9月4日（土）J2 第32節 湘南 vs 横浜FC（19:00KICK OFF/平塚）
-リアルタイム速報はこちら-
-スターティングメンバーは、試合開始約2時間前に各試合のスコアボード「試合詳細」に掲載されます-
----------
　9月に入り、第3クールもいよいよ終盤を迎える。独走態勢の川崎Fを除き、2位以下は勝ち点差2のなかに5チームがひしめき、そのすぐ後ろからも仙台が追いかけるという稀に見る熾烈なレースが続いている。しかし湘南、横浜FC両チームは依然としてなかなか結果を出せない不本意な状況にある。
　
　リトバルスキー監督（横浜FC）は引き分けに終った前節の仙台戦後、「攻撃的な部分で資質が足りない」と嘆いた。ボールポゼッションで劣っていたわけではない。守備も無失点で切り抜け、安定感を見せる。ただゴールに結びつける決定的な場面に持ち込むことができなかった。
　
　もともと「負けないチーム」ではあった。今シーズン、横浜FCは圧勝の開幕戦を皮切りに、勝てずとも引き分けに持ち込む粘りの試合を続けてきた。これまで先制点を奪った試合は負けていない唯一のチームでもある。だが長いシーズンの疲れが見え始めた折り返し地点前後から、黒星を重ねるようになる。後半戦に入ってからは鳥栖からしか勝ち点3を奪えず、それまではドローで凌いできたはずの粘りにも陰りが見えている。
　
　ボールを支配しながら決定力不足に悩むのは、湘南も同様である。「特徴である早いボール回しはできるものの、チャンスを作り出すまでには至らない」という望月達也監督のコメントが、今シーズンの苦しみを如実に表している。
　
　ケガ人続出、また累積警告による主力の離脱も、波に乗り切れないチーム事情に拍車をかける。シーズン前から熟成してきたはずの組織プレーも、スタメンを固められないために大事な場面で細かいズレが生じてしまう。ミスを重ねリズムを失い、ゴールが遠のくという悪循環がシーズンを通して続いている。
　
　ただ、その苦しい台所事情のなか、ここにきてDFの要であるパラシオスが復帰したことは朗報である。久々の実戦ながら、前節では圧倒的な存在感で最終ラインを統率、無失点に抑え、それまで2試合で7失点と崩壊していた守備を立て直した。また彼の持ち味である正確なロングフィードは攻撃面でも大きな武器となる。堅守からスピーディーなパス回しでワイドに展開を図る湘南のサッカーに不可欠なセンターバックが帰ってきたことは、プレーにおいてだけでなく、メンタル面でも多大な効果を発揮するだろう。
　
　今季3度目となる湘南対横浜FCの神奈川ダービー。これまでは横浜FCの1勝1分けである。ホームの湘南が借りを返せるか。どちらが先制点を奪うかに、まずは注目したい。ともに「攻撃的サッカー」を標榜しながら、ここまでは得心のいかないゲームが続いている。昨年も下位に沈んだ両チームにとって、その二の舞にならないためにも、最終クール、さらには来シーズンも見据え結果を残し、浮上のきっかけを掴む試合にしたいところだ。

以上

2004.09.03 Reported by 隈元大吾