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【第11回AFC U-17サッカー選手権大会2004 日本 vs 北朝鮮 レポート】組織としての攻撃を発揮できず、初戦は0-0のドロー(04.09.05)

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9月4日(土)AFC U-17サッカー選手権大会2004 グループリーグ
日本 0-0 朝鮮民主主義人民共和国
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情報が殆どなかった北朝鮮選手の姿を最初に見たときは「日本選手に比べて顔つきが幼い」という印象だった。しかし、実際に試合が始まってみると北朝鮮は隙のないサッカーができるし、洗練度の高いサッカーを見せた。フィジカルや闘争心を前面に出したサッカーを予想していたが、技術的にもレベルは高く、予想は覆された。

試合後の記者会見場に現れた46歳のチェ・チャングイ監督は、意識していたのかどうか分からないが笑顔を絶やさずソフトな印象を与えるなど、テレビのニュースで見る北朝鮮人のイメージも覆した。しかし、日本と引き分けたことをただ喜ぶという甘い笑顔ではなかった。「(中国対タイ戦を見て)中国もタイよりも我々のほうが強いと思った」と話すなど、たっぷりの自信と闘争心が笑顔の裏側にあることを言葉で表現した。

メインスタンドに向かって一列に並んだ日本選手。試合前の国歌斉唱の場面だが、記者席から双眼鏡で彼らの顔を見ると何人かの選手が明らかに過緊張であることが分かった。そのなかで、小澤竜己(青森山田高)だけが自信満々で、重圧を緊張ではなく、注目されるなかでサッカーができる喜びに変えていた。しかし、小澤がその喜びを爆発させる場面はなかった。

試合が始まってみると日本はチーム全体を緊張感が支配してしまい、中途半端なプレスで守備も攻撃もリズムが取れなかった。それでも、ディフェンスラインはロングボールや大きなクリアでチーム状態に応じたプレーでリスクを回避し、リズムを立て直す時間とスペース的な余裕を作ろうとしていた。普通の状態なら、大きくクリアしてラインを上げることはリズムを取り戻すきっかけになるのだが、この試合は前線にボールが収まらず、すぐにボールを奪われてしまう。

ディフェンスラインの選手は、せっかくラインを押し上げてもすぐに攻められてしまうので、守っている時間が非常に多いと感じたのではないだろうか。前線と中盤の選手は、相手ボールになった瞬間にプレスをかけてボールを奪い返そうとするのだが、北朝鮮のボランチ、リ・チョンミル、ナム・ソングクはキープ力があり、囲まれても簡単にボールを失わない。それどころか、そこからパスを出してくる。そうなると今度は日本の守備が数的不利になり、アプローチをかけても後手になる。アプローチに行けば、フリーの選手にパスを出されて、最後はゴール前までの進入を許してしまう。ただ、日本はセンターバックの吉本一謙(F東京U-18)、大島嵩弘(柏ユース)が最後の壁として身体を張って守りきった。日本が無失点でこの試合を終えた最大の理由はこの吉本、大島の身体を張ったプレーにあった。

一方、前線に起点を作ることができない攻撃は、組織的ではなくゲリラ的な攻撃に終始した。しかし、こういうときこそセットプレーが大きな威力を発揮する。しかし、6本のコーナーキック、16本の直接フリーキックは不発に終わった。前半のロスタイムに小澤が頭で合わせたシーンがあったが、オフサイドでノーゴールだった。

後半の立ち上がりは、中盤でパスが繋がる時間帯があったが、前線に起点ができないことは同じ。ワンタッチパスで日本のプレスを交わす北朝鮮のプレーに対して、日本の中盤が下がり気味になってしまう。そのためにボールを奪っても中盤から前線へのパスが、長い浮き球になることが少なくなく、確実性の低い攻撃を繰り返した。

布監督は小澤に代えてフィジカルの強い平繁康平(広島ユース)を投入するが、平繁も起点になることはできなかった。終盤にボランチの鈴木達矢(川崎F U-18)がプレーエリアを高くして局面を何度か打開するのだが、人数が揃った北朝鮮のディフェンスラインまで切り裂くことはできなかった。81分にペナルティエリアの外から鈴木が放ったミドルシュートはバーに当たるなど不運があったが、組織としての攻撃を発揮できないままタイムアップとなってしまった。

それでも、最悪の状態ではなく、勝ち点1を手にした日本。問題は6日のタイ戦をどう戦うか。初戦は緊張から力を出せないまま終わってしまったが「次は力を出せる」と選手は口々に話しており、彼らの言葉を信じてタイ戦を注目したい。

以上

2004.09.05 Reported by 松尾潤
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