6月25日(土) 2005 J2リーグ戦 第18節
山形 0 - 0 仙台 (19:04/山形県/19,418人)
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スコアレスドローに終わったこの試合で、じつは1度だけゴールネットが揺れている。
前半34分、仙台のボランチ村上の不用意なパスを左サイドで永井がカット。そのまま攻め込んでゴール前の阿部にパスを送る。阿部は左右に揺さぶりをかけ、隙間をこじ開けると右足を振り抜いた。ボールは右ポストを直撃して跳ね返るが、詰めていた根本が押し込み、逆サイドのネットへ。
しかし、このゴールは認められなかった。阿部がシュートを放った時点で根本がオフサイドポジションにいたという判定が下されたからだ。このシーンはいろいろな意味で、この試合を象徴している。
山形が仙台を迎え撃つ「みちのくダービー」の第2ラウンド。真夏日の余韻を残したスタジアムに、今季J2最高の19,418人の集客を記録した。第1ラウンドのリベンジを果たすべく、仙台サポーターがスタンドの半分以上を黄金色に染め上げたが、出だしから圧倒的な主導権を握ったのは山形。中盤と2トップがスペースへの出入りを交互に繰り返しながら、パスを1〜2タッチでつなぎ、右から左から、上から下から、仙台のゴール前を脅かしていく。
ボールを回される展開は仙台も予測し、山形の速いパスには食いつかないという対応策も決まっていたが、あまりにも山形の2トツプにボールが当たることで、仙台がやや慌てることになる。「ちょっと食いつき過ぎて、そこで簡単に叩かれて数的不利な状況をつくってしまった」(仙台・森川)
仙台はシルビーニョがトップ下で今季初先発。バロン、シュウェンクの2トップと併せたトライアングルは、開幕前のシルビーニョの怪我さえなければ仙台の定番布陣になるはずだったが、紆余曲折を経て、第18節にしてようやくこの形にたどり着いた。しかし、待っていたのは圧倒的に守備を強いられる状況。
ロングボールには2トップが懸命に競るが、セカンドボールを拾えず、シルビーニョに思うようにボールを集められなければ、このシステムも不完全燃焼に終わるしかない。圧倒的なポゼッションを許し、守備に追われたことで、前半のうちから激しく体力を消耗。のちの逆襲のためのパワーをここで削がれたことも、結果として悔やまれる。
一方、圧倒的に攻め込んだ山形も、ここ最近の課題である決定力不足を鮮明にしてしまう。39分には永井の右クロスに、マークを引き剥がした根本がヘディングを打ち込み、高桑がジャンプしていちばん高い位置でキャッチする惜しい場面はあったが、シュートが枠をとらえられない、とらえても威力がないなどが原因で、前半は0−0で折り返す。
後半に入り、仙台は8分にシルビーニョがバー直撃のシュートを放つなど、シュウェンクやシルビーニョがサイドの起点から折り返しチャンスをつくる。しかし、山形の圧倒的攻勢にゴールが奪えない。一方の山形も、前半同様にる決定力不足の状況は変わらない。
後半23分に仙台・森川が、同28分には山形・大塚が、ともにこの日2度目の警告を受けて退場。10人対10人と人口密度が低くなったピッチに、山形は林、佐々木と快速選手を続けて投入。しかも佐々木はサイドバックで起用され、右サイドをドリブルで攻め上がるが、狙いがうまく運んだのはそこまで。ゴール前の決定機に結びつけることができなかった。
シュート数では前半11対4、後半10対4。圧倒的に攻め込みながらも無得点、勝ち点1を得るにとどまった山形の鈴木監督は、「いいゲームをしながらも勝ちきれないというゲームが続いている。ここは辛抱をして、こういうゲームを続けていくことで、最終的な目標に到達できるのかなと私自身は思っている」と、方向性には確信を持っている。この試合で失った勝ち点2は授業料として高くつくのかどうか。答えは残りの試合で明らかになるが、幸運なのは、2位争い中の他チームの足踏みが続いていること。順位は1つ下げて6位となったものの、勝ち点では1差に詰め寄った。いい形が出来ているうちに、いい結果を出したいところだ。
仙台は4連勝こそ逃したが、シルビーニョに使える目処がつき、ルーキー渡辺広大がロスタイムも含めて19分のJリーグデビュー戦を無難にこなした。この日の出場はなかったが、ベンチには財前も戻ってきている。着々と駒がそろう中で、2位との勝ち点3差は、十分に射程圏内と言える。
次の「みちのくダービー」は9月4日(日)の仙台スタジアム。それまで負けられない戦いをともに勝ち抜き、昇格が狙えるチーム同士の白熱した対戦になることを今から期待したい。と言ったら気が早いだろうか。
以上
2005.06.26 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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