12試合を終わっての成績は5勝4分3敗の3位。黒星発進も含め、スタートこそ勝てる試合を引分けたりとモタついて順位がなかなか上がらなかったG大阪。
主軸であるMF遠藤の言葉を借りれば、「勝てる試合を落としたり、引分けにしたり…っていうのは確かにあるけど内容は悪くない。実際、去年あれだけ攻めた分、相手に守られることが多くても、今年も現時点ではJリーグでいちばん点を挙げている(26得点)からね。攻撃的な部分は今年も証明されていると思う」。標榜する攻撃サッカーは昨年以上に充実度を増した様子。現に、確実に白星を積み上げ順位を引き上げた11節の名古屋、12節のC大阪戦などはそれを証明するものであった。
ただ、その一方で気になったのは、セットプレー絡みの失点の多さ。ちょっとしたマークのずれ、集中力の欠けた隙を突かれ、無駄な失点を喫することが多かっただけに、そのあたりは修正が必要となる。試合を重ねるごとに安定を見せている『リベロ宮本、ボランチ・シジクレイ』の守備の形がより強固に築かれ、かつ攻撃を後押しするものになれば、攻撃サッカーはより勢いを増すはずだ。
◆再開後の展望・見どころ
リーグ中断中、代表組のいないナビスコカップでも予選リーグを首位で突破したことに証明されるように、選手層により厚みが見られるようになったのは、今後の長丁場、特に7月の暑い最中での連戦を勝ち抜くにあたり、大きな力となっていくことだろう。
『10000ゴール』を決め、勢いの見られたルーキーMF前田雅文が練習中に負ったケガで全治8ヶ月の見込みという長期離脱となったのは残念だが、ナビスコカップではMF寺田が初ゴールを挙げたり、MF岡本が公式戦デビューを果たしたり。更にU-20日本代表としてワールドユース選手権でも活躍をみせたMF家長ら若手の頑張りも目を惹くだけに、チーム内での更なるポジション争いの活発化が残り試合を勢いづけることになるだろう。
先にも述べたように、課題は守備の安定力。攻めるがゆえの失点はある程度致し方がない部分はあるが、12節までの戦いの課題となったセットプレーでの失点は十分改善できるはず。いや、DF宮本を中心に、DF山口、DF實好ら経験ある守備陣によってクレバーで安定した鉄壁が築かれれば、FW大黒、FWアラウージョ、MFフェルナンジーニョらを中心にMF遠藤、MF二川らを絡めた攻撃はより迫力を増す。日本代表戦での活躍を見ての通り、好調ぶりが目をひくFW大黒がより厳しくなったマークをいかにくぐりぬけてゴールを決められるかも楽しみだが、彼にマークが付くことによって生まれる他の選手のゴールチャンスをいかに活かすことができるのかも、今後の明暗を分けるはずだ。
◆HOT6の注目選手
もはやFW大黒の活躍は、ある意味当たり前すぎる注目ポイントとなっている。そこであえて、彼とコンビを組み、リーグ戦、ナビスコカップを合わせるとFW大黒以上のゴールをたたき出しているMFアラウージョに注目したい。
清水より移籍した当初は、周囲が彼の特徴を理解し切れていないこともあって、フィットするのにいささか時間を要したようにも見受けられたが、ここ最近はその問題点も解消。まだまだボールを持ち過ぎることで好機を逸する場面も見られるものの、彼のスピード、シュート力というものが存分に発揮される形で結果に結びついている。13節以降の戦いにおいても、FW大黒に対するマークがより厳しくなることが予測される中で「監督に信用されて使ってもらっている以上、それに応えるというのが僕の目標でもある。身体も軽く、よく動けているので、これからもチームのためのゴールを決めたい」という決意を、ピッチの働きの中で見せてほしい。
◆再開後のフォーメーション予想
以上
Reported by 高村美砂