Part.2:アテネ五輪の躍進を先につなげることが一番大事! |
日々野 アテネ五輪以降、Lリーグの環境に変化がありましたか? |
高倉 少しは良くなった印象ですね。 |
大竹 ベレーザの環境も良くなりましたね。アルバイトだった選手が固定給になったりして、生活面も落ち着いてきたし。代表に行っても心配ないくらいになりました。私が仕事で関わっているTEPCOマリーゼもすごいですよ。 |
日々野 それは女子サッカー界の発展にとっていい傾向ですね。そして今月末から東アジア大会を迎えます。新しい監督になってからの初めての国際大会となるわけですが、展望などをお話いただけますか? |
大竹 東アジアだけの大会って、なかなか開催されなかったんですよね。で、この地域の女子サッカーを切磋琢磨して発展させていこうということで今回、第1回目が開かれるわけなんです。 |
野田 私たちの現役時代は、中国は世界チャンピオンを争う国だったけど、アテネ五輪では今ひとつでしたよね。だからこそ本腰を入れて選手強化をしているはず。そういう意味でベストメンバーを組んでこないとしたら、日本はチャンスですよね。 |
大竹 日本の女子サッカーは注目されてきたし、チームとしても認知度アップを狙っているはず。絶対にタイトルを獲りに行くでしょうね。 |
高倉 北朝鮮はどうなんでしょうね。最近の親善試合でドイツに勝ったという情報もありますけど。2002年のアジア大会(釜山)ではあんなに強かったのに、昨年の最終予選の国立競技場での試合は今ひとつでしたよね。インターナショナルの経験が少なかったんで舞い上がってしまったのかもしれない。 |
大竹 国際経験の問題はやっぱり大きかったでしょうね。 |
野田 でも北朝鮮も国外に向けて動き出したようですね。スウェーデンリーグに選手が移籍したという話もあるし。海外で経験を積んだ選手がいるなら、今度の東アジア大会も怖い存在になりそうだよね。今まで、日本はアジアの大会で一度も優勝したことがない。今度は達成してほしいですけどね。 | |
高倉 男女同時開催ということで話題にもなるだろうし、ここで勝ったら大きいですね。4カ国の実力が伯仲という感じかもしれないけど。 | 大竹 韓国も開催国だし、力を入れているんでしょう。でも蓋を開けてみないとわからない部分はあります。私たちが現役の頃もそうだった。99年ワールドカップ予選、2000年シドニー五輪予選の時も「本大会に行くために1億円かけて強化している」という噂も出たくらい。だけど実際に戦ったら、そんなでもなかったということはありました。 | 日々野 アジアの女子サッカーのレベルは上がったんでしょうか? | 野田 アジア予選では日本がベトナムに6−0で勝ったりするでしょう。だからといって、日本女子代表のレベルが物凄く高いというわけではないんです。それもきちんと伝えていくべきことですね。 | 高倉 私はついこの間まで現役だったんで、選手寄りの見方をしてしまうというか…。選手の気持ちを第一に考えてしまうんですよね。とはいっても、勝てないチームでいいとは思わない。 | 野田 どっちがいい悪いじゃないですよね。上田さんは組織的サッカーで成功したから。でもそれで見えた限界もある。あれ以上、組織力を前面に押し出しても勝てない可能性はありますよね。大橋さんは育成畑で長い間、仕事をしてきた人だけに、若い力を育てつつ個の力を採り入れようと思っているんじゃないかな。こないだ(5月21日)のニュージーランド戦でも若手を登用して競わせた方がいいという考え方が見えましたしね。 | |
大竹 選手は一生懸命やっているけど、まだまだ力が足りないという事実は伝えるべきだと思うんです。確かにレベルも上がってきているけど、周りが厳しいことを言い続ける必要はありますよね。アテネ五輪の躍進を先につなげることが一番大事なんですから。 |
日々野 勝った事に喜んで盛り上がるだけではなく、もっとシビアな目で見ていくということが女子サッカーの今後にもつながるということですね。実際、日本女子代表の選手層は厚くなってきているんでしょうか? |
大竹 昔から核をなす優れた選手は変わっていない気がしますね。 |
高倉 個のレベルアップがやっぱり大事ですよ。Lリーグを見たって、ベレーザとTASAKIペルーレ、浦和レッズレディースくらいまでは個人能力の高い選手が多いけど、その下になるとだいぶ差が出るというのが現状ですもんね。だから同じチームから代表選手が集中する。だけど、やっぱりベレーザにもTASAKIにも足りない部分はある。代表チームというのはもっと競い合えるような環境が必要ですよね。これは女子スポーツ全般に言える問題かもしれないですけど。 |
大竹 代表経験者が3〜4人いれば分かるだろうけど、経験者1人だけとか誰もいなければ、周りに伝わらない部分はありますから。1人の選手が高い志を持っていても、他の選手には合わせられないところもある。厳しい中でやっていく意識を持てないと、全体の底上げは難しいですよね。 (構成/元川悦子) |
Part.1:「アテネ五輪以降の成長株は宇津木と永里!」 |
Part.3:「日本の目指すサッカーをしっかりと見せ付けてほしい!」 |