さのあるヘディングシュートが見事に決まる。目の覚めるような攻撃パターンで新潟が1点をリードした。
この後もしばらくは新潟ペースが続いた。手堅く守って相手のミスを誘い、前線に長いボールを展開するという反町康治監督の策が的中しているかに見えた。が、やはり常勝軍団・鹿島には底力がある。前半25分過ぎからは小笠原を軸に前線で形を作り始める。そして31分、小笠原のスルーパスが鈴木隆行の頭に当たって、こぼれたボールを本山雅志が振り抜きゴール。これはさすがのGK野澤洋輔も止められなかった。
この7分後、鹿島は逆転に成功する。小笠原がぺナルティエリアやや外側の位置から放ったフリーキックに羽田が反応。ゴールに押し込み2点目を奪ったのだ。これで前半が終わっていれば新潟もつけ入るスキがあったのだが、そうはさせないのが鹿島の強み。前半ロスタイムに小笠原が直接フリーキックを叩き込み、相手に多大なるダメージを与えた。反町監督も「前半ラストのフリーキックがかなり試合を左右した」と苦々しい表情で言うしかない。これこそが小笠原の存在の大きさを実証する1点だった。
3−1で鹿島がリードして迎えた後半。新潟は巻き返しを図ろうと、寺川能人に代えて長身FW上野優作を投入。前がかりになって攻めてきた。前半同様、鈴木慎吾が左からの崩しを試みたり、ボランチ・本間勲がミドルシュートを放つなど、何とか1点を奪おうという強い姿勢が感じられた。が、羽田と内田のセンターバックコンビのバランスがよくなり、その前を青木剛が的確にカバーする。手堅い鹿島守備陣を崩しきれないまま、時間がすぎていった。
こうなると鹿島は流れに合わせて追加点を奪うだけでいい。後半27分には新井場徹が25m近い距離からのミドルを叩き込み、4点目をゲット。その後、アンデルソン・リマに同じようなミドルシュートを決められたものの、勝利を確信した鹿島の選手たちの勢いは止まらない。38分にはアレックス・ミネイロ、42分には小笠原、そして44分には途中出場の野沢拓也と3人が立て続けにゴール。合計で大量7点を奪った。これは鹿島の1試合得点記録に並ぶ数字という。わずか4日前に広島に不甲斐ない負け方をしたチームとは思えない派手な勝ちっぷりで勝ち点を42に伸ばし、トップの座をがっちり死守した。
突如先発することになった羽田と内田が岩政と大岩の穴をしっかりと埋め、アレックス・ミネイロと名良橋も体力的不安を感じさせないなど、前向きな材料はいくつもあった。中でも強烈な存在感を示したのが小笠原だ。精神的なもやもやが残っていたにもかかわらず、ピッチでは他を寄せ付けない老獪なパフォーマンスを示す。この日の彼からはJリーグナンバーワン選手の意地と誇りが強く感じられた。トニーニョ・セレーゾ監督も「今日の結果だけで彼の能力が分かるでしょう」と絶賛。大黒柱の復活はタイトル獲得を目指すチームに大きなプラスになるだろう。
逆に新潟はゲームプランが完全に崩れ、予想外の大量失点を喫した。反町監督が狙っていた4連勝も叶わなかった。しかし鈴木慎吾が「今季開幕戦でFC東京の0−4で負けた頃に比べると内容はかなりよくなっている。今日の大敗はチームの試練。これを乗り越えないと強くなれない」とポジティブに話すように、打ちひしがれている暇はない。まずはいち早く守備の建て直しを図り、今後の戦いに向かっていくしかない。
以上
2005.08.25 Reported by 元川悦子
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