8月24日(水) 2005 J1リーグ戦 第20節
横浜FM 0 - 2 川崎F (19:04/日産ス/19,219人)
得点者:'39 マルクス(川崎F)、'64 中村憲剛(川崎F)
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横浜FMは予想どおりの3バック。ただ前日のケガで左に入る予定の那須に代わって中西が入った。また久保もケガのためにベンチ入りできない。
互いにカウンターからのサイドを使う攻撃だが、横浜FMが両サイドのオーバーラップに対して川崎Fはジュニーニョの個人技をキーにする。左に開いてのドリブルはボールを受けてからのスピードがあり、鋭くライナー性のクロスが何度も横浜FMゴール前を横断する。横浜FMも4バックでは見られなかった両サイドの積極的な仕掛けが連続。田中隼はパスを出して自らゴール前に走りこみ、ドゥトラも前線を追い越しサイドを深くえぐる。
ただしチャンスの質では川崎F。ジュニーニョがディフェンスラインを引っ張って、その間にボランチが参加してくるパターンには、決められた動きとタイミングが透ける。先制点は、その典型的なシーンだった。ジュニーニョがボールを持って引き付けている間にフリースポットにマルクスが動く。そこへ絶妙のスルーパス。受けたところで勝負あり。マルクスはフリーになって先制点をゲット。ゴールゲッターとしてではなく、エースがアシスト役もこなせるチームは勝負強い。ちょうど久保が味方ゴールに直結するパスを連発した2003年の横浜FMが好例だ。
先制された横浜FMの悩みを象徴するようなシーンが見られたのは42分。センターライン近くまで引いてボールを受けた大島が、出しどころがなく松田にバックパス。松田はやや苦しそうに前線へグラウンダーのフィード。しかしターゲットの山瀬功と全くタイミングが合わず、ボールは流れて相手GKの両手に収まってしまう。
後半、立て続けにシュートを放つ横浜FM。しかしフリーでシュートを打たせてもらえない。川崎Fは58分にはFW黒津に替えてDF佐原。最終ラインの寺田をボランチに上げて3ボランチ気味にする。守備にウエイトを傾けたかに見える交代だった。すかさず、その3分後には横浜FMは勝負をかける。奥とグラウの2枚替え。ところがゴールが生まれたのは川崎Fのほうだった。64分。寺田のパスで右サイドを突破した長橋が折り返し、そのセカンドボールから中村がフィニッシュした。
こうなると横浜FMは苦しい。69分に清水を入れて、タテへの意識を強めようとする。しかし依然として川崎Fゴール前でのマークの厳しさは揺らがない。フリーでシュートを打てるケースはほとんどなく、75分に清水が右サイドから戻したが坂田のダイレクトの左足シュートはクロスバーを大きく越えた。
結局このまま川崎Fが2点差をがっちりと守り勝利。勝ち点27で横浜FMに並んだ川崎Fは、得失点差で上回り8位に上昇した。
試合後、岡田監督への記者会見で優勝の可能性について質問が飛んだが、正直に心の襞を明かすような人物では監督、しかも頂点を目指す監督などやっていけないだろう。
「意志統一ができていない」とこぼした岡田監督。対照的に「やるべきこと・やらなければいけないこと・やってはいけないこと」が浸透していたのは川崎F。そのひとつが、第一次チェックのハードさではなかったか。ボールを持った相手にきつく身体をぶつけること。イエローが谷口の1枚だから、これは正当なチャージということ。AFCチャンピオンズリーグでは、この試合よりはるかに厳しいコンタクトプレーでもひるまず逆に弾き返していた横浜FMのたくましさが最近、鳴りを潜めているのがちょっと気になる。
以上
2005.08.25 Reported by 池田博人(インサイド)
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