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【東アジア女子サッカー大会2005】野田朱美・高倉麻子・大竹奈美・日々野真理が語る日本女子代表の魅力: OFFSIDE TALK:Vol.2(Part.2)(05.07.25)

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Part.2:アテネ五輪の躍進を先につなげることが一番大事!


日々野 アテネ五輪以降、Lリーグの環境に変化がありましたか?
高倉 少しは良くなった印象ですね。
大竹 ベレーザの環境も良くなりましたね。アルバイトだった選手が固定給になったりして、生活面も落ち着いてきたし。代表に行っても心配ないくらいになりました。私が仕事で関わっているTEPCOマリーゼもすごいですよ。
日々野 それは女子サッカー界の発展にとっていい傾向ですね。そして今月末から東アジア大会を迎えます。新しい監督になってからの初めての国際大会となるわけですが、展望などをお話いただけますか?
大竹 東アジアだけの大会って、なかなか開催されなかったんですよね。で、この地域の女子サッカーを切磋琢磨して発展させていこうということで今回、第1回目が開かれるわけなんです。
野田 私たちの現役時代は、中国は世界チャンピオンを争う国だったけど、アテネ五輪では今ひとつでしたよね。だからこそ本腰を入れて選手強化をしているはず。そういう意味でベストメンバーを組んでこないとしたら、日本はチャンスですよね。
大竹 日本の女子サッカーは注目されてきたし、チームとしても認知度アップを狙っているはず。絶対にタイトルを獲りに行くでしょうね。
高倉 北朝鮮はどうなんでしょうね。最近の親善試合でドイツに勝ったという情報もありますけど。2002年のアジア大会(釜山)ではあんなに強かったのに、昨年の最終予選の国立競技場での試合は今ひとつでしたよね。インターナショナルの経験が少なかったんで舞い上がってしまったのかもしれない。
大竹 国際経験の問題はやっぱり大きかったでしょうね。

野田 でも北朝鮮も国外に向けて動き出したようですね。スウェーデンリーグに選手が移籍したという話もあるし。海外で経験を積んだ選手がいるなら、今度の東アジア大会も怖い存在になりそうだよね。今まで、日本はアジアの大会で一度も優勝したことがない。今度は達成してほしいですけどね。


高倉 男女同時開催ということで話題にもなるだろうし、ここで勝ったら大きいですね。4カ国の実力が伯仲という感じかもしれないけど。
大竹 韓国も開催国だし、力を入れているんでしょう。でも蓋を開けてみないとわからない部分はあります。私たちが現役の頃もそうだった。99年ワールドカップ予選、2000年シドニー五輪予選の時も「本大会に行くために1億円かけて強化している」という噂も出たくらい。だけど実際に戦ったら、そんなでもなかったということはありました。
日々野 アジアの女子サッカーのレベルは上がったんでしょうか?
野田 アジア予選では日本がベトナムに6−0で勝ったりするでしょう。だからといって、日本女子代表のレベルが物凄く高いというわけではないんです。それもきちんと伝えていくべきことですね。
高倉 私はついこの間まで現役だったんで、選手寄りの見方をしてしまうというか…。選手の気持ちを第一に考えてしまうんですよね。とはいっても、勝てないチームでいいとは思わない。
野田 どっちがいい悪いじゃないですよね。上田さんは組織的サッカーで成功したから。でもそれで見えた限界もある。あれ以上、組織力を前面に押し出しても勝てない可能性はありますよね。大橋さんは育成畑で長い間、仕事をしてきた人だけに、若い力を育てつつ個の力を採り入れようと思っているんじゃないかな。こないだ(5月21日)のニュージーランド戦でも若手を登用して競わせた方がいいという考え方が見えましたしね。

大竹 選手は一生懸命やっているけど、まだまだ力が足りないという事実は伝えるべきだと思うんです。確かにレベルも上がってきているけど、周りが厳しいことを言い続ける必要はありますよね。アテネ五輪の躍進を先につなげることが一番大事なんですから。

日々野 勝った事に喜んで盛り上がるだけではなく、もっとシビアな目で見ていくということが女子サッカーの今後にもつながるということですね。実際、日本女子代表の選手層は厚くなってきているんでしょうか?
大竹 昔から核をなす優れた選手は変わっていない気がしますね。
高倉 個のレベルアップがやっぱり大事ですよ。Lリーグを見たって、ベレーザとTASAKIペルーレ、浦和レッズレディースくらいまでは個人能力の高い選手が多いけど、その下になるとだいぶ差が出るというのが現状ですもんね。だから同じチームから代表選手が集中する。だけど、やっぱりベレーザにもTASAKIにも足りない部分はある。代表チームというのはもっと競い合えるような環境が必要ですよね。これは女子スポーツ全般に言える問題かもしれないですけど。
大竹 代表経験者が3〜4人いれば分かるだろうけど、経験者1人だけとか誰もいなければ、周りに伝わらない部分はありますから。1人の選手が高い志を持っていても、他の選手には合わせられないところもある。厳しい中でやっていく意識を持てないと、全体の底上げは難しいですよね。

(構成/元川悦子)


Part.1:「アテネ五輪以降の成長株は宇津木と永里!」

Part.3:「日本の目指すサッカーをしっかりと見せ付けてほしい!」


野田 朱美(Akemi NODA)

女子サッカー史上に輝く名選手。1982年読売(現日テレ)ベレーザ入団。中学3年生にして女子サッカー日本代表入り。1990年〜1993年ベレーザのLリーグ4連覇に大きく貢献し、MVP、得点王、ベストイレブンにも輝く。1994年第12回アジア大会(広島)にて銀メダルを獲得(MVP)。1995年第2回女子ワールドカップ(スウェーデン)において日本人初のゴールを決め、ベスト8入りを果たす。数々の国際大会を経験し、1996年アトランタオリンピックにキャプテンとして出場。オリンピック終了後、現役を引退。その後、サッカー解説者としてテレビ、雑誌などで活躍中。

高倉 麻子(Asako TAKAKURA)

なでしこジャパン(2004年〜)以前の女子サッカー界の歴史を作ってきた名選手。1991年第1回女子ワールドカップ(中国)、1996年アトランタオリンピック出場など代表歴代3位の79試合出場、同5位の29得点を誇る。読売(現日テレ)ベレーザでは野田朱美と共に1990〜1993年のLリーグ4連覇に貢献。その後、1999年6月に松下電器女子サッカー部バンビーナへ移籍。2000年には米女子リーグのシリコンバレー・レッドデビルズでもプレー。昨季、スペランツァF.C.高槻にて現役を引退。Lリーグでは226試合出場(歴代1位)し、44得点を記録している。今後は「指導者の勉強をしていきたい」と次世代のなでしこジャパン育成に力を注ぐ。

大竹 奈美(Nami OTAKE)

双子の美人姉妹として、妹:由美と共に読売(現日テレ)ベレーザに入団。Lリーグ3連覇、全日本選手権優勝4回と数々のタイトル獲得に貢献。Lリーグでは157試合に出場し104得点をあげる。また100得点第一号を記録し、女子サッカーに名の残るストライカーとして活躍。また日本代表としても国際Aマッチに通算45試合出場し、32得点という成績を残す。1995年ワールドカップ(スウェーデン)ではベスト8入り、1996年アトランタオリンピック出場、そして1999年ワールドカップ(アメリカ)では日本代表で唯一のゴールをあげる。2001年7月現役を引退。引退後プロのコーチとしてサッカークリニックや女子チームで後輩の指導に関わりながら、試合の解説、スポーツ番組のゲスト出演、コラム執筆などの活動をし、女子サッカーの発展やスポーツの普及に注力している。

日々野 真理(Mari HIBINO)

Jリーグ中継ベンチリポーター、スカイパーフェクTV!のサッカー番組に出演、情報番組のリポーターや報道番組のキャスターなど、フリーアナウンサーとして活動するほか、雑誌やウェブサイト「J’s GOAL」などに執筆も。女子サッカーに関しては、試合の中継リポーターのほかに、2003年女子ワールドカップではTBSのインタビュアーとしてアメリカへ、昨年のアテネ五輪でも女子代表に密着。女子サッカーに関しては、サッカーマガジン、サッカーaiなど多数執筆。J’sGOALでは「なでしこジャパン」を担当する。
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