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【J2:第11節 水戸 vs 仙台 レポート】両チームともディフェンダーの奮闘が際立ったこのゲーム。意地と意地のぶつかり合いは2−2のドロー。(05.05.08)

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5月7日(土) 2005 J2リーグ戦 第11節
水戸 2 - 2 仙台 (14:02/笠松/4,651人)
得点者:'41 財前宣之(仙台)、'72 永井俊太(水戸)、'76 須田興輔(水戸)、'78 シュウェンク(仙台)
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予想はしていたが、今日の笠松は明らかに仙台のイエローに染まっていた。サポーターの声援は選手に勇気を与えるが、緊急事態の仙台の選手たちは、いつも以上にそのありがたさを噛みしめていただろう。

試合開始直前、ラジオ放送のアナウンサーから聞いた言葉は、あまりにも意外で信じられないものだった。「ちょっとびっくりする情報なんですが、仙台の選手が遠征先でウィルス性腸炎にかかり、予定していたが出場が無理な選手や、急遽仙台から呼ばれた選手もいて、シュウェンク選手などは急遽この笠松に呼ばれたそうです」との内容だ。出場している選手でも、今朝、点滴をうちやっと回復した者や、無理を押して出場した者もいたそうだ。磯崎、千葉を出場停止で欠く仙台は、この緊急事態を抱えたまま水戸戦に臨むことを余儀なくされたのだ。

仙台は、苦しい選手事情の中、根引が左のサイドバックに、そして富澤がストッパーの位置に入った。この2人の、派手さはないが堅実な働きで、今日の仙台のサッカーに一定の安定感を作り出すことができていた。そういう意味で、都並監督の選手起用はこの状況にミートしたものだったように思う。
水戸は、ある程度予想していたとおりのスタメンで、疲れの見えてきた森に替え、ストッパーの位置には吉本が入った。吉本は森ほど高さ・強さがあるわけではないが、的確なコーチングと経験に裏付けられたポジショニングでディフェンスラインに安定感をもたらした。両チームのディフェンス陣の活躍で、ゲームは非常に安定した感じの滑り出しとなった。

前半の展開を総括すると、序盤は水戸のペース。終盤は仙台のペースといったところか。水戸は、積極的な縦への突破、2列目からの飛び出しを見せて仙台ゴールに迫る。しかしながら仙台は、ある程度早い段階で、富澤がデルリスをマンツーマンで付き、ときには3人がかりで封じ込める。デルリスも味方をうまく使いこなすことができずに(水戸のフォローも遅いこともあったが)ゴールネットを揺らすことはできなかった。そしてペースはセカンドボールを拾い始めた仙台へ。シンプルに外から攻めていく仙台だが、サイドハーフの梁や清水にボールが渡ったときの、サイドバックのフォローが明らかに遅く、効果的な攻撃ができないまま時間は流れた。ボールは拾えるが、どう攻めたらいいかわからず、クロスをあげてははね返されるを繰り返していた。

得点が動いたのは41分。仙台ゴール前の接触プレーでピッチ上の緊張が、一瞬フワッと緩んだその瞬間、仙台側からのロングフィードを萬代がヘッドで折り返し、財前がダイレクトであわせ先制した。しかし何故だか、ゲームのイニシアチブまで決定するような先取点ではなかったという感じはなきにしもあらずだった。

後半、とりわけ「デルリス→磯山」「伊藤→森田」の交代があってからは、追いかける水戸が完全にゲームのリズムを掌握した。特に後半22分から得点があった27分までは圧倒的に水戸のペースで、左を崩したかと思えば今度は右を崩す。途中出場の磯山がポイントとなり、押し上げに安定感をもたらした。得点シーンは、左サイドを一旦崩した後センターの永井を経由して右のサイドバック須田へ。そして須田→磯山→須田とワンツーで突破を図る。

「中には人数が揃っていなかったので、早いボールを入れることで混戦ができて何か起こればいいと思った」というクロスが仙台GK・高桑の手からこぼれる。「何か起こるなと予感がした」という永井が押し込んで、J2通算4000ゴール目を叩き込んだ。水戸の2点目、逆転弾の主役も須田だ。いいタイミングでオーバーラップした須田はインサイドへドリブルで切れ込み、思い切って左足を振りぬく。ボールは、仙台ディフェンスに当たってもなお勢いを止めず、高桑の手をかすめるようにゴールに吸い込まれた。「今日は調子がよかったし、相手がバテてくる後半は特に狙ってました」とは須田の弁。

その直後、仙台は意地の攻撃を見せる。萬代、梁を軸に一気呵成に水戸ゴールに迫り、左サイドをこじ開けたあと水戸ゴール前で混戦ができる。シュウェンクのシュートは水戸ディフェンスにあたりポストをたたいた。クリアしたかに見えたが、アシスタントレフリーの判定はゴールイン。水戸は抗議を重ねたが、受け入れられるわけもなく、仙台は執念で試合を振り出しに戻した。

水戸が追いついた時からわずか6分で3点が動くというこの試合のポイントは、双方の得点の質とサイドバックの選手のパフォーマンスの差にある。水戸は2点ともサイドを崩して取るべくしてとった得点。仙台は集中が切れた間で取れた得点と混戦を押し込んでの得点。スコアは2−2だが、サッカーらしいことを形として残したのは水戸のほうだったように思う。その要因は、攻撃の意識が高かった水戸のサイドバックと比較して、仙台のサイドバックがあまりにも守備に偏っていたという点。そこには、もちろん緊急で登用されたという理由もあるだろう。が、ここ2戦できていた、サイドの押し上げは、今日に限って言えばなりを潜めてしまったことになる。前線のプレーヤーだけで点を取りに行くのは、攻撃が薄くなるということだけでなく、守備に切り替わるときのプレスもできず帰陣の距離を長くする要因にもなるのだ。こういうゲームになると、確率的に勝てなくなるのも不思議はない。

「勝点は取れたし、アウェイの戦い方ができてよかった。勝たなきゃだけど、この状況で負けなかったので・・・(仙台・森川)」というのが、今日の仙台の本音だったろう。試合終了後、仙台サポーターからは激しい都並監督ブーイングが起こったが、この状況で勝点を残したのは大いに評価できるし、むしろ、水戸のほうこそ勝たなければいけない試合だったのではないだろうか。吉本、須田とあれだけのパフォーマンスを見せながら、勝ち試合につなげられなければ、上位に食い込むことは夢のまた夢。しかしながら選手たち、サポーターはその夢を見たいのだ。

以上

2005.05.07 Reported by 堀高介
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