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【キリンカップサッカー2005:日本代表 vs UAE代表 レポート】92年以来のキリンカップ2連敗。守る相手を攻めきれず、バーレーン戦に向けて課題を残した。(05.05.28)

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●5月27日(金)19:20キックオフ/東京・国立競技場
KIRIN WORLD CHALLENGE キリンカップサッカー2005 -Go for 2006!-
日本代表 0-1 UAE代表
得点者:
69分 UAE 8ハイダル・アロ・アリ

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 試合前に決起集会を開き、大いに気勢を上げたというサポーターの思いは結局通じなかった。仮想バーレーンとして対戦したUAEは、最後まで守備ブロックを崩すことはなかった。もちろん日本に攻め込む余地がなかったわけではなかった。しかし、最後の一線を超えることができなかった。

「チャンスはあったんですが、ああいうのを入れないとチームは負けてしまう」と試合を振り返ったのは大黒将志。ペルー戦での好調さと、玉田圭司のケガによる戦線からの一時離脱を受け、日本代表として初めて先発出場を果たした。

 国内での試合ではあるが、さすがに代表初先発の重責は大きいようで「前半の最初だけ固かった」という言葉を残している。しかし「やってるうちにガンバと同じような形でできるようになった」とコメント。確かに大黒のプレーには、オフザボールの局面でのDFから消える動きや、ラインの裏を狙う動きに重さは感じられなかった。しかし、さすがに枚数をかけて守りに入ったUAEを切り崩すことは難しかった。

 UAEは3枚の最終ラインが慎重に日本の出方を窺う。危ない局面では、4番のオムラン・モハメドが1枚余る形で常に最後尾をカバーしていた。また、左右両WBが最終ラインに吸収される形で守備に入る場面も目立っていた。アウェイでは絶対に失点しないという意気込みが見て取れた。

 守備を固める相手に対して攻め込む時間が増えるのは必然的な流れである。そうした相手を前にした時の課題は、スペースのない局面でいかに崩していくのかという事になる。その解決策として、守備が手薄になりがちなサイドからの崩しを繰り返すことに必然性はある。しかし、ただゴール前にボールを入れてもそれは相手の密集するスペースでのイーブンボールでしかなく、すぐさま得点につなげる事は難しい。この日の試合では、そうした傾向が如実に出てしまっていた。

 宮本恒靖は、サイドからの攻めを前向きに評価していた。しかし結果として無得点に終わった試合を念頭に小笠原満男は「ボールがサイドにいってしまっていたので、もう少し真ん中でスルーやワンツーが出来れば良かった」と反省の弁を述べている。ただ、その言葉に続いて「しかしこないだ(ペルー戦)よりはやりやすさがあった」とトータルで見た試合内容を前向きに評価しているのが救いになるだろう。

 69分の日本の失点の場面は、大方の予想を裏切り11番のファイサル・ハリルと10番のイスマイル・マタルのコンビではなかった。前半から数少ないチャンスを演出していたこのコンビはさすがに警戒され、きっちりと守られていたが19番のナワフ・ムバラクを起点として小気味よくパスをつなぎ、最後は8番のハイダル・アロ・アリが鮮やかに日本ゴールを破って見せた。日本にしてみれば最も警戒していた形であり、バーレーン戦でもありうる失点の形だった。

 バーレーン戦を前にして心理的にどうしても負けたくない日本は、直後に坪井慶介を下げて最終ラインを4枚に変更。坪井に代わって投入した本山雅志を前に置き、攻撃的に戦い方をシフトした。それからの日本代表はUAEを攻め続けたが、最後の詰めが甘い。ジリジリとした時間が過ぎていくが、最後まで得点を生み出すことはできなかった。

 敗戦が決まった後、日本代表サポーターからは珍しくブーイングが出ていた。もちろん彼らの気持ちの根底にあるのは罵倒などでは決してなく、激励のための叱咤だったはずだ。その証拠にサポーターは、控え室へと下がっていく選手たちの後ろ姿に改めて声援を送っていた。選手たちは、「勝ってほしい」というサポーターの思いを受け止めて、気持ちを切り替えることが重要となる。

 極論してしまえば、6月3日に敵地で行われるバーレーン戦で勝てばいい。その時に、キリンカップでの2敗が苦くもいい思い出になっているよう、彼らの奮起を望むしかない。

以上

2005.05.28 Reported by 江藤高志
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