5月27日(金) 2005 J2リーグ戦 第14節
水戸 2 - 2 横浜FC (19:00/笠松/1,875人)
得点者:'3 永井俊太(水戸)、'59 城彰二(横浜FC)、'78 大和田真史(水戸)、'83 吉武剛(横浜FC)
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「もったいない・・・」
観客席の水戸サポーターから聞かれたこの一言が、この一戦を象徴している。水戸はほぼプランどおりにゲームを運べたにもかかわらず、集中力の途切れから2点を失い勝点1を確保するに留まった。キックオフ直後の3分、アンラッキーな失点でゲームのイニシアティヴを失った横浜FCは、何とか同点に追いつき勝点1を拾うことができたのだが、両チームとも失点の理由は「ちょっとした集中力の欠如だった」という点が、このゲームを何か重苦しいニュアンスのものにしたことは間違いないところだ。
今日4度あった、ゴールシーンを振り返ってみる。
まず、水戸の先制点。前半3分、水戸が左から右へ大きく展開したボールの処理を、横浜FCディフェンスが判断を誤り後ろへそらす。それを拾った水戸の右サイド関がクロス。横浜ディフェンス陣が跳ね返すも、ボールは中央で待ち構えていた永井のもとへ転がりそのままシュート。ディフェンスに当たりコースが変わったボールに、横浜FCのGK菅野はなすすべもなかった。「あそこでディフェンスがかぶらなければ・・・」そういう得点だった。
後半14分、横浜FCの同点ゴール。これも最大の要因は、水戸ディフェンス陣の判断ミスにある。集中力の途切れからか、水戸のオフェンス→ディフェンスへの切り替えが遅れ、横浜FCの佐藤が右サイドでフリーになる。余裕を持って上げられたセンタリングに城がドンピシャで頭に合わせる。「こうなれば100%決まる」というようなゴールだった。フリーの選手がフリーの選手に合わせるのだから・・・。
その約10分後、水戸はコーナーから長身・大和田が頭で決める。「カウンターをしのいだ後のセットプレーで集中が切れていた(横浜FC・足達監督)」とあるが、自分たちのスタイルを捨ててまで水戸のカウンターを警戒し、そして封じ込んでいただけに、この2点目のダメージはかなりのものだったと容易に推測できる。
横浜FC執念の同点ゴールは、河野のロングスローから。ゴール前まで運んだボールは競り合いの背後で待ち構えていた吉武のもとへ。力強く振りぬいたシュートは、一閃水戸ゴールに突き刺さった。このゴールは、「混戦の裏側は必ずチェックしなければいけない」という鉄則を、水戸が徹底できなかったため。疲れからくる集中力の欠落からだろうか、防ぐことは可能だったはずだ。
「どちらのチームも内容はよくなかった(水戸・前田監督)」というゲームの中身だが、水戸は、今までのワンボランチから、永井をボランチに置いたダブルボランチにすることによって、横浜FCの思惑を確実に打ち砕いていた。バランスもよく、これだけの組織力があって何故2失点もしたのか、今でも合点がいかないぐらいだ。特にFW岩舘と、シャドーの秋田のチェイシングは効果的で、高い位置でボールを奪い、チャンスを幾度となく演出した。惜しむらくは、前線の2人だけでフィニッシュに持ち込める形がなく、せっかくいい位置でボールを奪っても、短時間でゴール前まで運べなかったということだ。「もっとシュートを打てなくてはだめです(水戸・岩舘)」というように、岩舘のシュート数はわずか2本だし、秋田に限っては1本しか打っていない。このあたりの積極性や経験が、今後水戸が上位を狙うためには求められる力なのだろう。
一方の横浜FCは、普段のスタイルを捨て、ロングボールを2トップに入れる戦術を徹底した。ジェフェルソンの高さと強さはこの試合最も際立っていたプレーで、これを続けていれば、いつか水戸ゴールをこじ開けるのではとイメージさせるものだった。現に、シンプルに放り込むことで、前がかりになる横浜FCのいいリズムを生んでいたし、押し込んだ後の2ndボールも空いたスペースに入り込むことで横浜FCが優位に支配した。後半は、すっかりゲームのイニシアティヴを確保していたように見えたこの試合、横浜FCは水戸の倍近い22本のシュートを放ち、実にその内の17本が後半に集中している。これだけのゲームをしながらも、「一戦目のほうがしんどかった(水戸・前田監督)」と言われ、追いつくことが精一杯だった理由は、シンプルにボールを放り込むことだけにとらわれ、横浜FC本来のパスサッカーを展開できなかったところにあるように思う。水戸ディフェンス陣に2トップの強さを見せつけラインを深い位置に追い込んだのなら、その前にできたスペースで横浜FC本来のパスサッカーを展開できれば、また違った結果になっていただろう。
ゲーム後、取材タイミングのずれで叶わなかったのだが、水戸の2点目をたたき出した大和田に話しを聞いてみたかった。その理由は、以前の試合(第10節で・鳥栖戦)での「今日の試合では、勝ちたいという気持ちがサポーターに伝わらなかったのではないだろうか」というコメントが、とても印象的だったからだ。プロ初ゴールを決めた彼が、その喜びの中でこのゲームをどう感じているのか。きっと、自分に厳しい言葉を発したに違いない。その気持ちこそが次の勝利につながる源になることを信じて、第15節を見たいと思う。
2005.05.28 Reported by 堀高介
以上
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