J1になってシーズン3年目の大分。皇甫官監督の新体制の下、リーグ戦12節を終えた現時点での成績は5勝1分6敗で12位。攻撃的な3-4-3のシステムでスタートしたが、3バックが機能せず、両サイドにスペースができて失点してしまうという試合が続いた。勝てないことからメンバーも固定できない。第5節までの成績が1勝4敗、最下位まで転落した時期もあった。
「何とかしなければ」と、6節(4/16)の清水戦ではシステムを4-4-2に変更。守備のバランスが安定し、連敗もストップ。それ以降は4バックを採用し、「しっかり守ってカウンター攻撃」という大分のパターンが定着。攻撃にも弾みが出てきて、いい流れで勝てるようになってきた。攻撃面ではFWマグノ アウベスとFWドドのブラジル人コンビが噛み合い、大分の得点源であるとともに相手チームにとっては脅威的な存在になってきたことが何より大きい。皇甫監督は序盤戦を振り返り「攻撃に関してはやろうとしてきたサッカーが出来た。守備は4バックに変えて機能してきたが、再開までにはプレッシャーをかける位置など明確にして次に準備したい」とコメント。いい流れで中断期間を迎えた。
◆再開後の展望・見どころ
再開してまず対戦するのは現在9位の横浜FMだ。12位の大分と順位に開きはあるが、勝ち点は共に16と得失点5差での開きなだけに勝てば一気に順位を上げられる。とは言っても、横浜FMが強豪チームであることに違いはない。なかなか簡単には勝たしてはもらえないだろう。過去2年間のリーグ戦での対戦成績も2敗2分とまだ一度も勝ててはいない。今後のためにも、ここは勝って弾みをつけたいところだ。
序盤戦は守備が安定してきた大分だが、スピードがある相手になると、どうしてもDFラインが引き気味になり、前線との間にスペースが出来て中盤ががら空きになってしまうことがある。プレッシャーをかけながら、いかにコンパクトに守れるかがポイントだ。
攻撃に関しては、どうしても守備に意識がいってしまいがちで、ドドとマグノ アウベスのブラジル人2トップが孤立してしまうことが多い。中盤から2トップをフォローできる第3の攻撃参加の選手が出てくれば今後の巻き返しの可能性もある。サイドからだけではなく、ボランチの攻撃参加にも期待したい。
◆HOT6の注目選手
まず、いちばんの注目選手はルーキーMF川田和宏。リーグ戦での出場はまだ5分(4/28・大宮戦)しかないが、ナビスコカップ予選リーグでは後半4戦に出場し、うち3試合はスタメン起用だった。
左足から繰り出す正確なキックが武器。ダブルボランチを組む小森田は国見高校の1年先輩でもあり、中学生の頃から憧れていたという。「いつも川田からは、質問攻めに合います。サッカーに対する姿勢が真面目です」と先輩の小森田。皇甫監督も「川田は視野も広いし、バランス感覚に優れた選手です。あとは経験を積むだけです」と言い、ナビスコカップの収穫のひとつは川田の成長であると高く評価した。同じボランチの原田がこの中断期間中に川崎Fへ期限付き移籍したこともあり、リーグ再開後はスタメン定着の可能性も高い。
もう一人、注目したいのはFW高松大樹だ。4/16の清水戦で左鎖骨を骨折し2ヶ月戦列を離れていたが、リハビリ生活を終え復活。高松の不在中、ドド、マグノ アウベスにお株を奪われていたが、そろそろ「大分のエースは俺だ」とアピールしたいところだ。ブラジル人コンビが好調なだけに、いきなりスタメンは難しいが、ベンチに高松が控えているだけでも心強い。大分の得点源アップにとって高松の復帰は大きい。
◆再開後のフォーメーション予想
以上
Reported by 森田みき