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【J2:第32節 大宮 vs 札幌 レポート】嬉しい勝利も、再び2位浮上に複雑な大宮。札幌は新加入金子で浮上のきっかけをつかめるか。(04.09.05)

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9月4日(土) 2004 J2リーグ戦 第32節
大宮 1 - 0 札幌 (19:04/大宮/4,090人)
得点者:'78 トニーニョ(大宮)
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試合後、記者室で意外な言葉が聞かれた。「勝っちゃったよ」たとえ中立を貫くべき立場の記者たちでも、中身は人間。担当チームをひいきにしてしまうことは多い。結果から言えば1-0で大宮が勝利したこの試合。大宮のホームで行われ、もちろん大宮に肩入れする記者も少なくなく、2位浮上を素直に喜んでいるものだと思っていた。話の続きを聞いてみると「また2位だよ。今日京都も負けてるし2位になると勝てないんだよ」。もちろん、そうと限ったことではないが、どうも2位になると勝てないという印象がここ最近の試合では強い。

この試合で大宮は再び2位浮上。もちろん大宮側にとっては嬉しい勝利ではあるのだが大宮・三浦監督曰く、「みなさんには最後まではらはらしていただこうと思って」と、現在の混戦状態を考えると、2位浮上とは言え、まだまだ安心はできない。大宮の次節は対川崎F戦。はらはらさせられることは間違いない。

ぎりぎりの勝利だった。試合開始前から降り始めた雨がだんだんひどくなる。時折雷さえ鳴り響く。気温22.1度という寒さと合わせ、泣きたい様な気分になる。公式記録上では、天候は雨、弱風。しかしその雨、は選手たちも「スリッピーなので・・」とコメントせざるを得ない様なピッチ、思わぬ悪条件を作り出した。

そして、ホーム大宮にとっては思わぬ悪条件がもう一つ。大宮のホーム大宮公園サッカー場で行われたこの一戦。ゴール裏で応援するサポーターたちの数が勝っていたのはアウェイ札幌だった。

前半はお互い攻めあう好ゲーム。まずは試合開始2分。この日いつもはトゥットの定位置に3試合ぶりの先発で入った森田がシュートチャンスを迎える。しかし、左からの折り返しにあわせようとしたタイミングで札幌ディフェンスにクリアされる。お互いにチャンスをつくりだすが三浦監督も「ディフェンスの裏をとられることが多くて」と、フィニッシュのまずさに助けられることも多かったが、若くスピードのある札幌フォワード陣にかき回されることになる。

また、この日札幌はボランチ起用の新加入金子が合流4日目とは思えないフィット感ををみせた。特に前半18分、抑えのきいたミドルシュートは外れはしたものの一瞬ひやりとさせられた。金子は「あれさえ決まっていれば流れは変わった」と話す。お互い攻めつつも、ゴールをあげることができず、前半を0-0で折り返す。

ハーフタイムに「4-4-2を再確認」できた大宮。対する札幌は、前半攻められたイメージから「両サイドハーフがずるずるさがった」(柳下監督)状態。降りしきる雨にお互いミスが増えはじめるが、大宮は後半15分過ぎから完全に試合を支配。後半17分ディフェンダー二人を抜き去った久永が左足でシュートもキーパーの指先に弾かれる。同24分、交代したばかりの島田のアーリークロスに森田が体を反転させ打ったシュートもディフェンダーに防がれてしまう。

待望の決勝点は「もう(ベンチで決勝点を待つことに)慣れました」と三浦監督がいう後半33分、島田の右コーナーキックから。あわせたのはトニーニョ。「サポーターが湧いたので気付いた」というそのゴールで試合は決まり、大宮2位浮上となった。

「このまま2位キープで昇格したい」と選手たち。「最後までもつれるでしょうが、みなさんにははらはらしていただいて(笑)」と三浦監督。表現の仕方は違うが目指すは昇格、それだけだ。

札幌にも明るい兆しがないわけではない。横浜FMから新加入の金子の存在。最下位に沈み、下を向きがちなチームに勝利へのこだわりを見せつけた。「張り切り過ぎて腿をちょっと痛めた」ほどのモチベーション。チームの浮上のきっかけになってほしい。

そして、大宮は次節川崎Fと対戦。今季唯一勝ち星をあげていない相手との対戦。この1試合が、第4クール、そしてその先へとつながる1戦になる。

以上

2004.09.05 Reported by 了戒美子
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