5月7日(土) 2005 J2リーグ戦 第11節
徳島 2 - 2 福岡 (14:05/鳴門/4,124人)
得点者:'19 伊藤彰(徳島)、'26 有光亮太(福岡)、'58 太田恵介(福岡)、'86 羽地登志晃(徳島)
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1点のビハインドを追ってアグレッシブに前に出続ける徳島。そして86分、鳴門総合運動公園陸上競技場が歓喜の渦に包まれた。谷奥のクロスボールを受けた羽地が、やや遠目の位置からヘディングシュート。GK水谷がキャッチしようとした瞬間、微妙にイレギュラーしたボールが水谷の左手の横をすり抜けた。「結果的にGKのミスで入ったけれど、枠に飛ばせば何がこるか分からないということを感じる得点だった」と羽地。第2クールに弾みをつける貴重な同点ゴールだった。
一方、またも勝ちきれずに引き分けた福岡の松田監督は「そういうことが起こるということも、いま勝ちきれないリズムが全て引き起こしていること。こういう部分はサッカーではあることなので、ただで手に入るものはないという覚悟で、きちっとやっていく以外に道はない」とコメント。第2クールへ向けて気持ちを切り替えていた。福岡の第1クールは勝ち点18で暫定3位(5/7時点)。J1昇格の有力候補との評価を受けながらも苦しい戦いが続く。
徳島の布陣は3−5−2。左WBの位置には、怪我の片岡に代わって今シーズン初先発の冨士が入る。両サイドを高い位置において、いつものようにスピードあるサイドアタックを仕掛けるのが狙い。「リスクを犯してアグレッシブに行け」と田中真二監督は選手たちを送り出す。対する福岡は太田を初先発させた4−4−2。ただし、中盤をワンボランチのダイヤモンドに変えてきた。いつも後半に見せる攻撃的な布陣だが、松田浩監督は、スタートのシステムを変えることで、なんとしてもゴールを奪えという気持ちを表す。
そんな試合の主導権を握ったのは徳島。伊藤を起点にしてシンプルなパス回しと得意のサイドアタックで福岡ゴールに迫り、相手ボールに対しては素早く戻ってゴール前を固める。ワンボランチの福岡は、この動きについていけずに中盤を支配され、トップ下でプレーするはずのグラウシオが守備のために低い位置に留まらざるを得ず攻撃の形が作れない。そして19分、アレックスのシュートの跳ね返りを拾った伊藤がドリブルで中央突破。最後は金が放ったシュートのこぼれ球を伊藤が叩き込んで、徳島が待望の先制点を挙げた。
しかし、勝つしかない福岡も一歩も引かない。26分にはグラウシオのシュートのこぼれ球を有光が押し込んで同点に。そして58分には、太田、有光、そして太田とつないで逆転に成功した。後半に入って徳島の攻撃にスピードがなくなってきたこともあり、これで勝負は決まったかと思われた。しかし、徳島は諦めてはいなかった。71分、大場がシュートを放つと、これを合図にしたかのように鋭いカウンター攻撃がよみがえる。この後は、あくまでも前に出る徳島と、3点目を狙う福岡が激しく攻め合う時間帯が続く。そして終了間際の86分、羽地の同点ゴールが飛び出した。
徳島はこれで2勝6分3敗。結果的には、またも引き分けを増やす形になったが、最後まで攻めの姿勢を貫き通したこと、カウンター気味のサイドアタックが十分に通用したこと等、得たものは多い。「ある程度戦えるチームだと感じている。プラスアルファが出来れば第2クールはもっといい成績が収められる」と田中監督も手応えを口にした。
一方、福岡の勝ち点18は昨シーズンの第1クールと同じ数字。昨年の悔しさをばねにスタートダッシュを図ったが、その思惑は外れた。しかし、J1昇格という目標を見失ったわけではない。「こんなところでうなだれていてもしょうがない。反省点は改善して、気持ちを入れ替えて次の試合に臨めば、結果は必ず付いてくる」(有光)。選手たちは前を向いてスタジアムを後にした。
以上
2005.05.08 Reported by 中倉一志
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