7月23日(土) 2005 J1リーグ戦 第18節
大宮 0 - 2 鹿島 (18:33/埼玉/12,011人)
得点者:'26 野沢拓也(鹿島)、'68 野沢拓也(鹿島)
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「アントラーズの中盤の構成力は抜きん出ていた」と大宮アルディージャの三浦俊也監督も脱帽するしかなかった。J1首位を独走する鹿島アントラーズの巧みなボールポゼッション、個々の技術・戦術眼、創造性は大宮を大きく上回った。キャプテン・小笠原満男の出場停止の影響などまるで感じさせず、本山雅志と野沢拓也の見事な連係から生み出した2得点で大宮を撃破。勝ち点を39に伸ばすとともに、2位・ガンバ大阪との勝ち点差4を縮めることなく再中断期間に入った。
「HOT6」といわれた7月の6連戦も、この週末が最後。23日の埼玉スタジアムでは18時30分から大宮対鹿島の一戦が行われた。この日夕方、首都圏で震度5の強い地震があり、交通機関が止まるなどの影響が出たが、試合は予定通りキックオフされた。
7月の5試合を2勝2敗1分で戦ってきた大宮。三浦監督が設定した「勝ち点7」という目標はクリアしているが、さらに勝ち点を積み上げて、いい形で後半戦につなげたいところ。しかしこの日はトゥットが負傷、トニーニョが出場停止で欠場。クリスティアンは辛うじてベンチ入りを果たしたものの、頼みの助っ人3人衆が揃ってスタメンから外れるという厳しい状況だ。先発はGK荒谷弘樹、DF西村卓朗、平岡靖成、奥野誠一郎、冨田大介、ボランチ・斉藤雅人、ディビッドソン純マーカス、右MF久永辰徳、左MF藤本主税、FW桜井直人、横山聡である。
一方、鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督は小笠原の代役にキープ力のある2年目のMF増田誓志を起用。野沢をやや引き気味のFWに置くなど、中盤を分厚くする形を採った。スタメンはGK曽ケ端準、DFアリ、岩政大樹、大岩剛、新井場徹、ボランチ・青木剛、フェルナンド、2列目・増田、本山、FW野沢、鈴木隆行という顔ぶれだ。
試合は鹿島ペースで始まった。個々のキープ力に勝る彼らは、最終ラインから確実にボールを回しながら攻撃を組み立てようとする。しかし大宮もケガから復帰したばかりの奥野を中心にゴール前を固め、鈴木や野沢を自由にさせない。4月13日(第5節)の対戦で鹿島に圧倒(スコアは2-0)された反省を踏まえ、彼らは手堅い守備からリズムをつかもうとしていた。
ところが26分、大宮は一瞬のスキを突かれてしまう。発端は本山のドリブル突破だった。ペナルティエリアのやや右外側でDFをひきつけた彼は、左ゴール前に鋭いパスを送る。ここに走りこんだ野沢がフリーになり、右足で確実にゴール。完成度の高いコンビネーションから鹿島が1点を先制した。「前半はそれほどやられていなかったのに、あの1点が痛かった。何とかゼロに抑えたかったのに」と三浦監督も悔やむ失点だった。実際、この後の鹿島は特にチャンスらしいチャンスを作れなかった。大宮も外国人不在の影響が色濃く出て、反撃の糸口を見出せない。結局、1-0のまま前半が終了する。
迎えた後半、大宮は反撃に出る。13分に横山がミドルレンジからループシュートを放ったのを皮切りに、チーム全体が積極性を取り戻した。16分に切り札としてベンチに残していたクリスティアンを投入してからは、両サイドの攻撃参加も増える。相手の疲労を突くように、かなり押し気味にゲームを進めた。
けれども常勝軍団・鹿島は「勝負どころ」を心得ていた。勝敗を分けるゴールが入ったのは後半23分。最終ラインから右サイドを駆け上がったアリにボールがつながり、これをいったん中央の増田が受け、左に開いていた野沢に送った。ここからが芸術的だった。野沢が預けたボールを本山がワンタッチのヒールパスで戻し、野沢がフリーに。次の瞬間、シュートがゴールネットを揺らしていた。こういう「ひらめき」をピッチで表現できるのは、Jリーグ広しといえども本山くらいだろう。彼らは持てる才能をいかんなく発揮し、大宮を突き放す2点目を奪った。
こうなると鹿島はガッチリ守るだけ。大岩も「大宮の攻撃は単調だったし、怖くなかった。高さでは絶対に負けない自信がある」と胸を張った。この鹿島の壁を攻略しようと、大宮の三浦監督は終盤、長身FW森田浩史をピッチに送り出したが、パワープレーも全て跳ね返された。「3トップにしたことでサイドの選手がいなくなった。森田ではなく島田裕介を入れてクロスをどんどん入れた方がよかったのかもしれない」と指揮官も自らの采配を悔やんだ。
終わってみれば2-0だったが、大宮と鹿島の間には大きな実力差が感じられた。鹿島は交代選手を含めて個々のボール技術が高く、ボールを簡単に失わない。これが本山と野沢が見せたような連係のベースになっているのだ。彼らが今季開幕から首位を独走し続けている理由がはっきりと分かるゲーム内容だった。遠くに見える4年ぶりのタイトルに、鹿島はまた一歩前進したようだ。
大宮の選手たちもこの結果をしっかり受け止めている。今季は初めて90分出場した斉藤も「正直、力の差はありました」とレベルアップの必要性を素直に認めた。とはいえ、4月の対戦時よりは互角に戦える時間帯が長くなった。ここまで18試合を戦って、浦和レッズや横浜F・マリノス、ガンバ大阪という上位チームに勝ってきた事実が彼らを成長させているのだろう。18試合を終えて勝ち点24の9位という数字は上出来ともいえる。この勢いを後半戦につなげていくことが肝要だ。
以上
2005.07.24 Reported by 元川悦子
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